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人事データ分析の可能性にかけ、飛び込んだいきさつ

メルカリ HR System & Data チームの @suwachan です。
昨年2023年8月に、メルカリのプロダクトのデータ分析チームから、人事のデータ分析チームに異動してきました。
この記事では、そのいきさつと理由について書きたいと思います。とても個人的な備忘録ですが、いつかどこかで誰かの役に立てればうれしいです。


プロダクトの分析チームでの日々

私は2021年4月にメルカリに入社し、Product Analytics チームに配属になりました。このチームは、メルカリのフリマアプリ・Webサイト (これをプロダクトと総称していました) におけるお客さまの行動ログを分析しながら、機能改善につなげるサポートをする役割を持っていました。私は商品検索機能の分析を担当し、人事のほうに異動してくる直前まで、2年4ヶ月ほど取り組むこととなりました。

Product Analytics チームでの分析は、苦労もありましたが、周囲の方々に恵まれ、楽しく充実した日々を過ごしていました。最初の半年はマネージャー・メンターと3人だけのチームでしたが、徐々にメンバーも増え、チームMTGで相談し合ったり、勉強会を開いたりと心強いチームになっていきました。A/Bテストはずっと分析の要であり続け、カバ本の Ronny Kohavi 氏のセミナーを受けたり、Mercari Analytics Blog にアウトプットしたりと、だんだんハマっていきました。

健康診断D判定、「生き方」を見直すことに

転機となったのは2022年10月頃、健康診断でD判定が出て、がんの精密検査を受けるように指示を受けたことです。そのとき私は、生まれて初めて「人生があと数年で終わるかもしれない」という切迫感を感じました。「仮に余命があと3年だとしたら、私は今の仕事を続けるだろうか?」と問うたとき、「イエス」と即答できない自分がいました。

プロダクトの分析は楽しく、メルカリというサービスの意義を強く感じていることにも変わりはありませんでした。しかし、自分の働きが「誰かの役に立っている」という手応えや、「命を燃やしてでもすべき課題解決をしている」という感覚は薄く、そこが即答できない理由だったのだろうと思います。

精密検査の結果、幸いにも問題ないと診断は受けたものの、しばらく「生き方」について迷う日々が続きました。「いつ死ぬか分からないから、仕事を辞めて大切な人たちとの時間を増やそう」と思っていたときもありましたが、「一方でいつまで生きるかも分からないから、お金は持っておいたほうが安心だ」と思うこともあり、結果的には「余命3年だとしても、余命70年だとしてもやりたいと思える仕事をやろう」という結論に至りました。

そのような仕事を見定めるために、いろいろな人や企業に話を聞きました。人事系、環境系、介護系など、「自分が命を燃やして取り組みたい課題解決」の領域を探しました。その中で、前職の先輩がやっていた人事系のスタートアップに話を聞いたとき、「データ分析ができる人を探している」ということで、タイミングよく誘っていただいたのです。まず、副業でお手伝いすることにしました。これが最初の人事データとの接点でした。

副業で人事データ分析のポテンシャルに気付く

人事系のスタートアップでは、過去に行なった「育休に関するアンケート」のレポートを再編成する、という仕事から始めました。再編前のレポートは集計結果の共有にとどまり、「最終的に何を伝えたいか」というストーリーが見えてこなかったので、私はまず「軸となる論点」を (後付けながらも) 探すことにしました。候補の中から1つに問いを定めてストーリーラインを組み立て、データを再集計してレポートとして発表しました。この仕事に対して副業先の方々が価値を感じてくださり、私は少し自信を持つことができました。

今まで培ってきたデータ分析の力を使って、日本社会で働く人たちが (というと大げさだが、最終的に身近な友人たちが) もっと働きやすくなるようにサポートができるのかもしれない。しかも、人事領域にはデータ分析ができる人材が不足していて、自分のようなレベルでも役に立てるかもしれない。そう思うと、「人事のデータ分析にもっと関わってみたい」という気持ちが強くなりました。

人事データ分析に「かける」

そんな中、私にもう一つの転機が訪れます。メルカリ社内で人事のデータ分析をやっていらっしゃった方 (つまり前任の方) が退職されると聞いたのです。社内で人事のデータ分析ができる機会はないだろうと思っていたのですが、これを機に異動の検討を始めました。

1ヶ月ほど悩みに悩みました。プロダクト開発の現場はとても面白いし、周りはいい人たちばかり。多国籍な環境で、英語も使えるようになってきた。一方で、人事のデータ分析の求人数は、事業のデータ分析の求人数よりも少ないように見受けられ、食いっぱぐれないか不安になりました。経営陣と議論する機会も増えるので、ストレスも大きいかもしれない……。

ただし、結果的には「人事領域のデータ分析にかけてみよう」と思い、異動を決意しました。決め手は、社内外のいろいろな人たちの声でした。異動の相談をさせてもらう中で、みんなそれぞれ人事制度や働き方に悩みを持っていることが分かりました。その悩みはなかなか共有されず、定量化されず、解決が図られにくいものでした。データの活用でその課題が解決でき、大切な友人・知人が働きやすくなるなら、その可能性にかけてみたい、と思ったのです。ほかにも、人的資本経営の盛り上がりや、異動先のチームからのサポート、大学時代に学んだ社会心理学とのつながりなどが後押しとなりました。たくさんの方のご協力をいただき、異動希望を叶えることができました。

異動から7ヶ月で感じた人事データ活用の威力

2023年8月に異動してから、約7ヶ月が経ちました。さまざまなプロジェクトに参画する中で、人事のデータ分析の面白さを日々感じながら、人事のみなさんの役に立てていることが本当にありがたいです。特に、前任の方から引き継いだ、異動後初のプロジェクトである Gender Pay Gap 是正の取り組みには大きな反響があり、人事におけるデータ活用の威力を感じた一件となりました。人事のデータ分析の「面白さ」と、その裏側にある「難しさ」については、これから別の記事で書いていきたいと思います。

前任の方をはじめ、少しずつ人事のデータ分析をされている方とのご縁も増え、会社の枠組みを超えて人事領域におけるデータ活用を発展させていけそうな予感がしています。地道に社内の課題に取り組みながら、原点を忘れずに大きく考えていきたいと思います。


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