【書評】「インターネット的」/最近の話【基礎教養部】
時空間を超えて人とつながれるインターネットのおかげで生まれた出会いがいくつもある。インターネットのおかげで僕らは出会えた。あなたに言っていますよ。
自分の生活圏には存在しない人間の、個人的な話を聞くのは面白い。と個人的には思っている。面白い話をしようとしなくても、ただ自分のことを話すだけで、刺さる人には刺さると信じて、いや、誰にも刺さらなくてもいいのだが、書いていこうと思う。こうして無名の私が全世界に向けて発信することは、とてもインターネット的である。
最近あったこと、そうだな、大学院入試の話をしよう。
私は現在学部4年である。どうしても研究したいことがあって!というわけでもないのだが、とりあえず院進という感じで、就職のことなんか全く考えずに夏に突入。卒論でやっている内容の枝葉の部分に面白さを感じて、やるんだったらそっちの方を専門的にやりたいと思って、外の研究室を受験する準備もぼちぼちしていた。興味のある分野なので、知識ゼロからのスタートではなかったが、それでも知らないことだらけだった。
自分の研究内容も決めないとだし、試験も突破しないといけない。
図書館で関連しそうな本やキーワード辞典を借りまくった。自分でも読めそうなものを選んで、ひたすらに読んだ。大変だったけれど楽しかった。久しぶりに勉強した感じがした。
結局試験も面接もうまくいって、合格した。言語学の研究室である。
人文系の院に進むと就職が…とか言ってくる人はまあまあいるのだが、私は別に気にしていない。就職のために大学院に進学するわけではない。なんとなくこっちの方が楽しそうだなと感じる方向に向かっていけば、自分の人生もなんとなくいい感じになっていくだろうと楽観的に構えている。この考えは甘すぎですかね。
結果は良かったし、勉強も楽しくはあったのだが、それでも結構キツイ部分もあった。とりあえず試験に受かるために勉強しているけど、範囲がきっちり決まっているわけでもないし、どこまでやればいいのか分からない。日課のジムに行く時間も削った。なぜか生活リズムが乱れた。フラッシュバック的なやつも何度かあって、MRIを撮ったり脳波検査をしたりもした。まあそんな感じで色々と重なってヤバめにはなっていたのだが、幸いなことに、そういう自分の状態を報告できる人たちがいた。自分が良くない状態にあることを知ってくれている人がいるだけでも安心できる。気兼ねなく頼り、頼られる関係は理想的だと思う。僕自身、人に頼るだとか弱みを見せるだとか、そういうのをしないように、強がっていたような部分があったが、最近そういうのも無くなってきた。変わってきた。
心身の問題の多くは、しっかりとした睡眠習慣を確立することですっかり治ってしまうことが多い。よく言われることだし、私も経験的に知っている。しかしそれが分かっていても、一度乱れたリズムを取り戻すのは難しい。眠いのに、寝ようとしても眠れないときもある。そんなときは横になって目を瞑るだけでも休息になっていることを信じて、ベッドの上でジッとしている。ただ、そうするとクーラーの稼働音がひたすら聞こえてくるだけで、得体のしれない不安が増大するし、かといって耳栓をすると今度は無音が気になる。結局、ヘッドホンを付けてラジオ的なのを流したりASMRを聴いたりすることになる。最近私が助けられているのは、VTuber「尾丸ポルカ」である。ありがとうポルカ。調子が悪いときに「頑張れ!負けるな!!」と励ましてくれるのではなくて、「辛いときは休もうぜ」スタンスなのが私と合う。
以前の私であれば、多少言い過ぎではあるが、「キツイことであろうが何だろうが筋肉で乗り越えろ」的な脳筋思想に偏っていたような気もする。そう、私を知らない人に向けて説明しておくと、私は筋トレが趣味である。というより、もう生活の一部になっている。体育会の部活で部長を務めていたこともあって、なんというか、強くあれ!的な考え方に支配されていたのかもしれない。それも最近は無くなった。調子を崩すときは崩す。休みが必要なこともある。そういった自分の弱い部分、いや、そもそも弱さでもなんでもなく生きていたら遭遇する当然のことに目を向け、認め、それを周りの人にも伝えることができるようになってきた。
こんなところだろうか。無名の私から、あなたへ。面白くはなかったかもしれないが、何かを感じ取ってくれたら、それだけで嬉しい。