萩くんのお仕事 第二話
よし。帰宅して、PCにプロット第二弾、主演:江川露魅、相手役は、志芸野咲哉、これは動かさないぞ。娘二人は、ひょっとすると、プロダクションからの逆オファーの可能性があるからな。実際の子見たいから、やっぱ、オーディションだな。
問題は、若い男。周辺にいないのかな?アパートには、まだ、入居者は俺だけみたいだね。今後、増えて行くのだろうから、そういうのでも、いいかもしれないけど・・・。
ネックだなあ。一人いたら、掻き回せるんだ。適当にイケメンでね。芽実ちゃんの彼氏は、サイドストーリーで行けそうだから、もう、頭の中が、数馬なんだけど、いないから、これも、オーディションになるのかな?
務め先は、どうやら、2人きり。それはいい。それは、すごくいい。それはもう、露魅さんと、志芸野さんなら、当て書きで大炸裂できそうだから。皆、絶対、よろめき要素を期待してるだけに、引っ張って、そこに行きそうで行かない、コメディタッチがいいと思う。ラストは何とかなるにしてもね。
とりあえず、このプロットを再度、チャンネル18の神崎さんに送ったぞと。よしよし、もう少し、詰めていくぞ。
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「はいはい、来ましたね。どうかな?」
「はい、羽奈賀です」
「はーい、神崎です」
「いかがですか?神崎さん、露魅さんと、志芸野さん、ブッキングできそうですか?」
「マネージャーさんに伺ったら、露魅さんは、大丈夫そうですね。舞台に引き続き、羽奈賀さんの脚本ということで、非常に興味を持たれていますね。志芸野さんは、同時期に、他局の単発が入ってるみたいなので、それとカチ合わなければということですね」
「そうですか、良かったです。じゃあ、行けそうかな・・・」
「で、付記の部分に、ライバルが出現予定とありますけど、それは、どういう感じですか?」
「まだ、検討中ですが、若い男がいいと思うんですが・・・」
「まあ、定番ですね。今、流行りの若手なら、沢山、立候補的にいますから、売り込んできてますね。アイドルや舞台俳優、少し、リストアップしてみましょうか?」
「あー、まだ、いいかな。その人で、随分、ポジショニングが違うかなと思われるので、もう少し、どういう人間か詰めたいんだけどね。うーん・・・これ、どのくらいまでで、返事すれば、いいですか?」
「早い方がいいですね。数日中に。具体的に、一緒に考えてもいいですけどね。このアパートの住人っていうの、よくないですかね・・・?」
「・・・そう、かあ、そうなるのかあ・・・成程ね」
「どうしました?良い線じゃないですか。大家と借主、自然な接触で、しかも隣同士、毎日、顔を合わせますよ。出会いをアクシデンタルにするといいですよ。偶然とかね」
「なるほど・・・検討してみます」
「よろしくお願いしますね。そこをきちんとすれば、その役のイメージが出ますから、露魅さんと、志芸野さんとのトライアングルが作りやすいと思われますので」
「はい、わかりました。考えてみます」
「よろしくお願いします」
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神崎氏。鋭いんだけど、見てたのかって。あああ、つまり、俺?俺のリアタイ取材。まあ、いいかも。カレー頂いた件とか、1回目で、社長との面識ができるんだ。成程ね。うん、その路線で行きますか。叩き台だな。・・・まあ、じゃあ、書いてみるか。お得意の妄想っぽい路線だから、いいかな。よしよし。
「・・・」
んー、外で誰か、喋ってんな。あ、朱莉ちゃん、帰ってきたのかな?もう、8時過ぎだな。
出てみようかな・・・
「お母さん、ちょっと、ごめんね。これ、持ってほしいんだけど・・・、あああ、無理かも、もう、行っちゃったから、業者さん」
「あらあ、お帰りなさい。何?」
「これ、マッサージチェア」
「ああ、来たのね。でも、なんで?中まで運んでくれないの?困ったわね・・・」
何?大きな荷物じゃん。ああ、彼女が朱莉ちゃん?お、普通に可愛いジャン。スーツ姿だね。
「どうしよ・・・、せめて、玄関のとこにあげてくれるぐらい、してほしかったのに・・・」
「ダメな業者がいるって、ご近所で聞いたんだけど、そこなのね、困ったわね」
「あの・・・」
「あら、羽奈賀さん、お出かけですか?」
「ああ、いや、なんか、車の音がして、俺も荷物、頼んでたから、・・・どうかされたんですか?」
「いえね、荷物を業者が、ここに置いていってしまったらしくて」
「受け取りにサインしてから、家に入れてくれると思ってたら、行っちゃって・・・」
あー、質の悪い業者だな。よりによって、女所帯に。
「ああ、わかりました。手伝いましょう。中に入れますよ」
「えー、いいんですか?」
「ああ、朱莉、羽奈賀さん、昨日から、うちのアパートに住んでるのよ」
「昨日、お引越しがあったわよね。ああ、初めまして、朱莉と申します」
「あ、どうも、・・・とりあえず、これ、入れちゃいましょうか?」
「あ、はい、お願いできますか、」
「ああ、これなら、俺で持てそうですね。ドアを全開にして貰っていいですか?あ、そう、ありがとうございます」
「本当に助かります。羽奈賀さん」
引っ越しで、荷物運び続きだからね。身体が鈍ってなくて良かったかも。
「こういう時に、男の人、居てくれるといいのよね。ありがとうございます」
「いえいえ、奥まで、運びますか?」
「あ、じゃあ、リビングに・・・」
「はいはい、このまま上がらしてもらいます。よいしょ、ここでいいですか?」
「ああ、ありがとうございます・・・助かりました」
「いえいえ、こんなことなら、いつでも言ってください」
リビングのテレビの前に無事着地。これ、奥さんが使うのかな?
「良かったね、お母さん」
朱莉ちゃん、目を合わせると、会釈してくれた。
「本当ねえ、ありがとうございました・・・で、羽奈賀さん、お夕食は?」
いいんですかね、また、ですけど・・・。
「あー、まだ、ですけど・・・」
「良かったら、いかがですか?カレーじゃありませんよ」
「いやあ、お昼も頂いて、それは、ちょっと」
「いいんじゃない?沢山作ったんでしょ?お母さん」
「うーん、煮物はね、沢山作る方が美味しいからね。いかがですか?荷物運びのお礼です」
「って、お昼って?」
「あああ、みっともない話なんですが・・・」
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「じゃあ、羽奈賀さんって、作家さんとか、脚本家さんってことですか?ご飯食べる間もないぐらい、忙しいんですね?」
「まあ、今回、引っ越しと重なって、追われてしまって、お恥ずかしいことです」
「でもね、役者さんでもいけそうよね」
「そうねえ、・・・なんか、芸能人オーラあるかも」
「そうかな・・・」
「え?・・・これ、チョコレートの宣伝って・・・声、似てない?」
あああ、偶然だなあ。先日、録ったの、もう出てる。テレビCMは、即日だからな。夕食時、テレビのついてる食卓ね。
「ああ、まあ、俺ですね。・・・恥ずかしいですね。こうなったかあ・・・」
「えーっ、声優さんもされるの?」
「ああ、劇団に仕事が来るんで、それでやる時があるぐらいで・・・」
「本当だ、イケボなんだ・・・ふーん」
「よく、そんな言い方しますよね、そんなことー、ないんだけどな・・・、癖があって、個性的だから、使われてるらしいんですけど」
「あの、あの人、えーと、誰だったかしら、若い時の・・・あああ、こないだ、行方不明になってしまったタレントさん」
「お母さんの大好きな人ね」
「うふふ」
そうですね。奥さんの年齢なら、十中八九・・・
「月城紫京ですか?」
「ああ、そう、月城さん、うふふふ」
「お母さん、大ファンなのよねえ・・・あの若い頃のトレンディドラマに出てた頃の・・・」
「なんか、帰ってくると思うのよね。あの方」
「月城先生が何か?」
「お若い時に似てない?声とか、雰囲気とか」
「・・・ああ、まあ、言われたことあります」
んまあ、先生ご自身に言われてるしなあ・・・
「そうだわ、朱莉、今日は、芽実は食べないのよね。さっきもそこで食べて頂いたんですけど、羽奈賀さん、こちらでどうぞ」
「お父さんの席に、久しぶりね。人が座るの」
「そう?よく、近所の方とか、お茶してるけど・・・」
「違う、そういう意味じゃない・・・男の人」
「はあ、そうかもね、・・・なんか、しっくりいくわね。どうぞ、遠慮しないで、羽奈賀さん」
月城先生の話になるとは、・・・ファンなんだ。これ、使えそうだな。露魅さんと月城先生、共演したもんな。なんか、好いオマージュになりそうだな。・・・ん?今の「男の人」って、どういう意味なんだ?・・・多分、母娘でニュアンス違って、通じてる感じではあるが、恐らく・・・、ああ、こんなん、深堀りしちゃうな。好きすぎて・・・。
そう・・・朱莉ちゃんは、賢い美人だな。モテそうだ。
「聞いてもいいですか?羽奈賀さんって、いくつなの?」
「32歳、です」
「えー、」
「そのリアクションは?」
「ううん、もっと、若く見える。20代後半かと思った」
「それって、そんなに変わらなくない?」
「えー、違いますよ」
「ああ、30超えるとおじさんとか?」
「だから、見えないって、言ってるの」
「ご飯、大きなお茶椀がいいかしらね?ああ、あった。お父さんのだけど」
「ああ、すいません。ありがとうございます」
ご飯、いいね。美味しいに違いない。これもいい。俺のポジションは、年齢はこれでいいのかな?仕事はなんだ?飯、もらうと嬉しいのは、本当にそうだから、そういうシチュエイションでいいだろう。今日は、奥さんと長女の朱莉ちゃんと一緒。下の子の芽実ちゃんは、デートなんだよね・・・何時に帰ってくるのかな?まさか、帰ってこないとか、ないよな・・・。
「はい、どうぞ。普通の和食です」
「お母さん、料理は上手いの。いっぱい食べてね」
「ああ、カレーでわかりました」
「カレーなんて、皆、作れるものだわ。ひじき、しょっぱくないかしら?朱莉、食べてみて」
「うん、いいんじゃない?・・・羽奈賀さんって、諸島部の人?」
「ああ、今の仕事の中心がね。え?わかるんですか?でも、出身はこっちなんですよ」
「少し、訛りがでますよね?イントネーションっていうか・・・」
「味、濃いの、大丈夫ですか?」
「それは、大丈夫です。元々、実家がこっちなんで」
「そうなのね、良かったわ。あー、あとね、照り焼きね、鶏肉の、まだあるから。嫌いなものはないですか?羽奈賀さん」
「ああ、ないです。何でも、大丈夫です。嬉しいな、こんな食卓に、また、お邪魔させて頂くなんて・・・いただきます」
「どうぞ、沢山召し上がってね」
「頂きまーす。うん、お腹空いたー」
「まあまあ、気どりもなく、そんな感じで」
「えー、いいじゃん。おうちのご飯だよ」
ふーん、会話運びが、軽妙だね。仲の良い母娘って感じだな。そのまま、使えそうなぐらい。朱莉ちゃん、諸島部訛りに気づいたとはね。あんまり、出してなかったつもりなんだけど。ひょっとして、諸島部に彼がいて、遠距離恋愛とか・・・。妄想が捗ってますね。俺。
「ねえ、諸島部のどの辺りなの?」
「うーん、南部に近いですから、あまり、本島から遠くはない所ですね」
「じゃあ、レモンとか採れる辺り?」
「ああ、そうですね。詳しいんですね」
「会社の研修で行ったの」
「成程・・・」
研修先で、出会った彼氏とか。
「お漬物は好き?もし良かったら、沢山、あるんで、タッパーに入れますから、お部屋でも食べてね」
「もう、お母さん、押し付け過ぎ」
「ああ、いや、好きですよ。これ、茄子とキュウリ、いいですね」
「ほらね、いいじゃない。明日、社長さんにも、分けてあげようかな」
「社長さん、最近、お腹出て来てない?」
「ああ、そうかしらねえ」
「お母さん、餌づけし過ぎなのよ」
「何?その言い方。ご近所でお一人だから、ちょっとしたことじゃない」
「えー、なんかなあ・・・」
おや?朱莉ちゃん、何かを察しているのか?
「社長さんね、お母さん、狙ってるの」
やっぱし、図星だ。へー。
「こら、冗談でも、そんなこと、言うもんじゃないの、失礼でしょ」
「だって、見てればわかるよ。そこにお弁当とか、お漬物とか、手作りお菓子とか、胃袋掴みにかかってるじゃん?」
「うちだけじゃないわよ。自治会の役員さんだし、皆さん、差し入れしてるわよ」
「えー、でもねえ、・・・お母さん、気を付けた方がいいよ」
「なあに?何もないわよ。もう、おばさんというか、おばあさんの領域ですから、朱莉ちゃんが、結婚して、赤ちゃんを早く産んでくれればいいんだけど・・・」
ああ、なんか、香ばしい会話になってきたぞ。おばあさんは言い過ぎですけど、いいセリフだから、露魅さんに言わせたい・・・。
「羽奈賀さんって、業界の人だから、モテるでしょ?」
「また、そんな聞き方して、・・・」
「ああ、暇ないんですよ」
「嘘ぉ」
「失礼なこと、ごめんなさいね」
「まあ、よく聞かれるんですけど、好いお答えができずにすみません。人の話ばかり書いてる感じですね」
「でも、そんなことないでしょ?・・・本当のこと、言うわけないもんね?」
「・・・いやあ、忙しすぎるのは事実ですよ。まあ・・・」
詮索されない方がまあ、いいんだけどね。
色々とね、他との絡みと、時間の管理と、相手の感情の処理と、俺自身の感情の処理と、
・・・って、面倒臭いのは、シナリオでやりすぎるぐらいやればいいからね。自分のことになると、展開見えないし、事実になると、展開見えないし・・・予定調和なんてないし。
要は、思い通りにしたいけど、ならないのは、シナリオと違う現実だから。割り切りが利かないと腰が上がらない、という最低なモードです。俺は。結局、自分勝手にしたいんだよな。・・・特に、今はね。あんまり、心情的に重きを置けないというか・・・。
仕事がオフ、っていうの、最近は、本当にないけど、拠点の中で、関係者の薄いとこ、選んで移動。俺の仕事のことなんて、よく知らない、ちょっとした、知り合いと飲みに行く。休む、ってこういうことだから。売れてくるのはいいけど、オフを作りにくくなるのがね、ちょっとね。
まあ、最低だけど、そういう時、飲んでて、隣に女の子がいて、気に入ったら、まず、口説きます。その間も、後引かないか、観察しながら。最低なの、我ながら、解ってるんだけど。簡単に言うと、固定は作らないってことです。
ドラマとの落差の事実、みたいなの知ったら、・・・っていうのは、多分、ラジオリスナーみたいなファンだよね。芽実ちゃんみたいな普通の女の子が、俺みたいなのに、変に期待されると嫌なんで。男って、こんなんなんだってね。その場では、いないと言う。理由も「仕事」と言う。夢を与えるわけじゃないけど、こんなん、お約束でしょ。声使って、女の子、悦ぶシナリオ読んで。作りものと解ってて、愉しんでいるわけで。
「いないわけないじゃーん」
スペック全開にして、口説いたのは、生涯2回ぐらいかな。それは付き合いに繋がったけど、本気になると、離れちゃうらしいから。爺さんになった頃に、ネタ切れになったら、懐古的に、自虐的に描こうかなと思ってたりして・・・。俺の彼女になると、死んじゃうか、いなくなっちゃうからな。
さらりと言ったけど、事実だから、いい加減に懲りてる。必ずじゃないけど、二度もそんな思いすれば、もう充分なんだ。要は、超入り込むと、依存度が高いんだと思う。そんな展開にならなければ、俺は多分、どっちかと結婚してたと思う。
「好い男の条件だから、仕方ない。いいから、描け」
月城先生の持論なんだろうけどね。言われた。経験が作品を作るとかね。こっちがどんなに不幸でも、あの人、ニヤニヤしながら、そんなこと言うんだ・・・。
俺の側の人って、皆、いなくなるんだよな。そんな月城先生も、数馬も、だしな。
「お代わりは?羽奈賀さん」
「ああ、なんか、はい、ありがとうこざいます」
「身体が大きいのだから、沢山召し上がってね。作り甲斐があるのよね。男の人がいてくれると」
「よかったね、羽奈賀さん、ご飯、毎食、食べに来れば?お母さん、嬉しいみたいだから」
「食事作るのが、仕事みたいなもんでしょ。貴女たちが嫁いで、いなくなったら、作らなくなりそうだわね」
主婦の立場かあ。家事が好きで、完璧に熟し、時間のある時には、近所にパートに出て、ご主人の残した財産で、アパート経営。上の娘は一流大出て、銀行勤め。そう、芽実ちゃん、制服でわかった。結構、人気の私立の進学校なんだよね。女子校で、男子からの人気もある。銀行員だった、ご主人は、妻と二人の娘が生きていけるものを、きちんと遺してくれたんだ。
「ねえ、最近、そっちのワード多くない?」
「なあに、ワードって?」
「結婚だの、赤ちゃんだの、勤め始めたばかりだからね」
「仕事、面白い時期みたいだね」
「そうなんです。きついけど、きちんと熟せるとね。遣り甲斐があります」
「お父さんに似てるのね。男並みに働く気かしらね?って、三年目って、勤め始めたばかりじゃないわよ。三年目で、寿退社っていうこともあるわね」
「就職活動、血の滲む思いしてたの、知ってる癖に。親だったら、そんな風に言わないよ」
「あら、親だから、言うのよ」
「お母さんは、朱莉さんに、早く結婚してほしいんですか?」
「え?ああ、あら、ごめんなさい、お客様の前で・・・」
「あ、すいません。他人が口出すことじゃないですよね」
「ねえ、羽奈賀さん、どう思う?最近、そればっかなの、お母さん」
「・・・うーん、お母さんは、ご心配なんじゃないのかな?」
「えー、もう、自分次第じゃない?」
「行員さんの先輩とか、いないの?」
「私、まだ、25だよ」
なんでかな。お母さん、お父さんがいないからなのか、早く、孫の顔見たいっていう感じでもないだろうな・・・シナリオならどうかな・・・お母さんに事情があるとか?考え方なのか、アクシデンタルに考えれば、・・・これは妄想ね。お母さん、命の危険のあるご病気だとか・・・。で、何らかのタイムリミット、切られてるとか?どうかなあ・・・。含みを持たせて、笑いと涙のホームコメディってとこかな。露魅さんなら、どっちでもいいなあ。
できれば、露魅さんと、志芸野さんのラブコメ中心で行きたい、となると、持っていき方なんだけどね。医療関係が入ると、何故か、医師ってポジション、需要なんだよね。主婦と社長と医師の構図もいいけど、そうなると、もう一人、まじ、月城先生とか出てほしい。生きてて、頼んだら、出てくれるかな?あー、ワンポイントリリーフならいい、って言いそう。そしたら、まじ、誰だろう。志芸野さんと互角で、年頃も逼迫か、それこそ、若い医師?
ちょっと、飛び過ぎだな。基本、この家周辺で、物事が展開する方がいいような、設定ではあるからなあ。
「あー、ご馳走様でした。ありがとうございました」
「コーヒーか、お茶淹れましょうか?」
「ああ、えっと・・・」
「お母さん、作家さんは、夜、お仕事なの。引き止めないで。ねえ?」
「あ、まあ、そうですね」
うん、ただ、煙草吸いたいから、家を出た方がいいかな、と思うんだけど。
「本当、越してきて、すぐなのに、こんなにご馳走になって、ありがとうございました。お邪魔しました」
「あら、いいの?じゃあ、これね、お漬物、入れ物は、いつでもいいから」
「あ、ありがとうございます」
「羽奈賀さんも、お仕事頑張って。作品の放映とか、決まったら、教えてくださいね」
「ああ、はい、では、おやすみなさい」
ふー、家に人がいると、こんなに会話、交わすんだよな。それがドラマなんだけどさ。あれ、お利口さんじゃん、帰ってきたね、芽実ちゃん。おっとお、あれ、彼氏?え?・・・ちょっと待て。感じ・・・学生じゃないな、スーツじゃん・・・?
「・・・んー、わかんない」
「そうかあ・・・だめかな?」
「だから、今、無理だから」
「・・・」
おーい、自宅前だぞ。
馬鹿な奴だなあ、というか、勝手にやってろ、とも思いながらも、気になるから、門扉に隠れてみる、隣の住人。
「意気地無しな感じ、いい加減にしたら?じゃあね」
「芽実ちゃん・・・」
「あたしに、これ以上、言われても、しらないよ」
なんだ?あ、目が合った。凄い顔してる。これは、完全に何か、誤解モードに入ってるな。
「ああ、こんばんわ、芽実ちゃん、と言うか、お帰り」
「あー、萩さん、ひょっとして、また、ご飯、呼ばれてた?」
「あ、ああ、そちらは、いいのかな?」
「・・・失礼します」
その彼は、俺を見るなり、踵を返して、立ち去っていった。
みとぎやの小説・連載中 萩くんのお仕事 第二話
お読み頂きまして、ありがとうございます。
今の所、なんというか、大家さんの家の中で起こってることばかりですね。
ちょっと、ダメな感じの所も、暴露しちゃったね、萩くん。
基本、彼の頭の中のつぶやきみたいなもので進んで行きます。
大家さん一家をモデルにした、ドラマ脚本に取り組み始めました。
この後、どうなっていくのでしょうか? お楽しみになさってください。
この前のお話、第一話はこちらです。
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