どうすれば晴れ渡るのかと思うけれど、

恋という気持ちの底にあるものはエゴとエロスと理想と不安
 （KOI TO IU KIMOCHI NO SOKO NI ARU MONO HA EGO TO EROSU TO RISOU TO HUAN）
 
思い通りにしたい。触れたい。好きになってほしい。
でもそうじゃない。
 
世界と日々は、ただそれだけで回っている。
 
雪崩のように押し寄せる、大量の砂みたいな不毛な
気持ちを持て余す。
 
どうすれば晴れ渡るのかと思うけれど、それがわかって
いれば苦しさなんてないのだ。
 
彼に触れられるものと、彼と触れ合えるもの全部が
羨ましかった。
 
彼を包む衣服、パソコンのキーボード、スマホ、
ドリンクのタンブラー。
 
何でもいいから、彼に近くて大切にされるものに
なりたかった。
 
ペットボトルのお茶でも、YouTubeの動画でも、
夕焼けでもいいから彼の目に映りたかった。
 
ただ不安だった。
 
人を好きになることと不安は、切り離せない。
 
視線の先にある人が幸福を呼ぶものなのかそうでないの
かわからないまま、それでも見つめ続けることしか
できないと、ちゃんとわかっているのだった。