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和歌

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和歌の感想文。
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記事一覧

組曲『展覧会の絵』に見えた藤原家隆の和歌

 『ドイツの詩と音楽』(荒井秀直、1992、音楽之友社)という本をなんとなく読み始め、内容の…

えりんぎ
8か月前
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ダナエみたいな万葉歌

(意訳) 清らかな月夜に花を開く梅のように、 私が心を開いてお慕いするあなたよ。  清らか…

えりんぎ
1年前
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桜の気配(和歌)

(意訳) 枝先に、今にもあふれんばかりに 花の気配がこもっている。 気持ちが先走って 桜の咲…

えりんぎ
1年前
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優しくてちょっとアホな和歌(万葉集)

(意訳) 梅の花に降る雪を袖に包み 君に見せてあげようと、取り出すけれど すぐに消えてしま…

えりんぎ
2年前
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紀貫之の和歌 雪への眼差し

(意訳) 雪は 万物を覆い隠し 世界を白く染め上げてしまうが、 水には、自身の色も失い消える…

えりんぎ
2年前
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大切な今と、懐かしい過去(和歌)

 いつかの日常が思い出になってしまった事が、日常がいつか思い出になってしまう事が、たまら…

えりんぎ
2年前
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初夢に和歌を。

 師走もあっという間に半ばを過ぎました。  街に出ればクリスマスを、スーパーへ行けば正月を、テレビをつければ年末を、こたつに入れば引力を感じる、愉快でさびしげな季節です。  そして、読む人も限られたささやかなえりんぎの記事では、ばっちり迎春に備えようと思います。  以前こちらの記事でさらっと触れるも、あえて深入りしなかった和歌を紹介します。  大学の講義で、教授が「参考程度に」と丸っこいかわいい字で黒板に書いて以来、私を魅了して止まない歌です。  作者も出どころもは

砧の音が催す黄葉(和歌)

(意訳) 風が寒くなったので、 衣を柔らかくしようと砧を打つその時 ああ、萩の下葉は一段と…

えりんぎ
2年前
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真夜中の和歌

※写真は真夜中のじゃがいもです。  殊勝にも9時頃眠りについた晩、真夜中にふと目が覚め、…

えりんぎ
2年前
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桜を散らす涙 (和歌・絵画)

表現したいことが内に溜まるばかり、 創作のいろはを知らない私が 初めて記事を書く今日の京都…

えりんぎ
2年前
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モネとお寺と和歌

横浜市の閑静な住宅街に佇む禅寺、 東光禅寺。 祖父の一回忌のために訪れたそのお寺では、 庭…

えりんぎ
2年前
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薬師丸ひろ子「Woman "Wの悲劇"より」を和歌と共に聴く(1)

松本隆さんが紡いだ言葉を 薬師丸ひろ子さんの透き通った声が奏でる 「Woman "Wの悲劇”より」…

えりんぎ
2年前
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薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇より”」を和歌と共に聴く(2)

前回の記事では、 松本隆さん作詞「Woman "Wの悲劇"より」を、 百人一首にも採られる和歌「ゆ…

えりんぎ
2年前
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和歌「藤衣はつるる糸は」〜誤謬に注意〜

困った、困った、困った。 「私のイチオシ歌人は紀貫之です」。 この一文から始める予定だった。でも紹介しようと思っていた歌が、貫之作じゃなかった。どうしよう、何書こう。桜でも雪でもない今の季節、ストックの和歌も少ないし、季節感のない歌にしても、アウトプットするための言葉の準備ができていない。どうしよう。。。 と、ひとしきり困った後、勘違いがあったなりに素直に書くことに決めました。 私の気に入った和歌を始め、忘れたくない言葉を書き溜めている「私撰お気に入りフレーズ集(仮)