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私は本の魔法使い♪
その日、ウサギは静かな図書館の閲覧席で、お気に入りの画集をぱらり、とめくっていた。ページの向こうに広がる世界に、思わず頬が緩む。
ふと横を見ると、カメは物語の世界にすっかり入り込んでいる。少し興味を覚えたウサギがその本をそっとのぞき込んでみると、なんだか、ちょっと変な感じがする…。
「ねえねえ、私の本とあなたの本って、なんか雰囲気ちがわない?見た目っていうか…うーん、うまく言えないけど…」ウサギは首をかしげながら、カメに話しかけた。
「紙質のことかな。本によって、紙の質や色は違うんだよ」カメは、まるでそこに秘密が隠されているかのように、読んでいた本のページをそっと差し出した。
「例えばほら、物語の世界に心地よく入って行くためには、目に優しい白さ、めくりやすいしなやかさ、あるいは紙らしいふわっとした手触りが大切なんだ」
「見た目はそっくりなのに、触るとぜーんぜん違う!この紙はふわっとしてるね…」
ウサギは本を一冊ずつ手に取っては、指先で感触を確かめていった。
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「ようこそ!魅惑の書籍用紙の世界」展
紙質をもっと知りたくて、二人は『本と活字館』にやってきた。そこでは、おびただしい種類の紙が天井から垂れ下がり、展示台の上に積まれていた。
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「紙って、こんなに種類があるんだ…。知らなかった。びっくり!」ウサギは目の前の紙をじっと見つめた。
「これらの紙からひとつを選び、さらに、印刷のインキ、書体、組版、装丁、手触りと匂いまで決めていくブックデザイナーという人がいるんだよ」
「ぜーんぶ決めちゃうなんて、本の神様みたい!ねえねえ、私もブックデザイナーになってみたら楽しいかな?」
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「誰も見たことのない本を作りたいの!ほら、読み終わったら自動でページをめくってくれる本とか、読んでる間だけ登場人物とおしゃべりできる本とか…」
「それって、ブックデザイナーというより、もはや本の魔法使いだね。本を自由自在に操る、まさしく神のような存在だよ」
「なるなる!私、本の魔法使いになってみせるんだから!!」ウサギは決意を込めた眼差しをカメに向けた。
「キミがそう言うなら…本当にやってのけそうだね」 カメが微笑むと、ウサギの瞳はキラキラと輝きを増した。
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