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固定観念のない絵と、茶こしの話。

茶こしがない時、あなたならどうします?

冷たい雨。
寒気を感じて温かいものが飲みたくなった。
普段は珈琲だけれどお茶がいい。
戸棚に急須を見つけたものの、茶こしがなかった。
直に茶葉を入れていいものか……
ピンとひらめき、キッチンペーパーで代用して淹れた。
我ながら、その柔軟な発想に心まで温まる。へへん。

夕方、保育園のお迎え。
教室に飾られていた「運動会」の絵を見せてもらう。
五歳息子は「ソーラン節」を描いていた。
「絵も上手ですけど、国旗がすごいんです」と先生。
「普通は横に描いちゃうのに、実際の、縦にぶら下がってたのをちゃんと覚えてて――」

これには感心した。
俳句でも、頭の中だけで作った時に陥りがちな部分。
固定観念に囚われない目線を彼は獲得していた。

帰って妻とその話をする。
「すごーい」とべた褒めする妻に、柔軟と言えば――
と、茶こしの話を持ち出した。
「へえ。美味しかった?」とだけ返され、ブルと寒気がぶり返す。


秋時雨いまだ茶こしの見つからず

(あきしぐれいまだちゃこしのみつからず)

季語(晩秋): 秋時雨


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