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何も置かない贅沢を教えてくれた美術館
25メートル以上ある壁には
たったひとつの青い絵しか
飾られていなかった。
美しい余白だ。
深い青は
その余白によって
より深みを増していた。
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石川県金沢市にある
【金沢21世紀美術館】
へ行ってきた。
青の作家と呼ばれる、イヴ・クラインの展示があっていた。
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《時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの》
青の表現は私も好きで、とても刺激になった。
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青の空間に
光の棒が浮かぶ。
ピラミッドのようでもあり
空間の切れ目のようでもある。
暗くて重低音の響く部屋に入るなり、母は怖いと言って、早々に出ていってしまった。
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青い砂(→青い顔料)が敷き詰められた空間。
黒く宙に浮かぶラインは
雨のように細く影を落としていた。
【コメントにて、大網亮一さんより正しい情報を教えて頂きました☟】
イヴ・クラインの作品、青い「砂」ではなく「顔料」です。あれを練って絵の具にします。「顔料そのままが1番美しい」という主張のようです。因みにアレ、純度の高いとってもお高い顔料です。
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金箔の背景から飛び出して見える。
いや、実際に飛び出しているのだ。
この、青い人は。
ゴールドと青の相性の良さを知る。
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美術館の外にも目を引く展示物があった。
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色の重なりによって見える世界が変わる。
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無数に存在している世界が見える。
また、インスタ映えしそうなスポットには
若い人がたくさん列を成していた。
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私も例外ではなく、
カメラを向け、何枚も写真を撮った。
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続いて、徒歩10分ほどの所にある
鈴木大拙展へ。
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薄暗くスッと伸びる長い廊下を歩くと
グッと自分の中へ入るような感覚になる。
そこを抜けると、
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パッとひらけた空間が現れる。
空には羽音も立てずトンビが旋回しており
私はただ、揺れる水面を見つめていた。
これも余白の贅沢。
写真で見るのと、その空間に身を置くのでは、感覚が全く違う。体験して分かることがやはり、ある。
金沢の高校生は無料で入館していた。
金沢の子どもたちはきっと幼い頃からこうした文化に触れているのだろう。
羨ましい…。
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飛行機で「金沢を歩く」という本を
読んでいた。
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その本のエピソードで、築80年を経過した旧県庁舎が取り壊され、跡地をどうしようかという話が印象的だった。
金沢の景観を保護するか、例外として高さ50メートルのアンテナの移設を認めるか議論が白熱したが、
市長は
《何もつくらないことの贅沢が
あるのではないか》
と繰り返し訴え、結果的に「何も作らないこと」が決まった。こうして金沢城の石垣がのぞまれる大きな緑地空間が都心に生まれた。
こうした空間の意識は、街づくりから始まっているのかと、この街に来て
理解が深まった。
ちなみに、この時、跡地利用の候補として「未来型図書館を核とした多機能複合施設の整備案」も出たらしい。
これは、おそらく2022年7月16日にオープンした「新石川県立図書館」のことじゃないかと思う。
少し都心から離れたところにあり、行こうか迷ったが、行って大満足だった。これを見ずに帰ったら後悔していたかもしれない。
私が金沢旅行で一番感動したのは、この図書館なのだ。この図書館を見た人は、金沢住民になりたいと思うだろう……。
これはまた別に記事で紹介したい。
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新石川県図書館については、こちらの記事に詳しく書きました👇
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