「人間図鑑」
誰もいない夕方の図書館。僕は隅っこの方で一冊の本を読んでいた。内容は半世紀以上前にいた人々の職業だ。その中で興味深いものを見つけた。
「インスタグラマー? 確かじいちゃんから聞いたことがあるな」
インスタグラマー。生息地。主に都市部。商品紹介の広告などの案件で生計を立てている人らしい。じいちゃんが若い頃にインターネットで収益を得る人が増えたという。
その他にユーチュバーやティックトッカーなどがいたらしい。まぁ今となっては当たり前だけね。僕も将来は配信で稼いでいくつもりだ。昔は会社という組織に所属するのが当たり前だったらしい。僕からしたら赤の他人の顔色を窺って働くなんて考えられないけどね。
「もう閉館時間ですよ」
館員の人に声をかけられた。
「あの、これ借ります」
読みかけの本を借りて、図書館を後にした。これは配信のネタになりそうだ。