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真夜中のトラック|140字小説

戦車のようなトラックが、私の鼻先をかすめて通り過ぎた。
その轟音は、潰れた心に鞭打つようで不愉快極まりない。

負けるものかと叫んだが、口から発せられた音は誰に届くことなく、ヘドロのように濁った夜の中に散って溶けた。

――秋の夜長は嫌いだ。

淡くぼんやりと揺れる街灯の光を、苦々しく見る。

(140字小説)


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トガシテツヤ
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