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伊藤計劃のブルース・スターリング含有率。
アマゾンでブルース・スターリングの『ネットの中の島々』を注文して読みました。下巻は700円くらいのが一冊だけマーケットプレイスにあって、わたしが買ったら品切れになり、その後3980円で復活してた。
復刊しないかなー。
『ネットの中の島々』については、例によって伊藤計劃氏が大変すばらしい解説をWebに載せている。未見の人はぜひ。
ということで、『ネットの中の島々』を読んで一番面白かったのが、伊藤計劃作品への影響が、結構もろに見えるところだった。
似てるなーってところをチョイス。
そうした「島々」の「反ネット」な闘争組織も、「ネット」圏の物資や考え方を自分達の中から追い出すことが出来ない。悪魔たるテクノロジーを追い出した本人ですら、自分の頭の中に小さな悪魔(テクノロジー)を飼っている
地獄はここにあります。頭のなか、脳みそのなかに
「イナディンてなんなの?」
「トゥアレグ族は知っているかい? サハラの部族だ。知らない?」男はターバンの額のところをさげ、裸になった目に影を作った。「まあ、いい。彼らは自分たちを”ケル・タマシェク”と呼んでいる。”トゥアレグ”というのはアラブ人の呼び名だー”神に見捨てられたもの”という意味だ。
「トゥアレグ、というのがアラブ語でどんな意味か、知っているかね」
「あいにく」
「『神に見捨てられし民』だよ、お嬢さん。余所者が勝手につけた名前だ」
「じゃあ、ケル・タマシェクっていうのはどういう意味なの」
「『タマシェク語を話す人々』だ」
どう考えても神に見捨てらし民のほうがかっこいい。
「大佐ーまるで誰の共感も期待していないようなお話ぶりですのね」
「していない。君たちは君たちの体制によって生きている。ウィーン、マリ、アザニアーみんな帝国主義のハードウェアだ、ブランドネームのちがいにすぎない」
ーマリやニジェール、アルジェリアの独裁者とも闘った。どれも同じ、帝国主義のハードウェアだよ。あなた方のいう<生命主義>とて、それらのソフトが入れ替わったにすぎない代物だ」
かなり影響丸出しではないか?
スターリングの別の長編、『ホーリーファイアー』は高度医療社会が描かれるとのことで、『ハーモニー』の直接の影響もとになるんだろうなぁ。
初めて伊藤計劃を読んだ時は、SF小説自体初めての経験で、強烈なオリジナリティを感じたものです。しかしこうしてルーツを掘り下げていくと、その思想はさまざまな書籍、映画、SF小説のパッチワークのようにみえる。
たくさん本を読めば、あなたも次世代のSF作家になれるかもしれないよ。