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アニメの主人公気分で

同じような毎日が続くある日、ウサギとカメは目的もなく、銀座のショッピングストリートを歩いていた。そんなふたりが、ふと足を止めたのは銀座三越だった。

エスカレーターを上がると、目の前に広がったのは「トムとジェリー」の世界。アニメの中から飛び出してきたキャラクターたちが、楽しげに二人を迎え入れてくれた。

「ねえ、トムとジェリーって、本当は仲がいいのかな?  それとも、やっぱり敵同士なのかしら…?」と、ウサギは首をかしげながら、カメにぽつりと問いかけた。

「『Cat and mouse fight』って、永遠のライバルって意味があるんだけど、ライバル関係って不思議だね。敵同士のはずなのに、どこかお互いに信頼し合ってる感じがして」

「とはいえ、トムはいつもジェリーを捕まえようと一生懸命なんだ。食べることと寝ること、そしてジェリーを捕まえることが生き甲斐なんだって」と、カメは言葉を紡いだ。

「食べることと寝ることが生きがいなんて、なんだか私と似ているわ。私はトムみたいにネズミは追いかけないけどね」と、ウサギは小さく笑った。

「それでもジェリーは、いつもトムをうまくかわすんだ」とカメが続けると、ウサギは少し考えて、「ジェリーはあんなに頭が回るのに、それをいたずらに使っちゃうなんて、なんだかもったいないわ」と呟いた。

トムとジェリーの映像がずらりと並んだエリアでは、真剣ながらもコミカルな二匹のやり取りが、次々と映し出されていた。

「こうして見ていると、なんだかほっこりするわ。争っているようでいて、実は一緒に日常を楽しんでいるみたい。それって、すごく大切なことよね?」

「それが、85年も愛され続けている理由なのかもしれないね。無限の発想力で、何気ない日常を楽しく変えてしまうんだ」と、カメは彼女の言葉を受け止めて、静かに言った。

「私たちも、そんな風に生きられたらいいわね。毎日をトムとジェリーみたいに過ごしたいわ」とウサギがぽつりと呟くと、カメは静かに微笑み、そっと頷いた。

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