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イラストで学ぶ!肩腱板断裂の病態理解
肩腱板断裂の病態理解編🤗
医療人は勿論、トレーナーやインストラクター等ボディワーカーも含め
人の身体をを見る専門家は
避けては通れない肩関節痛。
その中でも
腱板断裂の病態理解は、肩関節疾患を見る上で非常に大切です。
痛みがあるなしに関わらず、腱板断裂は知って置かなければなりません。
それは何故か?
腱板断裂は,代表的な肩関節変性疾患である.本邦で約1,900万人に存在するといわれ,40歳台以下では5.1%であるが、70歳台で45.8%、80歳台で50%と、加齢依存性の発生がみられる。画像上腱板断裂がみられても,無症候性の断裂がその65.4%を占める事実は,断裂イコール治療の対象ではないことを示している.
腱板断裂には、年齢にもよりますが無症候性が半数近く存在すること。
他にも60歳以上の高齢者の54%は腱板断裂を起こしているという報告もあります。
そして、腱板は後述する"Critical Zone"が存在するため
一度組織損傷を引き起こすと自然治癒は難しいと言われています。
そのため、
一度損傷した組織には負荷をかけず、他のカフ群や周囲筋・肩甲胸郭関節や肩甲上腕関節との協調性を改善することで過負荷を避けつつ肩関節機能の再建を図る必要性があります。
※本投稿では、
非Ope群(保存療法)を中心にお話ししていきます。
ちなみによく行われるOpeは
ARCR(Arthroscopic Rotator Cuff Repair:鏡視下腱板断裂修復術)
がポピュラーかと思いますがここらへんの話はまたにします!
※イメージ動画、下記本文添付。
※当オンラインサロンには、
リハ職種・柔道整復師・鍼灸師・Yoga/Pilatesインストラクター/医療系学生/看護師等幅広い分野の方が在籍されています。
そのため、
イラストを用いて、明瞭に理解できる様なサービスを展開しています。
理解出来ている方は、
より高いレベルに。
苦手だな、、と思う方は何度も見返しながら、是非臨床の一助になれば幸いです!!
ちなみに、
肩関節解剖が詳しく知りたい方は
是非こちらもCheckしてみて下さい。
※解剖が頭に入っている前提でお話ししていきます。
”Agenda”
①Rototor cuff injury:肩関節腱板損傷とは?
②腱板の作用及び機能特性
③肩周囲のフォースカップル(矢状面・水平面)
④SSPが最も断裂が多い理由
(Critical Zone)
⑤断裂分類
⑥CTから見る腱板断裂
⑦脂肪浸潤
⑧MRIから見る腱板断裂
(Tangent sign/Goutallier Grade )
⑨”絶対理解できる”整形外科的テストのイラスト
1 Rototor cuff injury:肩関節腱板損傷とは?
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腱板は、棘上筋(SSP)、棘下筋(ISP)、小円筋(Tm)、肩甲下筋(SSC)からなります。それぞれ作用が異なるため収縮方向のみならず周囲組織との3Dの構造理解が必要です。
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上腕骨頭を包み込む様に、
4方向から求心位に押しつけてくれるのがカフの主作用です。
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肩関節は球関節であるが故に自由度も高く、
その反面脱臼のリスクを常に抱えている関節である。
60(4);593-603. pii: S0033-8389(22)00033-1.
同じ球関節としては
股関節が比較材料として挙げられます。
肩と股関節との決定的違いとしては、
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骨頭と関節窩との関係性・適合性に要因があります。
ここを理解すると、何故カフが必要なのかがわかります。
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肩関節腱板損傷は、構造的に不安定な肩関節の安定性を補ってくれるローテーターカフの損傷により、更なる不安定性を生み、その機能を他の筋群で代償することで、関節包内運動が阻害され、インピンジメントや、周囲炎等の二次障害を加速させる要因となる。
参考文献:Hawkins RJ, Kennedy JC:Impingement syndrome in athletes.
Am J Sports Med 1980;8:151-158
2.腱板の作用及び機能特性
肩腱板損傷が何故危険なのかの理解ができたと思います。
肩は不安定が故に自由度が高い。
自由度が高い故に脱臼のリスクがつきまとう関節。
では、具体的にカフが
どの様に肩を支持しているのか。
それを各腱板の作用と共に見ていきましょう٩( 'ω' )و
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そして、この腱板が多数ある肩内部の中で
どこに位置しているのか、、
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腱板は、CHL(烏口上腕靭帯)に挟みこまれることで、上下からの圧迫を受け
筋の出力を出しやすくしています。
この腱板の5層構造は非常に大切な部分であるため、必ず理解しておいて下さい。
※その他各筋の詳しい作用、特徴はこちらをご覧ください。
3.肩周囲のフォースカップル(矢状面・水平面)
前後・左右・上下の組織構造が理解できた上で、
次に上腕骨頭に対する直接的な作用を見てみます。
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棘上筋が三角筋の出力の前に、
先行的に上腕骨頭を肩甲骨関節窩に押しつけることで、
上腕骨頭は、肩甲骨関節窩を起点に滑り運動を行うことができます。
もし仮に棘上筋の断裂・損傷に伴い
このフェーズが阻害されてしまうと、、、
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上腕骨頭が三角筋の作用により上方へと牽引され
肩峰下腔が狭小化することが予測できますね😊
これがインピンジメントの要因になるわけです。
一方で、
肩甲下筋と棘下筋は
水平面上で骨頭の求心位保持に寄与しています。
肩の運動は純粋な屈曲だけでは完遂出来ません。
微妙な協調した内・外旋作用が合わせて起こることで
骨構造や複雑な靭帯構造を互いに負担をかけずに可動させる事ができます。
次からは
☑︎何故、腱板断裂はSSPに多いのか。
※医療職種のみならず皆様理解が必要です。
☑︎CTやMRIでの評価
の専門的な話になっていきます。
こちらでは、画像読影のポイントや臨床のヒントを明瞭にお伝えしますが、
実際の現場では、画像が無いこともしばしばあります。
前提として医師以外には、
診断の権限はないので断定して
”断裂している!”と診断することは出来ません。
しかし仮に
次に話すことを知らなければ、
脂肪浸潤が増し、筋の弱さを助長し、腱板断裂を助長してしまうことになります。
だからこそ、
最終項の整形外科的テストが必要になってきますね!
臨床の質を高めたい方は
是非こちらのオンラインサロンでお待ちしています٩( 'ω' )و
こちらでも質問を受けておりますので、
是非お問い合わせください😊
では行きます。
4.SSPが最も断裂が多い理由
-Critical Zone-
肩関節腱板断裂の中で最も多い断裂筋。
それはSSPです。
しかも、単独損傷が最も多いとされています。
それは何故か?
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具体的には、
SSP大結節付着部遠位30%の部分だと言われています。
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