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Photo by
maryk
言葉をおしえて
いつもそうだ
素知らぬふりしてあの人を待っている
その待ち人は何気なく現れて
それとなく話はじめ なんとなくそばにいて
声に喜びがあふれたりしないように
瞳に愛しさが漏れないように
あくまでも自然体な素振りを
好きをあからさまにできない癖
ぬくぬくと愛しい布団で見る夢のその最中
ソワソワと待って
待っていることすら見せないで
ようやっと目の前に現れたあの人は
濡れ髪の風呂上がりで
あぁ もう そんなセクシーな…
けれども私に巣食う癖は抜けないで
「早く乾かさないと風邪ひくよ?」
などと 素っ気なく口をたたく
あぁ これは私の
いつもの勝手で幸せな夢なのに
こんな場面さえ 私
可愛くもなれない
たけど
たとえば
包み隠さぬ想いを伝えていいとして
解けた笑顔で 言葉にして
瞳は潤み 思わず声がうわずっても
この想いのどれほどを伝えられるだろう
あなたを好きだと
何をどうして伝わるだろう
とうてい伝えられないんだよ
自分でも抱えきれなくて
ただただあなたに魅力されるのを
あなたに届け得る形もわからずに
鼻歌にこぼす
ずいぶんと役者でしょう
アラームが鳴っても
あなたの髪が半分乾いても
「好きだよ」
今朝も言いそびれて目覚める
言葉を教えて
あなたを想うだけの言葉を