「ライオンのおやつ」を読んで
読ませてくれてありがとう。
そう思えた小説だった。
大好きな小川糸さんの作品は、ほとんど読んできたけど、この話が今までで一番好きかもしれない。
こんなにも、生きるものへの感謝と慈しみが溢れた話をわたしは知らない。
儚いからこそ美しいのか、美しいから儚いのか。
穏やかな悲しみに包まれたこの本は「生きるってなんだろう」って、思わず下を向いたときこそ開きたい。小さくて踏んづけられようとも、与えられた場所で咲き続ける春の野花のような、ひたむきさと強さを感じさせる一冊だった。