ベッドタイム・トーキング
寒い夜。
布団にくるまり、眠りにおちようとした矢先、
ひそひそ声が聞こえてきた。
四歳息子とママ。
「どうしてママはチューしてくれないの?」
「前に顔を拭いて嫌がったからだよ」
「あれは……わざとだったんだよ」
カップルのいちゃいちゃを聞かされてるような感覚。
居たたまれず、寝返りを打つ。
意識は背中に向いたまま。
「どうしてママはそっち向いちゃうの?」
「最近、こっち向かないでって言ってるからだよ」
「あれはさ……あれは、」
少し躊躇し、小声になって続けた。
「……おちんこ丸出しにしてるからだよ」
ん?
「スリスリすると気持ちいいんだあ」
おいおい。対するママは、
「知ってたよ」
知ってたのかよっ。
「いつも夜中、ズボン履かせ直してあげてるもん」
息子は間をたっぷりとって、
「ごめんね……好きだよ(チュ)」
「私もよ(チュ)」
やがて寝息が聞こえ始めた。
夜が更けてゆく。
私はなぜか興奮して眠れない。←
妻と子の恋人めける夜寒かな
(つまとこのこいびとめけるよさむかな)
季語: 夜寒(よさむ)