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離婚。無職。30代半ばゼロから絵を描き始めた作家の個展を観て。



優しい黒の色に
なんだか泣きたくなった。

31歳で離婚し、夫と2人の子どもと別れ、
わずかな荷物を持って上京。
仕事を探してたまたま目にしたレストランのスタッフになる。
そこでメニューに添える絵を描いたことを機にデザインを工夫していった…。

30代半ばから絵を描き始め、
病気で亡くなる49歳までの間に描いた
【やまぐちめぐみさんの個展】を観に行った。

青い目の猫。
メルヘンチックな淡い色。

可愛い。

でも、それだけじゃない。

なぜか、心の隙間に沁みて泣きたくなる。

その気持ちがどこからくるのか、考えてみる。

画材はクレヨンのようだ。何色も重ねて、削ったような跡がある。

めぐみさんが、クレヨンを使い始めたのは、
自己免疫疾患と肺の病気により、力が入らなくなってきたからだという。


これにより、柔らかい作風に変化したとのこと。

さらに、病が進行して体が動かなくなったことにより、無駄なりきみがなくなったという……

朽ちてゆくことの怖さと時々出会う。
花たちのようにその命の行く
そのままにあるだけで
美しいのだということを
私が自分のこととして
讃えられる日が早く訪れますように。

(ウインドチャイムブックス発行
『ボタンとリボン』vol.5「贈る日々に」より)
不安に追われて押しつぶされそうになる日も
あったんだろうな。

晩年2015年ごろの絵は、本当に美しい。


病によって、絵が完成されていくことがあるんだ……。



窓を開けると東の空は朝焼け、太陽の昇りきるほんの少しの時間
部屋の中いっぱいのオレンジ
そのいっぱいのオレンジ色の中でベッドを整える作業が好き

やまぐちめぐみさんのmixiより


面白いと思ったエピソードがある。

入退院を繰り返していためぐみさんが、陽当たりのよい広々とした部屋への引っ越した話だ。

そのことにより、

ずっと集めていた雑貨や古い家具、絵本を身近に並べ、毎日花を飾り、身なりを整え、新しい生活のリズムを掴むことができた。

そして、以前にも増して、熱心に絵を描き続けた。彼女がようやく手に入れることができた、好きなことに没頭できる空間だった。

この話を聞いて、日当たりのいい窓のある部屋って大事だなと、しみじみ感じた。それほど心に影響を与えるんだなぁ…!覚えておこう!

さいごに
やまぐちめぐみさんのX(旧Twitter)を。
最後に更新された投稿。

何かをはじめる時
「出来ない理由」を
人はいくらでも並べてみせて
「だからまだ、」とか「できっこない」って
人に向けてだけではなく
自分にも向けて言うけど
私は出来る理由をまず、
自分に向けて並べるようにする。

やまぐちめぐみさんのmixiより



個展を観た後に、記事を書く時間が
すごく幸せーーー。

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