トガシテツヤ

北海道から茨城にUターンし、とある物流倉庫でフォークリフトに乗っています。主に小説やショートショートが中心。第1回文苑堂54字の物語コンテスト最優秀賞&特別賞。第12回自作小説の一節コンテスト最優秀賞。note創作大賞2023最終候補。たまにピアノで西村由紀江さんの曲を弾きます。

トガシテツヤ

北海道から茨城にUターンし、とある物流倉庫でフォークリフトに乗っています。主に小説やショートショートが中心。第1回文苑堂54字の物語コンテスト最優秀賞&特別賞。第12回自作小説の一節コンテスト最優秀賞。note創作大賞2023最終候補。たまにピアノで西村由紀江さんの曲を弾きます。

マガジン

  • 小説&ショートショート

    小説は主に短編です。 朗読に関しては、「お願い」と「禁止事項」をご一読ください。 https://note.com/t_design04/n/n7e560b3ddef6

  • 毎週ショートショートnote

    たらはかに(田原にか)さんが毎週日曜日にお題を出し、そのお題に沿ったショートショートを書く企画です。 朗読に関しては、「お願い」と「禁止事項」をご一読ください。 https://note.com/t_design04/n/n7e560b3ddef6

  • 140字小説&54字の物語

    140字小説&54字の物語です。 朗読に関しては、「お願い」と「禁止事項」をご一読ください。 https://note.com/t_design04/n/n7e560b3ddef6

  • 日記とか

    気ままに書いてます。

  • 創作大賞2023・2024応募作品

    私が書くのは1万字以内の短編が多いんですが、これからは中・長編や連作短編にも挑戦したいと思います。 「ノクターンによせて」(note創作大賞2023 最終候補作品) 「シネマのように」(第1回Solispia文学賞 最終候補作品)

最近の記事

創作大賞2023作品募集開始→4月25日 創作大賞2024作品募集開始→4月23日 みなさーん!創作大賞2025の募集開始は……  約 5 か 月 後 で す よ ー ! 1年後じゃないですよー! もう勝負は始まってますよー! ちなみに、私の誕生日は4月25日です。(謎

    • やさかさん|掌編小説

      「はぁ……」  吉井さんはため息をついて、スマートフォンをテーブルの上に投げた。これで何度目だろう。 「一体誰からの連絡を待ってるんですか?」  さすがにムッとした僕は、少し強めの口調で言う。 「やさかさん……」 「は? 何ですか?」  もちろん聞き取れたが、それが場所なのか人の名前なのかは分からない。 「京都出身なんだってさ。だからって『やさか』なんて、なんか嘘っぽいわよね」  酔っ払った吉井さんとは、全く会話が噛み合わない。「やさか」という人がどんな奴かは知

      • 朝霧|掌編小説(#シロクマ文芸部)

         ――霧の朝は外に出るな。  それが小さい頃に住んでいた町の、掟のようなものだった。霧のせいで学校や会社に遅刻しても、許されるくらいに。  四方を山に囲まれた小さな町は、霧なんて朝晩問わずよく出ていた。「霧の朝は外に出るな」というのは、単純に、視界が悪くて危ないからだと思っていたが、それが違うと知ったのは、高校生の時。  部活の朝連で、朝の6時前に家を出ようとした時、外にはうっすらと霧が出ていた。さっきまでは霧なんて全く出ていなかったのに、変だなぁと思いながらも、天気は晴

        • 長距離恋愛販売中|毎週ショートショートnote

          「彼女のことなんだけど……」 ファミレスで席に座った瞬間、山本が切り出した。 「ああ? 別れるってか?」 俺はメニュー表を開く。腹が減って、今は食べること以外に興味はない。 「距離がなぁ……」 「おいおい。彼女さんは神奈川だろ? 東京と神奈川なんて隣同士じゃねぇか。贅沢言うなよ」 「それよそれ!」 山本はビシッと俺を指差す。 「近すぎるんだよ。会おうと思えばいつでも会える。何なら今からでも会える。そんなの、ありがたみがない」 俺はメニュー表を閉じた。言いたいこと

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        • 創作大賞2023・2024応募作品
          18本
        • 演奏(ピアノ)
          14本

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          雲の中のタワー|掌編小説

           ――初デートが雨だった。  そういう人は、世の中にどれくらいいるんだろう。「雨」というだけで、デートがぶち壊された気分になる。  駅の改札口を出て、柱にもたれながら鉛色の空を見上げた。笑いたくなるほどの土砂降りで、もうため息しか出ない。  1週間前から、四六時中天気予報を見ていた。デートの日は曇りマーク。雨さえ降らなければいいと思っていたのだが、曇りマークはすぐに雨マークへと変わった。  ――嘘だろ!  仕事中にパソコンで盗み見た天気予報に、思わず声が出る。他の日は

          雲の中のタワー|掌編小説

          朗読についてのお願い

          私の小説を朗読して頂き、また、「朗読してみたい」と思って頂き、ありがとうございます。 配信での朗読や、複数人の声劇形式も大歓迎です。 朗読するにあたり、以下の「お願い」と「禁止事項を」ご一読ください。 【お願い】 ・事前、事後報告は任意ですが、お知らせ頂くとありがたいです。 ※下記の「クリエイターへのお問い合わせ」かエックスのDMをお使いください。 ・作者名に「トガシテツヤ」と明記し、可能であればnoteのURLも記載してください。 ※作者が全然違う人の名前になってい

          朗読についてのお願い

          渡す方にドラマがあれば、受け取る方にもドラマが生まれる(#本屋さん開店します)

          メディアパルさんの企画「#本屋さん開店します」に参加します。 世代的に、「本屋」と聞くだけでロマンを感じますね。 本屋、図書室、図書館…本好きにとっては最高の場所です。 高校の時、放課後に好きだった子と一緒に図書館に行くのが最高の時間でした。 図書館なので会話はしませんが、お互いに存在を認識しながらテーブルに座って本を読む…。 もうね、本の内容なんか頭に入ってこないんですよ。(笑) インターネットなんて代物がなくても、十分に幸せな(略 前置きが長くなりましたが、私が本

          渡す方にドラマがあれば、受け取る方にもドラマが生まれる(#本屋さん開店します)

          沈む寺|毎週ショートショートnote

          僕は朱色の大きな門を見上げていた。門の先には本堂と思われる建物が小さく見える。多分、この門からかなりの距離があるのだろう。 ――また、この夢か……。 忘れた頃に、必ずと言っていいほど見る夢。 この寺院らしき場所が何なのか、どこにあるのか、そもそも実在するのかも分からない。 ネット上で京都や奈良の有名な寺院を一通り調べてみたが、今のところどれも夢の中の場所とは合致しなかった。 門をくぐり、本堂までの真っ白な道を少し歩いたところでいつも目が覚めてしまう。具体的な場所を示す手

          沈む寺|毎週ショートショートnote

          秋と本の秘密|掌編小説(#シロクマ文芸部)

           ――秋と本には秘密があってね……。  その本を見るたびに、私は2年間一緒に仕事をした司書、宮下さんの言葉を思い出す。  新しく建てられた別館に図書室を移設するため、ここ数日、書庫にある膨大な本を運び出す作業に追われていた。本棚から本を落とさないように、慎重かつ丁寧に台車に乗せるのだが、この作業がなかなか辛い。  ――ああ、腰にくるわねぇ。  手を休めて、腰をトントン叩く。本は1冊だと重くも何ともないが、3冊、4冊ともなると、驚くほどずっしりとくる。 「ほらほら、手

          秋と本の秘密|掌編小説(#シロクマ文芸部)

          非常時に使えなかったら「非常用」じゃねーだろ

          月曜と金曜、そして祝日の前などは出荷数が跳ね上がる。 特に先週の木曜と金曜は「文化の日」と合わせた3連休前で「特別受注体制」になり、 「え? これは我々に『死ね』って言ってます?」 というくらいの仕事量だった。 遅番だったので正午に出勤すると、夜勤の人が休憩室で寝て…いや、魂が半分抜けた状態で気絶していた。 早番の人に「どんな状況ですか?」と聞くと、帰ってきた答えが 「ああ?」 の一言。 うん、実に分かりやすい答えだ。 一通り状況を確認すると、午前中に終わっている

          非常時に使えなかったら「非常用」じゃねーだろ

          記憶|140字小説

          外からドーン、ドーンと音が聞こえる。 花火だろうか。 季節外れだなと思いながらも、仕事に忙殺されて夏らしいことを何もしなかった僕は、ちょっとワクワクしながら外に出た。 そこには真っ暗な空と、街灯に照らされて長く伸びた僕の影があるだけ。 ただ、静寂があるだけ。 「なんだ。遠い日の記憶か」 (140字小説) こちらもどうぞ。

          記憶|140字小説

          夜の鍵|140字小説

          夜の鍵を閉める係を担当することになった。 勝手に開かないように、しっかりと夜の帳を下ろし、鍵をかけ、眠る人や働く人を静かに見守る。 朝の担当者に鍵を渡そうとすると、 「これからは夜が長くなるから大変でしょう?」 と言われた。 いや、今は秋の夜長を楽しむ人が多くて、見ているこちらも楽しい。 (140字小説) こちらもどうぞ。

          夜の鍵|140字小説

          喉元過ぎても熱さを忘れないように(#創作大賞2025に向けて)

          創作大賞2024が幕を閉じた。 ハッキリ言って今回、2023年ほどの熱量を注げなかった。 北海道からのUターン、そして転職と、とてもじゃないが小説を書いていられる状況ではなかった…というのは、やっぱり言い訳になってしまう。 創作大賞2023の最終選考で落選した悔しさを、1日たりとも忘れたことはない。もちろん、今でもそうだ。そのくらい本気で受賞を目指し、本気で楽しんだ。 だからあの時、 「待ってろよ! 創作大賞2024!」 なんて言って、目標を創作大賞2024に絞り、

          喉元過ぎても熱さを忘れないように(#創作大賞2025に向けて)

          渚のバルコ|掌編小説

          「ちょっとバルコの様子、見に行こうぜ」  夏休み最後の日の夕方、突然親友の大橋から電話がきた。  一瞬、「行ってどうすんだよ」と言いそうになったが、多分そう言われることを承知の上で僕を誘っているのだろう。 「分かった。すぐに出るよ」  スマートフォンだけを持ち、母の背中に「ちょっと海に行ってくる」と告げる。 「もうすぐ夕飯できるんだけどー!」  母の、少しだけ怒りを含んだ声に、「すぐ帰るからー!」と返事をして、勢いよく玄関のドアを開けた。  自転車に跨り、10分も

          渚のバルコ|掌編小説

          それでも地球は曲がってる|毎週ショートショートnote

          「彼女ができました」 スマートフォンに、友人から写真付きのメッセージが送られてきた。写真には、ニヤけ顔の友人と微笑む美女が写っている。 俺はその写真を見て、違和感を覚えた。別に羨ましくない……わけではないが、素直に「おめでとう!」という気になれない。 もう一度写真の美女を見る。 AI彼女でも、イマジナリー彼女でもなさそうだ。 普通、「好きな人がいるんだ」とか、何かしらの「前置き」があると思うんだが、そんなものは微塵もなかった。いきなり「彼女ができました」と写真が送られて

          それでも地球は曲がってる|毎週ショートショートnote

          旅人|140字小説

          地平線を歩いて来た旅人が、疲れた顔をして言った。 「人がいるところは騒がしくていかん」と。 今度は水平線を渡ると言うので、長旅になりそうですかと尋ねると、「くじらとの会話が弾めば、そうなりますね」と笑った。 「道中お気を付けて」 遠ざかる背中に声をかけると、旅人の姿は水平線に消えた。 (140字小説) こちらもどうぞ。

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