御相伴衆~Escorts 第一章 第三十五話 一緒にお勉強③「あーんして」~数馬と三の姫③
あ、ああ、あああ、そうか。そうなんだ。あの二人・・・。
そういう見方をすると・・・だから、あんなあっちで、ベッドサイドとか?
柚葉、あれ、意味深な笑顔じゃん。こっち見てる。
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「柚葉と慈朗の分、切れたって、持っていくね」
「あああ、俺が行くから」
柚葉、身体揺らして、声なく、笑ってる。
慈朗、問題、解んない顔じゃないね💦
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「はい、ケーキ」
「ああ、わざわざ、ご苦労様、そっちのサイドテーブル置いてくれるかな」
「・・・」
「何?数馬、解らない所でも?15×76は?」
「えっと、1440」
「結構、憶えたな」
「まあ、そうだけど・・・」
「何?」
「柚葉、・・・慈朗、追い詰めてないか?」
「・・・え?」
「なんで?」
二人とも、不思議そうにしないでよ。
「そう見えたから」
「そんなことないよ。解らない所があって、悩んでたんだ」
「ふーん、そんなにくっついて」
「あはは、鋭いんだね、数馬は」
珍しく、柚葉が声を立てて笑い出した。
「やめてよ、柚葉」
「っつうか、俺はもう、慈朗が、夜どこに行ってるか、知ってるからさ」
「聞いたよ、慈朗から、数馬も知ってるって」
「そんなの、それぞれだから、勝手でいいけど、今日は、姫様も、月もいるし」
「そんなに、判る程だったかなあ?」
「見え見えだよ。俺に、掛け算暗誦って、地理の予定だったのに」
「それは、本当に必要だから。お前の為だよ・・・わかったよ。ごめん」
「カバーしなきゃ、と思って、ハラハラしたよ。気づいた時には」
「ついね・・・ごめん、ごめん」
ああ、もう、慈朗を見る目が違うんだけど。
二の姫様がいるじゃん。なのに、柚葉。意味わかんないんだけど。
とにかく、月と三の姫に、バレないようにしないと。
「心臓に悪い。もう、やんないで」
「わかった、ごめん」
「・・・次の頁、やるね、柚葉」
「はいはい・・・」
ワゴンの月と、姫の所に戻る。
「休憩しよっか」
「うん、嬉しい」
「あと、これ、チョコレートがありますから、こちらと、こちらに、お分けしますね」
「ああ、ありがと・・・(ああ、行っちゃったよ、月、大丈夫かな?)」
あ、柚葉、立ち上がった。上手いなあ。なら、いいけど。
「ここまで、来られるのも、結構、距離ありますから、いいですよ。ここで、受け取りましょうか」
「恐れ入ります。チョコレートです。同じお店の『ハニープラネット』のものです。慈朗様もお好きなものですね。ご褒美にさし上げてください。柚葉様もどうぞ」
「ありがとうございます」
慈朗が、小さく月に会釈した。
そうなんだよなあ。慈朗、随分、動きが洗練されてきたというか、やっぱ、柚葉のお蔭なのかな?前だったら、あんな微妙なこと、できなかったから。まあ、いいのかもしれないけど。柚葉と慈朗が良ければ、バレないでくれれば、何でもいいや。
「こっちは数馬と、女美架で半分こ、ですって」
「あ、お前、同じのばっかりとったな」
「数馬様・・・」
「ああ、すいません。・・・女美架姫様」
「うーん、いいじゃん。女美架、イチゴクリームの大好きだから、だって、ご褒美だもの」
「じゃあ、私は、お夕食の準備など、御用を済ませてきますので、一度、下がりますね」
「ありがとう。月」
「ありがとう。ケーキとチョコ♡」
「姫様も、柚葉様に言われた通り、頑張ってくださいね。数馬様もね」
向こうの二人とも、月は目配せして、部屋を出た。
「すごいねえ、この意味が解るんだ。じゃあ、ここはすっ飛ばして、最終学年の総合問題、やってみようか。慈朗はできる子だな」
頭、よしよしされてるぞ。まあ、いいや、あのくらい。
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「チョコ、ほしい?」
「うん、・・・でも、頑張った、ご褒美でもいいよ」
「それは、今夜、まとめてあげるから」
「チョコ、ください」
「今の、聞いてた?」
「数馬が気にするよ、また」
「はいはい、チョコね。どれがいい?」
「うーん、どれも好きだけど、ミルクのがいい」
「どれかな?」
「その丸い形やつ」
柚「口、開けて」
「え?ダメだよ。見てるから」
「口に入れるだけだよ。その間に、1問解けるから。ここ、○×問題だから、はい、いい子、あーんして」
「・・・あ・・・はぐぅ」
姫が急に、寄って来て、肩を叩き始めた。
何?あ、なんか、見たのかな?・・・ヤバい。
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「数馬、今、慈朗、あーんしてされてた。柚葉に」
「ああ、そうなの?問題解くのに、手が離せないからじゃないかな、頭使うと、糖分が必要になるっていうじゃん。だから・・・」
「まだ、赤ちゃんなのかなあ、慈朗。食べ方ができてない、って、聞いたことあるから」
「え?・・・あ、そうなの、そうかもしれないな。汚くなったら、きっとダメだから、柚葉が気を遣ったんだな、ははは」
姫の解釈に、ホッとしたのも、束の間。
何か、リアクションが変わってきたぞ。
もじもじしてる。おねだりの合図だ。
「姫も、してほしい。ご飯は綺麗に食べてるけど」
「ああ、そう。じゃあさ、掛け算は、後にして、最初の課題やろう。俺、地理続けるから、なんだっけ?姫は」
「予習だよ、算術と物理の」
「ああ、そうか。もう一度、読んだら。その単元、っていうの、両方の科目、読んだら、教えて。俺も、ここの部分、地図を見て、国の名前と、国旗と、首都を埋めるの、やっちゃうから」
「そしたら?」
「あー、うん、チョコ、一緒に食べよう」
「やったっ」
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「静かになったな。あの二人。まあ、元の課題をしてるなら、いいや。あ、できてる。もういいや。エレメンタルの国語はね。うーん、算術に進もうか」
「ああ、これは、難しそうだな」
「基本が入れば、大丈夫なんだけど、できる人と、できない人に別れやすい科目だからな。足し算ってわかる?」
「1たす2は、ってやつ?」
「そうそう。じゃあ、数字は読める?国際表記のこれね」
「うん。わかる」
「あと、位取りかな。0が増えてくと、言い方変わるっていうの」
「えーと、十とか、百とかいうの?」
「そう、どこまで言える?」
「うん、十、百、千、万・・・・その後は、解らない」
「いいよ。それなら、最初の頃のは、充分できるからね。スタンダードに、四則演算から行くから、まず、足し算だね。俺が、このノートに、一桁の足し算書くから、まず、式の読み方と意味からね・・・」
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「数馬、読んだ」
「待ってて、あと、これ・・・」
「これ、素国だね」
「首都、なんだっけ?」
「プライムシティだよ、ね、柚葉!」
三の姫、伸びあがって、柚葉に声かけたけど・・・
「なんですか?ああ、主都はプライムシティです」
「行ってみたい。綺麗な王宮があるんだよね?柚葉」
「そうですね。ああ、素国の説明なら、そっちに行きます」
「いいの、来ないで、柚葉は、慈朗のとこで、ご褒美に、あーんしてあげて」
うわっ、ダイレクト。どうすんだよ。もう💦
🔑🎨
「あはは、見られちゃったんですね。たまには、そんなこともしますよ。わかりました。そうします」
「だから、はずかしいから、やだったのに💦」
「大丈夫です。三の姫の頭の中には、限界があるんで、その分の知識での推測ですから」
「うーん、もういいから、自分で食べるから」
「じゃあ、これは、部屋に持ち帰ってからにしようかな」
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「そんなこと、言ったら、恥ずかしくなっちゃうだろ。赤ちゃんみたいな処、見られた慈朗が」
「女美架は、恥ずかしくないよ。好きな人からのあーん、だから」
「何、言ってんの、えっと、でも、それって、もっと、恥ずかしくない?」
あれ、意味、わかってんのかな?姫。・・・えーと。
あ、柚葉が、こっち見て、笑ってる。合図してる。
食べさせてやれ、っていうんだろ。馬鹿。
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「からかっちゃ、ダメだよ。案外、数馬、ああいうの、ダメみたい」
「そうなのか。面白いから、見てようかな、と思って・・・」
「意地悪だ、柚葉」
「あ、嫌われちゃうかな?俺」
「そうじゃないけど・・・」
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「プライムシティのとこで、終わったんでしょ?」
「まあ、そうだけどさ、姫様は、物理と算術、読んだの?」
「読んだよ、終わったもん。ケーキはさっき、読みながら、食べちゃったから。今度はチョコ」
「じゃあ、それ、俺、1つでいいから、全部、姫様にあげるから、はい。ん、上手い・・・」
「あああ、勝手に食べた、あーんして、してあげようと思ったのに」
「だから、そういうのは、人前でしないの」
「なんで?柚葉は、慈朗にしたよ」
「ああ、だから、先生で、慈朗が、手が離せないから・・・」
「男同士だから、恥ずかしくないんだね」
え・・・?あ、柚葉が苦笑してる。
慈朗が、首を横に振ってる。
🎨🔑
「もう、拗れてきてるじゃん」
「いやあ、問題は簡単だよ。三の姫は相変わらず、他愛ない我儘で。数馬を独占したいだけ。色っぽい意味なんか、この会話の中に皆無だから、数馬がすんなり、乗っかって、終わらせればいいだけ。このままだと、拗らせる程、三の姫の意識を誘うことになるよ」
「確かに、そうかも、じゃあ、無視していいね」
「そう、慈朗は、このまま、ここで、こうしててくれれば、いい」
「・・・もう、そういうの、後で」
あ、もう、二人とも、見ないね。なんか、見捨てられた気分だよ。わかった。姫は、柚葉と慈朗が、どうのこうのなんて、発想が、逆さにしても出ないから、大丈夫ってことなんだな。
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「はい、どうすんの?」
「あーんして、してあげる。数馬に」
「俺の分、食べたよ。後、姫の分だよ。全部、イチゴだから」
「数馬、狡い。恥ずかしいからって、全部、女美架にくれたの、わかってる」
ああ、向こうの方で、クスクス聞こえるぞ。くそ。
「わかったよ、はい、口、開けるから、入れて」
「そんな大きく開けないでよ。ゴミ箱に放るみたいになる。わかった、女美架がしてもらう。さっきの慈朗みたい、可愛くしたい♡」
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「今の、やっぱり、女美架様に、変なこと、見せちゃったんじゃないのかな?・・・」
「クスクス、黙って、見てたら?数馬が三の姫に、餌じ行為するから」
「柚葉・・・」
「あはは・・・」
あーあ、見世物だよ。女美架様。くそ恥ずかしい。・・・する方が、恥ずかしい。
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「はい・・・」
「そんな、小さく開けたんじゃ、入んないよ」
「大丈夫、慈朗ができたから・・・」
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「ダメじゃん、細かいとこまで、見られてたじゃん」
「最後に、指舐ったのまで、見てたのかなあ?」
「もう・・・」
「解ってるのかな?あの子」
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「はいよ、ほら、落とさないで・・・」
「あーん、ほら、できた、美味しい♡」
「よかったな、はい、終わり、俺、勉強するから」
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「何の事はない、」
「よかった。もう、計算終わったけど、なんか、間違えてるかも・・・」
「ああ、大丈夫、合ってる。今度は、繰り上がり、っていうのが、入ってくるやつね・・・」
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「ダメ、数馬にもする。可愛くあけて」
「はい、これでいい?」
「さっきよりはいいけど、態度がいや」
「はあ?・・・んー、」
「ああ、もうダメだ。数馬、ダメだよ、怒らないで」
慈朗が駆けてきた。
柚葉は、ちょっと、呆れたような顔つきで、その後に続いて、こっちに来る。
「嫌、別に、怒ってないけど・・・」
「三の姫様、本当に、数馬のことが、好きなんですか?」
わあ、何、言ってんだよ、慈朗。
「うん。だって、姫付きに、一番なってほしいな、って、思ってたんだもの」
「だったら、数馬のこと、もっと、よく見てあげなきゃ、ダメだと思います」
「見てるよ」
「自分の、好き好き、って気持ちをぶつけるだけじゃ、ダメですよ。相手だって、それを受け止める準備ができてなかったり、今は、大事なことしたいとか、色々あるんです。待ってあげられる女の子にならないと、数馬は、きっと、三の姫がいやになって、東国に帰っちゃうかもしれませんよ」
「え・・・」
ヤバい・・・、慈朗、たまに正論、ありがたいんだけど、でも、それって・・・
「あ、慈朗、ありがと。でも、それは、ちょっと、言い過ぎかも」
「ああ、泣かないで、姫様、ごめんなさい」
「うん、大丈夫、・・・そう、思い出したわ。柳羅お姉様が、桐藤が忙しい時は、あまり、お願い事はしないって。お仕事に、集中してほしいからって」
「そう、それです。わかってるんじゃないですか」
「慈朗、良い事、言いますね」
三の姫は少し考えた風で、その後に言った。
「わかった。数馬の言ってたの、聞いてたから。もう、あーんして、は、人前でしない」
「いや、そう、その方がいいよ。まあ、勉強の時間だからさ、ね」
「だから、今度、お部屋でする」
「あああ、まあ、そのうちに・・・」
笑うなよ。柚葉。もう・・・。席に戻っていく二人。
🔑🎨
「ねえ、さっきの、俺に聞かせてるとこ、なかった?」
「何?何のこと?」
「ああ、いや、いい。あのさ、もし、部屋来るなら、本気で勉強見るけど。どうかな?」
「うん、やりたい。計算、教えてほしい。もう少しで、コツ掴めそうだから」
「解った」
相手のことを考えて、か。
もう少し、姫が大人になって、我儘じゃなくて、色んな事、考えられるようにしないとな・・・。色んな事、これから、あると思うけど。
「数馬・・・こそこそ言うから、こっち来て」
「何?」
「大好き♡」
耳元で囁いた。
姫様、見てたんだよ。ちゃんと。
何のお勉強だよ。柚葉先生。
~次回は、柚葉と慈朗のお話に続きます~
みとぎやのメンバーシップ特典 第三十五話 一緒にお勉強③
「あーんして」 数馬と三の姫③ 御相伴衆~Escorts 第一章
今回、改めて、今出てきている登場人物の出身国の説明をさせて頂こうと思います。話の中に、国名が出てきました。
まず、この話の舞台は、スメラギ皇国。なので、お姫様は当然、スメラギ出身で、御相伴衆の中では、慈朗がスメラギのスラムの出身です。
数馬は、東国の出身です。
東国と言えば、今、連載している「舞って紅」「艶楽師匠の諸国漫遊記」「萩くんのお仕事」終わってしまった「守護の熱」これは、全て、東国が舞台のお話です。
柚葉は、大国である素国の出身です。素国がランサムに傾倒する時期があり、首都などの地名まで、ランサムよりの言い方にするなど、文化的変革があったようです。
ちなみに、この三国は、書字として、漢字を使います。だから、名前が漢字の名前なんです。後に、ランサム国の王子が出てきますが、その人は、藍語と表記しますが、英語に当たる言語を使う民族になります。
本編に、国の話が出たので、少し設定をご紹介しました。
次回はまた、柚葉と慈朗が中心の「百合の花」というお話です。
お楽しみに💙✨
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