寂しさの獣

寂しさの獣が
何の前触れもなく眼をさました
そうして　私を捕らえようと
ゆっくりと　その巨躯きょくを近づけてくる

寂しさの獣は残忍なので
ゆっくりとしか追っては来ない
しかし　その悍おぞましさときたら！
私を怯えさせ　震え上がらせるには充分だ

寂しさの獣はひと吠えすると
その声は私の心に食い込んで
不安を伴う出血をさせる

さあ　もうすぐだ
寂しさの獣がその鋭い歯で
私を一瞬で噛み殺す時は！

(2024.12.27)