X.D. Across the Universe─スピンオフ─
↑の続きです。
※
私が車内で脱いだ服や携帯電話を
支持された様に袋に入れて
スズタニさんに渡すと、
車の窓から
強面の方に手渡してしていた。
車内は静まり返る事もなく……。
「あの……スズタニさん」
「スズ姉ぇちゃんがいいなぁ♥」
「えっ!あ!えっ……と」
「スズちゃんでもいいわよ♥」
「スズ姉さんでお願いします!」
あはははは
と大声で笑うスズタニさん。
そのままトラックの並ぶ
大きな倉庫の隣にある事務所に
連れて来られた。
今までだったら
見ず知らずの人に
ついて行くことなんてなかった。
隠し持っている
ナイフに力をこめる。
「そんなに警戒しなくて平気よ♥
カヲルちゃん♥」
「?!」
「とりあえず、その格好じゃ
アレでしょ?シャワーが
あっちにあるから浴びておいで、
服色々用意しておくから♥」
「は!はい。」
殺気は出していなかったハズ。
ゾクリと、背中の1筋の汗が垂れた。
でも、確かに車の中で
貸してもらった、大きめのTシャツで
いるのは、恥ずかしいし、
何よりベタベタした体が気持ち悪いので
素直にシャワーを借りる事にした。
※
大変恐縮ですが
シャワーシーンは
ご想像におまかせいたします。
※
スッキリとして
元の部屋に戻る私は
ニコニコと微笑んでいる
スズタニさ……スズ姉さんと
ハンガーラックにかけられている
色とりどりの服をみて
後ずさってしまった。
「ちょっ!逃げないで♥
そんな湯上がりJKの姿、
野郎共に見せちゃダメよ♥」
そう言いながら、手招きしている。
「そっちは、事務所だから。
ほら、こっちにおいで♥」
さっきの強面の人を思い出し
部屋に入った。
(あの時逃げておけば
良かったと、後の私は
少しだけ後悔する事になる……?)
「はい♥」
そう言って手渡された服。
「あの…これって何の意味が……」
私の言葉はかき消されて、
次から次へ服がでてくる。
「ごっ!ごめんカヲル。
つい可愛くて着せまくっちゃった。」
「……」
「ごめん……って、そんな泣かないでぇ」
「…んっ…くっっくく」
「ん?」
あははははは
今度は、私が笑い出してしまった。
今までの私じゃなくて
新しい自分になるんだ。
なんだか、面白くなってきた。
笑ってる私に安心したのか、
スズ姉さんが、ホッとしてくれた。
「ここで働いて、それからカヲルの
生きたい道、選んでも遅くないでしょ」
「でも私、車の免許持ってないです」
「ヤるのも清掃も
どっちも募集中なのよ♥」
「じゃぁ!清掃で!」
「はい♥どっちもで、採用ね♥」
「え?!」
「雇用主の特権で〜す!大丈夫。
一人にしないよ。守ってあげるし、
カヲルなら守る事もできるだろ♥」
何も言えなかった。
確かにお金も、行き場所も
何もなかった。
偶然会っただけの
私を雇ってくれる。
スズ姉さんは、私の頭を撫でると
おでこにキスをしてくれた。
少しだけ、目頭が熱くなった。
「はい!採用と言うわけで、
支給の服を着ていこうねぇ♥」
……あっ!やっぱり、早まったかも。
怒涛のファッションショーなのか
きせかえ人形なのか
スズ姉さんの気がすむまで
着替えさせられた私は、
「あの……寝てもいいですか?」
「?!」
まだまだ服が出てきそうな雰囲気を
断ち切って聞いた。
「ゴメン!ゆっくり休んで!」
そう言って、奥の部屋に連れて
行ってくれた。
横になった私にスズ姉さんは、
布団をかけて
髪を撫でてくれた。
怖かった事も、
悲しかった事も
どんどんと
私の中に吸収されていった。
過去の自分に蓋をして
私は『カヲル』として歩んでいく。
今までの私……ありがとう。
そして、さようなら。
濡れた枕は、朝には乾いていた。
※
おまけ。
※
まくらさん
暗い過去も、自分にもさよならした。
カヲルの人生は、これから
始まるよ!
スピンオフ書かせてもらっちゃった。
ありがとう。
もう、書けないや。
なんて悩んでないで、
書きたい物書けばいいのよね!
スズ姉さんに怒られちゃうわ♥