友達の「線」。
「友達になろう」と言うのは、
それまで「恋仲」だった二人には、
なかなかに難しくて。
私など、彼女との思い出や、彼女への想いを整理するために、綴ってきたようなものだ。
「おひしぶり。
なかなか連絡できずごめんなさい…」
と、メールが来ていたのは、休みなのにじっと仕事をしていた夕方のこと。
当時は、彼女からの連絡を待ち、通知音にパブロフの犬なみに反応していた私が、今では嘘みたいにほったらかしているスマホへ。
何のことはない。
「新しい住所と、近況報告です」という、
複数人へ送られているであろう、
当たり障りのない連絡事項だった。
「子どもたちも会いたがっているから、
またあたたかくなったら、そちらへも
遊びに行きたいです」
そう綴られたメールは、あたたかな挨拶で、家族思いな彼女の、気遣いの丁寧な文面。
近況が知れてよかった。
連絡もしてくれて、よかった。友達として。
ただ、私だけが。
その見えなかった彼女の引いた線が、
明らかなその線が、
ちゃんと見えるようになった。
越えてはいけない、もう二度と越えない線。
大切な線。
男女の友情にしたって、私にとっての女同士の友情にしたって、その線を意識したり、越えたりしなければ、問題はなかったのに。
「お久しぶりです。
ご連絡ありがとう。
あたたかくなったら、
またみんなでランチいけるといいね」
もう、間違えたりしない。
「友情」を成り立たせるためには、
「条件」があると、知ったもの。
見えてなかったあの「線」を、
今はもうちゃんと見えているから、
きっと大丈夫。