晴稿雪読
『なごり雪』の『狂い咲きサンダーロード』
…一本あがった、今日の作文終了。
とはいかねえ、自分じゃ"の"しか書いちゃいない。上雪降る今だからといって、楽をしてはいけませんね、図太いズクなしとしては。
長野県人独特の表現だそうですが、冬シーズンに「北信」で降るパウダースノーを下雪、春先に「中信、南信」で見舞われるベトついた雪を上雪と言います。なごり雪にロマンスを感じるのは健全な信濃の国の出身者ですが、どちらの雪も雪掻きという物理的な手間を負う以上は迷惑千万、スキー場の所有者以外には一瞬で溶けてしまわない以上は和みもせぬ煩わしいものです。…実は僕の血族はスキー場の土地を持っているんですけどね、遺産相続の遁走、珍事態でも発生したら何か書きましょう、戸隠の神話を混ぜて。
ああ無情。自称歿後弟子、没後にでけえ図体だか生前の下町飲み屋の喧嘩だかを反映して師匠の墓をドミノ倒し。彼の雪中の思考、行動の詳しくは特におっちんじまう直前の文章を読んでみて下さい。上雪の様に陰湿な部分も覗けますが、翌日には露と消えています。惜別に堪える献杯の缶ビールだかカップ酒の要る男です、煮込みの必要は個人で判断してください。
西村先生のプロなのに確実にアマチュア以下の自主出版への千鳥足にくらべ、この人物の書籍は江戸時代というやっとこさ庶民間での実用書、文学書というものが流行りだした頃の物だというのに評判、流布のされ方共に実に見事、故かえって内容よりも筆者の本業での精悍さの方が目立ってしまう程です。
雪の結晶への考察等は現代科学、物理学で言えば明らかな齟齬、誤解を含んでいるが、講談師の語る関ヶ原の戦い、真田太平記と同様に真実と、真実に至る小市民の熱狂を抱き込める内容です。
今や地方でも、都市に住い、読書を友とすれば雪中に迷う事も無いでしょう。
万が一、血迷って山中、大雪で遭難した場合?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?