白昼夢
爺さん一人池の淵
朽ちかけた木株に腰を掛け
戯れのオシドリに
我が身を置き換える
心の奥 に君がいた
想い融け込む水の中
あなたに見えているものが
私にも見えていたのでしょうか
水の中で見えたのは
あんたの手 初めて触れる手
温もりに ときめき迷った時
心の奥の 灯火に気付く
どんな時もそばにいてくれて
明日はきっと変われるはずと
苦しい時でも 微笑みで励ましてくれた
そっと気持ちを重ね合い 生きてきた
ありがとう さようなら
別の時代に生まれていたら
底冷えの心の寒さの中で
冷たい悟りもまだ持てず
この世偲んで 潜るるほど
心の荷物は軽くない
想い出キャンバスに
記憶をなぞる筆
少なくなった色を混ぜ合わせ
なぐり描きした白昼夢