『クレヨンたちの色々』
道具箱からクレヨンを取り出す。
保育園にお迎えが来るまでの時間、シンは塗り絵をして待つ。
ケースの蓋を開けるや『赤』が口火を切った。
「例の件言ってくれたか?」
シンが黙っていると
「おい頼むぜ。ズタボロなんだからよ」と文句。
「まだ使えるでしょ。わがままよ」
優等生の『桃』が反論する。
「そうだよ。ご家庭の事情があるんだから」
『桃』に味方するのは『紫』。
「奇麗な奴はいいよ。そうじゃない身にもなれって話さ」
シンは折れて半分もない『緑』に目をやった。
「お、おいらまだやれるよ」
シンは唇を噛む。三歳の時から三年。他の子のクレヨンが次々と新調されるのを見て幾度羨ましく思ったことか。
「言い出せない気持ち分かるよ」
思慮深い『黒』が呟く。
「なら、持って帰って見える場所に置いとくってのはどうだい?」
シンはハッとした。そうか。
目ざといパパが気づけば、それがママにも伝わって……
今日試してみよう。ドキドキしながらシンは塗り絵を続けた。
クレヨンにちっこきみどり冬ぬくし
(くれよんにちっこきみどりふゆぬくし)
※日記を小説 風に表現しています__🖋
突然、お弁当箱と共に取り出したクレヨン(表題写真)にびっくりしました。ただ週末まで買いに行けないのでいったん保留。ウェットティッシュで拭いて(俳句写真)とりあえず。