![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144458145/rectangle_large_type_2_c9d129be7034528e9c2ebc6e749de532.jpeg?width=1200)
100年の孤独/放哉に想う〈Vol.22〉 小豆島南郷庵を偲ぶ Ⅱ
松の下掃く一厘落ちて居る
いまから30年前の1994年(平成6年)4月7日の放哉忌に「小豆島尾崎放哉記念館」が開館しました。そう、ここは放哉が大正14年8月から8カ月間過ごした西光寺奥の院南郷庵です。そこを当時のままに復元したと同館のリーフレットに書かれていました。
全句集のなかでも詠まれている庵の大松は、1976年(昭和51年)に松くい虫によって枯れてしまい、その後、植え替えられて現在の松(写真)になったそうです。2代目とはいえ、四方に伸びた力強い枝ぶりに往時を偲ぶことができました。
南郷庵を訪れたお遍路さんが大松の下に落としていった一厘硬貨。それを見つめる放哉のまなざし……。銭湯代三銭の当時、四カ月入浴しなかった無一物の放哉は、すでに社会と隔絶した世界を生きていたのでしょう。