汁蕎麦を作るコツ。まず最初に乾麺を10分水に漬けること。
なるほどね~、たしかに乾麺を水に漬けるとたちまちその水が(蕎麦湯さながらに)白濁してくる。乾麺のなかのグルテンを抜いているのですね。これによって、その後沸騰した湯で麺を茹でるときに、麺がくっつきにくくなる。(もしも乾麺をそのまま茹でると最悪の場合、麺がくっついてぶさいくな すいとん みたいになってしまうことがある。悲しみよ、こんにちは。)
逆に、生麺の場合はまず最初に茹でて、茹で上がった麺を水洗いしてねばりけを取る。なるほどね~、こういうちょっとしたひと手間が調理のコツなんですね。
(余談ながら、フライドポテトもまた調理の最初に切ったじゃがいもを10分ほど水に漬け、キッチンペーパーで水気をとって、薄力粉をはたいてから揚げるとからっと揚がります。)
しかし、スパゲッティ(乾麺)を茹でるときには、あらかじめ水に漬ける必要がないのはなぜでしょう? わからない! いいえ、日本蕎麦の話題に戻りましょう。
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ツユを作るのも、いろいろ選択肢があってたのしいですね。市販の麺つゆ、カツオブシ、雑ブシで作るのがかんたん。いやいや、麺つゆなど使わずにコンブを一晩水に漬けるとすばらしい。日本酒は「まる」でいいか。上等味醂はいま持ち合わせがなく、やむなく安物味醂しかない。そして薄口醤油。まだ自分で満足ゆくツユを作れてはいないけれど、それでも作るのはたのしいし、そこそこおいしい。
聞くところによると、ダシの好みには地域差があるようだ。関東はカツオブシと薄口醤油、(なお関東のつゆは醤油の量が多く、味が濃い)。関西は昆布だしをベースに、カツオブシ、サバブシ、ウルメ節などを使い、だしのうまみを強調し、薄口醤油でアクセントをつけて仕上げる。つゆに求めるイメージがずいぶん違う。余談ながら江戸落語では、笊そばをツケダレをちょいとつけて(けっして蕎麦麺をタレまみれにはせず)蕎麦をたぐることを粋とする。もっとも、その粋人は死ぬまぎわに、一度蕎麦をツケダレまみれにして喰ってみたかった、と本音を漏らすというオチがつく。江戸っ子もややこしいですね。
いまのように世界が急速に均一化に向かっている時代にあってなお、味の好みの地域差はちゃんと残っているんですね。そう言えば、ぼくは本籍博多の瀬戸内育ちゆえ、蕎麦よりもうどんが身近だったものだ。博多のうどんと博多雑煮が大好きで、準じて関西系のだしを贔屓にしている。
ぼくは18歳で東京へ来て、蕎麦屋に入って蕎麦を注文し、ついでにお茶を頼んだ。すると給仕は言った、「うちはお茶はありませんよ。蕎麦湯を召し上がってください」そのときぼくは自分がよそ者であることを実感した。実はそのときまでぼくは蕎麦湯なる存在を見たことも聞いたこともなかったのだった。
しかしそんなぼくもいつのまにか何十年も東京に暮らしてきたなかで、いつのまにか関東風の汁蕎麦に馴染んでいる。自作の蕎麦ヴァリエーションも増やしたい。きつね蕎麦、なめこ蕎麦、卵とじ蕎麦、鶏なんばん蕎麦など作れるようになってみたいものだ。