でかい月
世間は皆既月食を祝っている
そんな中、私は一人で月の輪を呑む
世間は私を見放したのか
それとも私が世間を手放したのか
「何百年に一度の奇跡です!」
「ねーみてめっちゃ月が綺麗じゃん!」
人々は皆一斉に空を見上げる
巨大で不気味な月を見るために
私はうつむいて丸い氷を見つめる
自分の過去に蓋をするために
欠けている、ああ欠けている
赤い月が、黒い影を身に纏う
欠けている、ああ欠けている
私という人間がどす黒く塒を巻く
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?