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ひまわり記念日
「急に賑やかな場所に来ちゃったわね。さっきまでいた昭和記念公園とは別世界だわ」
ウサギはふと立ち止まり、下北沢の街を見渡した。
目の前に広がる細道は、それぞれの世界に夢中になっている人々で賑わっていた。そのエネルギーに溶け込むように、ウサギとカメはそっと足を踏み出した。
「さっき見たひまわり畑は、本当にきれいだったなぁ。あんなに元気で眩しかったなんて、もう絶対に忘れられないわ」と、ウサギは遠い目をしてため息をついた。
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「さあ、着いたよ」というカメの声に、ウサギが我に返ると、そこは見覚えのある場所だった。「ここってもしかして…」彼女は、階段の上にある店の入口を見上げながら、そっと記憶をたぐり寄せた。
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店の入口をくぐると、ウサギはそっと店内を見渡した。「どこを見てもひまわりだわ!」そう口にしてから、思い出したように言葉を続けた。「そうだわ、前に来たときは、どこを見てもアジサイだったのよ」
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席に着いたウサギが、ひまわりについてカメに夢中で話しかけていると、パイナップルジュレソーダが運ばれてきた。
冷たいソーダを口に含んでいると、今度は、ひまわりタコライスとひまわりショートタルトがウサギの前に並べられた。その瞬間、彼女の顔に大きな笑顔が広がった。
「ひまわりを目で楽しんだあとは、口で楽しむのもいいかなと思ってね」と、カメはそっと言葉を添えた。
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ウサギは、じっとタコライスを見つめると、ひまわりの花びらを一枚一枚、まるで呪文を唱えるかのように数え始めた。
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「もしかして、タコライスで恋占いをしているの? 面白いね」と、カメは静かに笑った。「ちょっと!それだけ? 結果が知りたいくないの? どうしてもって言うなら教えてあげてもいいけど…」
「いや、別に知りたいわけじゃないけど…」とカメが言いかけたその瞬間、ウサギはふいにその言葉をかき消すように、ぱっと顔を明るくして話し出した。
「ねえ、聞いて!恋占いの結果はね…」