美味しいものは半分こ
「ソフトクリームを食べたあとだし、お土産は和菓子よね」というウサギのこだわりで、ウサギとカメは「つづみ団子」というお店の前で足を止めた。「あ、きびだんごがある」と静かにショーケースを見つめるカメの隣で、ウサギは「どれがお勧めですか?」と冷静に店員に聞いていた。
店頭に並べられた和菓子の中から、ウサギはようやく三つを選び出した。そしてカメに向かって少し申し訳なさそうに、「どうしても食べたいものが三つあるの。食べきれないから半分こしてくれる?」とお願いすると、彼は「喜んで」と笑って、小さく頷いた。二人の心にはすでに甘い香りで満たされていた。
戸越銀座から自分の部屋に戻ると、ウサギはさっそく包みを開いた。「これは今日中に食べないとね」と言いながら、彼女はいちご大福を半分に切り、小さく口にした。「粒あんとバターのハーモニーが絶妙なのね。ひと口噛んだ途端に幸せが広がる感じだわ。至福というのは、まさにこのことね!」
ティーカップを手に取りながら、ふわりと甘い香りにつつまれている空間で、カメが静かに言った。「いちご大福とアールグレイの組み合わせもいい感じだね」
その言葉を聞いたウサギは、少し目を細めて微笑みながら、「あとの2つは明日まで残しておくつもりだったんだけど、今夜中にスイートポテトも、あん入りみたらしも食べちゃおうか?」といたずらっぽく笑った。