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世代の違う新入社員と、何を話していいのかわからない【仏教で答える悩み相談12】
人の数だけ、悩みは尽きぬもの。
皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。
今月のお悩み
Q 4月から新たに入社した20歳近く年下の会社の後輩たちと、まだ親しくなれません。仲良くなりたいのですが、世代が全然違うので話題も思いつきません。自分と世代の違う相手と話をするとき、意識することはなんですか? (40代・女性)
A1年代問わず学ぶ姿勢を
私も同じ40代です。そして、私の勤める築地本願寺も20 歳年下の後輩がたくさんいます。話題も思いつかないことも多々あります。そんなときには、学ぶ姿勢で話を聴くようにしています。
自分より若い後輩たちであれば、「私の若い頃はこうであったけど、今はどうなの?」といった具合に、自分の若かりし頃の話をしながら、押しつけにならない程度におもしろおかしく話をすることも多いですかね。逆に年長の方とお話するときは、「ご自身のお若いころはどうでした?」と、お話を伺
うようにしています。
若い年代の方も、年長の方も、私の知らない世界をたくさん知っているでしょうから、それを聞かないのはもったいないと私は思っています。相手に関心をもって接し、いろんなことを教えてもらい、自らの糧とする。それが相手と話をするときに意識していることですね。
(築地本願寺コンタクトセンター・戸見嶋淳昭)
A2 共通の目的ですね
この春、大学を卒業し、就職前の一週間たまたま一緒に仕事をした人に聞いてみたんですよ。そしたら「普通に話せると思いますよ」という返答でした。むしろ上の世代が何を考えているかすごく興味があるとのこと。学生時代、人と人との接触が制限されてきた世代です。率直な気持ちなんだと感じました。案外、心配するほどでもないのかも知れません。
関心のあることが世代によって異なるのは仕方がありませんし、無理して相手に合わせても察せられてしまいます。でも、会社や仕事の話は共通ですよね。同じ仕事をしていく中で相手が分かり、相手にも知ってもらえます。時間はかかりますが、いい仕事になればなるほど、合う人とはより深く、面倒な人ともそれなりに話せているという実感はありますね。
(編集委員・牧岡大悟)
A3 親しくなれない現実も受け止める
「親しくなりたい」「仲良くなりたい」という気持ちを持って相手に接するだけでも十分だと思います。きっとその温かい心は何かしらの形で後輩たちに伝わりますよ。
私はといえば、最初から自分自身に「誰とでも親しく仲良くなれる」という期待をしていないので、基本的に何も考えずに人付き合いをしています。「仲良くなれたらラッキー」くらいの感覚です。参考にならなくてすみません。
ただ、同年代の人だったら誰でもすぐ親しくなれるかといえばそうではないですよね。血を分けた両親や愛を誓った夫婦であっても本当のお互いの気持ちを分かち合うのは難しいものです。だから、会社の後輩となかなか距離が縮まらないのは当たり前……という意識もどこかで持っておくと、少しは気が楽になりませんか?
(本願寺派布教使・横内教順)
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※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。