キミへのアイ。
6時に起きなくてもいい朝は、涼しくて、
フカフカとキミを抱き寄せる。
コトンゴトゴトと、居間で物音がし始めてもナァーナァーと猫が呼んでも。
右を上にしたり左、膝を立ててみたり倒し、はみ出ながら、バフンとキミを抱きしめる。
ジャリ…ジャ…カプッ と
頭上の金魚は腹ペコで。
カーテンの隙間の光はもう立派に色付いて。
「おはよー」 と人差し指が往復しながら
片目ずつ光る画面へピントをあわせてく。
今日は、ナニを、スル、だっけ。
ナニか、シナクテハ、だったっけ。
フカフカとキミは柔らかで、
ずっと埋もれてていい?
んんー。
結局、私ってのは、
キミのことを
心底、アイしてるんじゃないかって。
こわいんだ。
煌びやかな金魚よりも小さなメダカよりも、
甘えんぼうの黒猫よりも、忙しい娘よりも、
隣りで死体のように寝ている夫よりも。
ギューッと心から抱く
…キミを。
「ねー、ご飯ないんだけどっ?」
ガチャッ!!と急に、
甘く幸せな密会が寸断される朝。
キミを跳ね除けてしまうなんて。
こんなにアイしてるのに。
───あ。起きます。