思い入れがそこまでない分、大胆に訳すことが出来たのかな:いま読む『源氏物語』
・いま読む『源氏物語』
著者:角田光代、山本淳子
出版:河出新書
大河ドラマ「光る君へ」の便乗って言うところはあるんでしょうけど、そもそもの対談自体は、角田光代さんが源氏物語を翻訳し終えてというのを契機としているようですね。
翻訳に当たって、角田光代さんが山本淳子さんの著作を参考にされていると言うのもあるようです
一番驚いたのは「源氏物語」を角田光代さんが翻訳したのは、角田光代さんの希望ではなくて、池澤夏樹さんの指名だったということ。
それまで角田光代さん自身はそれほど源氏物語に興味や思い入れはなかったようです。
まぁだからこそあそこまで大胆な翻訳ができたっていうのはあるのかもしれませんけどね。
<その昔、帝に深く愛されている女がいた。宮廷では身分の高い者からそうでもない者まで、幾人もの女たちがそれぞれに部屋を与えられ、帝に仕えていた。
帝の深い寵愛を受けたこの女は、高い家柄の出身ではなく、自身の位も、女御より劣る更衣であった。女に与えられた部屋は桐壺という。>
(「桐壺」)
いやー、なかなかここまで思い切れないと思うけど、それは角田さんが源氏物語に距離感を持ってたからかも。
それでいて翻訳を終えた角田さんが源氏物語の魅力に強く惹かれているっていうのは、源氏物語や紫式部の奥深さと言うこともあるでしょうし、池田夏樹さんの慧眼と言うのもあるのかもしれません。
源氏物語』をいま、 どのように読むか。
紫式部がほんとうに書きたかったこととは何か-
5年かけて全訳に挑んだ作家・角田光代と、
注目の平安文学研究者・山本淳子が、
『源氏物語』と紫式部、一条天皇・定子、藤原道長など、現代の視点で語り尽くす!
「定子は桐壺更衣のモデル?」 「藤壺は光源氏を愛していたのか?」
いまなお千年の時代を越えて語りかけてくる日本文学最大の傑作、『源氏物語』をより深く楽しく読むための対談集。
【目次】
はじめに 角田光代
第一章 『源氏物語』が今、語りかけてくるもの
第二章 『源氏物語』の書かれた時代
第三章 気になる登場人物、 場面から『源氏物語』を読み解く
第四章さらに『源氏物語』をめぐって
おわりに 山本淳子
\*源氏物語[五十四帖簡単あらすじ]
作品としては「源氏物語」を訳し終えて、改めて源氏物語の奥深さに触れた角田光代さんが、源氏物語の研究者である山本淳子さんとその奥深さについて、語り合うとともに、女性の視点から源氏物語を解釈し直す方向性を一緒に考える…みたいな内容です。
ここら辺の解釈の話は、山本淳子さんの先行する作品で触れられているものをフォローする形ですね。
光源氏と藤壺、光源氏と紫の上、柏木と女三宮
ここら辺を性被害と絡めながら定義し直すと言うのはなかなか大胆だと思いますが、現代的視点から見ると納得感もあります。
角田さんも山本さんも源氏物語では宇治十帖が興味深いとおっしゃっていますが、こういう視点から考えると、宇治十帖(浮舟)の存在が際立ってくるっていうのも確かにあるかもしれません。
まぁ、個人的には、なんか抹香臭い感じがして、いまひとつ手を出し兼ねているところがあるんですけど…
角田光代さんの「源氏物語」はハードカバーで購入はしてあるんですが、分厚すぎて持ち歩きできないので、パラパラと抜き読みする位しかできていません。
文庫にもなったんですけど、買い直すのもなぁ…
と思っていたら、Audibleでオーディオブックになり始めていました
読みやすい翻訳だから「聞く」と言うのはあるかもしれないなぁ。
…と思案しているところです。
どうしようかな?
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