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人を繋ぐ炎。
火の神の元、窯に命が吹き込まれ、脈々と炎が立ち上り今日で四日目。六連房の登り窯は、100時間焚き続ける。
六房ある登り窯の、六房目にとうとう炎が吹き出した。
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油分の多い赤松の薪を、炎の色をみながら焚べていく。まるで生きているみたいに、ゆらゆらとめらめらと燃える炎。
窯の温度計は1200度前後を保ち、約五日昼夜交代制で火の番をするのは、地元の同年の会や、町づくりの会や、窯の会の方々など。主に男性陣のてによって、命の炎は守られている。
約3000点の作品たちは、果たしてどんな顔をして生まれてくるだろう。
🔥🔥🔥
そんな登り窯には、見学のお客様もやってくる。ちょうど昨日も、私が車から降りて窯へいく途中、小さなかわいらしい軽自動車がふわっと寄って、様子を伺っていて近づいてみると
「車がたくさんとまっていて、何だろう?って思って…」
と、20代くらいの若い女性二人がニコニコしていたので、
「今、ちょうど登り窯を焚いているところで。よかったら、見て行きませんか?すごい炎ですよ」
とお誘いすると、
「わぁ!ぜひ!」
と立ち寄ってくださった。
ボーイッシュなハキハキと明るい女性と、小柄でふんわりボブの優しげな女性。なんだかまるで、私の描く小説に出てきそうな雰囲気の、絶妙なバランスのお二人だった。
工房の中へお招きし、お茶をお出ししながらこの窯の説明やら、陶芸体験の話しをして、途中から窯の会の会長さんも一緒におしゃべりをした。
隣県から30分くらい車を走らせて、もう少し先にある岩村町名物「かんから餅」を食べに行くところだったという。
休日のドライブに、通りすがりの気になるスポットにも足をとめてみる、そういう寄り道しながらのドライブって素敵だ。
「見に行ってみる?」
「うん、行ってみよっか」
かわいい。。。
若い女性のお客様に、当番のおじさまたちも俄然張り切りだすのがわかる。
「よーし、焚べよー!もっとー!」
「えぇーぞー!えぇ火やー!」
彼女たちは、【希望の薪】にそれぞれ願い事を書き、皮の手袋をして防護マスクを装備して、六房目まで登って、1200度の窯の口へ薪を焚べる体験までしていってくれた。
「熱いっ!熱いっ!」
と言いながらも入れ終わったあと手を合わせて、
「これ、願い、叶いますね!」
とニコニコ。かわいい。。。
撮った動画をairdropで送ると
「貴重な体験ができて嬉しいです!」
と喜んでくれて、おでこに付いた煤に気がついて、お互い笑いながら拭き取り合う様子がまた可愛らしくて。
「また遊びに来てくださいね」
と、最後に工房の講座案内をさせていただいて、お二人はまた仲良くドライブへと戻って行った。
雨足が強まってきたころ、今度はピンク色のカッパを着た小さなお客さんが、お母さんとおばあちゃんと手を繋いでやってきた。カポカポと小さな長靴をならして。
けれども、おじさまばかりの集団を見るや顔がこわばってしまい、一歩も動けなくなるどころか、クルリ向きをかえ、
「…かえるぅ」
と、帰っていってしまった。あの頑なな横顔が、トトロのメイちゃんみたいで可愛かった。
明日で窯焚きは最終日。
炎というのは、いろんな人を繋いでいく。