「眠れない」

暗闇の中、僕は目を開けて天井を見つめていた。眠れない。全く眠れないのだ。

 理由は分からない。午前はしっかりと体を動かして,十分な入浴もした。だけど眠れない。

 時計の針の音や外を走る車の走行音も聞こえる。こんなに眠れないのはいつぶりだろう。

 幼稚園? 小学生? 遠足前は興奮して眠れなかったことはあったが,明日仕事だ。

 何で睡眠障害なんてあるんだ? 日中活動する生物にとっては致命的欠点だ。

 体のいらない一部分を睡眠機能に補填出来ないものか? まぁそんな事を実現する為には細胞から変わらないといけないだろうし,何万年という時間をかける事になる。

 眠れ。眠ってくれ。羊達よ。どうか僕も深い眠りに導いてくれ。

 するとどこからか、小鳥の鳴き声が聞こえた。絶望の朝がもうすぐそこに迫っていた。

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