沈む寺|毎週ショートショートnote
僕は朱色の大きな門を見上げていた。門の先には本堂と思われる建物が小さく見える。多分、この門からかなりの距離があるのだろう。
――また、この夢か……。
忘れた頃に、必ずと言っていいほど見る夢。
この寺院らしき場所が何なのか、どこにあるのか、そもそも実在するのかも分からない。
ネット上で京都や奈良の有名な寺院を一通り調べてみたが、今のところどれも夢の中の場所とは合致しなかった。
門をくぐり、本堂までの真っ白な道を少し歩いたところでいつも目が覚めてしまう。具体的な場所を示す手