お二人の「働き方」に関する考え方は至極真っ当ですが、日本の組織では「外れ値」:読書録「あなたの会社、その働き方は幸せですか?」
・あなたの会社、その働き方は幸せですか?
著者:上野千鶴子、出口治明
出版:祥伝社
コロナ禍で、その「外れ値」が少し中央値によって来てるし、森発言以降の世論の動きは「日本における<女性>の置かれている状況」を浮き彫りにしています。
さて、アフター・コロナで、これがどうなるか。
「元の木阿弥」
にならないことを祈ります。
本書を読む気になったのは、本書を踏まえた上野さんのインタビュー記事を読んで、「上野さんの組織人としての働き方」に興味を覚えたことと、出口さんが闘病生活に入っていることを知ったから。
京大の同期(お互いに知りはしなかったよう)の語り合いは、組織人として「ある程度成功」しながらも、結局は「メインストリーム」になれなかった二人による「日本の働き方」の再確認…って内容になってます。
30年ほど冴えないサラリーマンをやってる僕の目から見ても、お二人の言ってることは、至極合理的で「真っ当」。
でも「だからこそ」メインストリームになれなかった理由もわかるような気がします。
その結果が今の日本のポジション(経済的にも、社会的にも、先進国の枠組みから滑り落ちつつある)ですから、変わっていくことを僕も望んでいるし、末端ではそこに取り組もうとは思ってるんですけどね。
しかし、コレが中々…。
本としては、二人の対談部分も興味深いんですが、それぞれが自分の「働き方」を振り返って語っているパートが特に面白かったです。
まあ、出口さんの話は他でも聞いたことがあるんですけど、上野さんのこういう話は僕は初めてでしたので。
「研究ではお金は稼げない。自分の給料は<教育>でもらっているという認識があったので、学生を教育することには力を入れた」ってのは意外な感じもしました。
個人的には上野さんは「研究者」というより「活動家」のイメージが強くて、そのラインでの「後継者」を作りきれてないところが「どうかな?」と思ってたんです。
でも案外に「教育者」として力を入れたところから「新しい人材」が出てくるのかもしれません。
今後、「上野ゼミ出身」「上野さんに教えられた」って人材がメインストリームに出てくるかな?(現在、目立つところでは古市憲寿さんがそうですかね)
なんだかんだ言いながら「日本での働き方」について議論がされつつあるのが<今現在>なのは確かでしょう。
その中でどういう方向性が出てくるのか。
それを考える上で、本書は参考になるところが少なくないです。
耳が痛い部分も含めて、
「老人の繰り言」
と敬遠するのは惜しいか、と。
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