東京駅の0キロポスト
2k540を後にしたウサギとカメは、涼しい日陰を探しながら秋葉原駅に辿り着いた。
「電車をたくさん見られる場所って、やっぱり東京駅かしら。なんとなくだけど...」ウサギはカメに視線を送った。
「日本橋が道路の出発点だったように、東京駅は鉄道の出発点なんだ。その証がホームから見えるんだよ。鉄道にはいろんな楽しみ方があるよね」と、揺れる電車の中で、カメはウサギに話しかけた。
「電車なんて、ただの移動手段だと思っていたけれど、よく見るとカッコイイのよね」と、ウサギは言うと、窓から外を眺めた。
東京駅に着くとホームからカメが指さした。
「あれが0キロポストだよ」
4番線のホームに上がると、「あれも0キロポストなんだよ」とカメが口にした。
1番線のホームでカメは続けた。
「中央線の0キロポストはかつて万世橋駅にあったんだよ。東京駅~万世橋駅間が開業したときに東京駅に移設されたんだ」
京葉線のホームに辿り着くと、ウサギは目を輝かせてホームの一角へ駆け寄った。
「見て!ここに0キロポストの説明が書いてあるわ。路線ごとに歴史が違うから、路線の数だけ0キロポストがあるのね」
東京駅を後にすると、二人はKITTEガーデンから東京駅を見下ろした。
「やっぱり電車を見るのは楽しいわ」とウサギは声を弾ませた。
しばらく電車を眺めていたウサギが、くるりと振り向いてカメに言った。
「歩き回ったらお腹が空いたの」
「この濃厚でふわふわな抹茶の中に、アーモンドキャラメリゼが隠れているなんて至福の喜びだわ」と、ウサギは小さな声で言った。「暑い日の冒険は、これがあるからやめられないのよね」彼女はそう言うと、いたずらっぽく笑った。
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