御相伴衆~Escorts 第一章 第九十八話 暗躍の行方3「高官接待②」
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うーん、ここまでは、合格なのかな。
脱いだ服から察するに、お決まりのタンクトップと下着なんだろうけど。
「あ、ベッドの足元にさ、掛布置いてあるから、そっち使って、じゃ、お休み」
律儀な奴。帰ってきた時と同じで、横になると、向こう向いたまま、微動だにしないな。今日、あんなに、身体動かしたからかな?なんか、必要な時しか動かないのか、エネルギーセーブしてる感じだな。よくわからないけど、それって、数馬らしい。
今日は良かったな。数馬。きちんと、仕事したからだよ。芸があって、良かったんじゃないかな。桐藤や、慈朗みたいな目に遭わずに、済んだんだからね。まあ、僕にも感謝してくれてるのは、解ったけどさ。
なんで、紫統様の所から帰ってきたって?・・・決まってるじゃん。
ごめん・・・これも俺の仕事、役目なんだ。
公私ともに、試させて貰う、為にね。
「もう寝た?少し、話したいんだけど、無理かな?」
「あ・・・ン、何?まだ、何かあるの?」
「仕事的にはないけど。お前と二人きりって、今までなかったからさ。たまにはいいかなと思って」
覗き込んでやるんだけど・・・
「・・・あっ、って、起きる。・・・大丈夫、」
「何、驚いてんだよ。お前だって、それで、寝てるんだから。眠るだけ」
「ああ、そっか」
「お邪魔します」
「あ、ああ、だから、掛布、もう一枚、あるって」
「いいよ、」
「って、良くない・・・」
数馬、意識過剰だぞ。まあ、いいよ。その方が嬉しいけど。急に、警戒警報発動したか。目が覚めたみたいだから、丁度いいか。
一応、収めて、隣に並んで、仰臥する。
「俺、いつも、これで、寝てるから、あんまり、着るの、好きじゃない。お前もそれだろ?」
「そうだけど、」
「何?・・・あ、さっき、見たから?・・・紫統様との、アレ」
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柚葉ぁ、お前のスペックがあるし、まあ、そんな恰好で来るから、俺は、飛び起きたんだ。首筋になんかつけて帰って来てるし。シルクのパジャマかと思ってたら、下着一枚で・・・そんなんだからな。俺、慈朗じゃないんだけど、・・・そんな心算じゃないよな?
「襲われるとでも思ったの?せっかく、免れたのにね」
「・・・えっと、それで、話って?」
「うーん、これまで、色々、大変だったなと思ってさ」
「何、急に?」
「いやあ、奥殿に行っちゃったからさ、皆、心配してたし、脚も治って、あんなに動けるようになって、本当に、元気になって良かったな」
「心配かけて、悪かった。でも、もう、大丈夫だから」
「脚はもう、完璧みたいだな」
「うん、今日ので、自信がついた。帰ったら、鍛錬するから」
「・・・心の方は?」
「ああ、うんまあ、・・・聞きづらいこと、早速、聞くね」
「そうだよなあ、身体より、きつかったんじゃないかな」
「もう、いいじゃん。終わったこと・・・っていうか、1か月経ったかどうかだから、正直、傷が癒えたとは言えないよ」
「そうだよなあ・・・可哀想な数馬」
「話って、それ?」
「まあ、そうだけど・・・」
「気遣い、ありがとう。もう、大丈夫だから。・・・じゃあ、寝るよ、掛布、はい、お休み」
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寝るんだ。警戒警報解除?ふーん。仕方ないな。向こう向いたな。じゃあ、遠慮なく、見さして貰おうかな。
下した髪、艶っぽくて、綺麗だな。濡烏。髪、多いんだな。
・・・触りたいんだけど。
イランイランアブソリュート、よくしたもんで、似合うんだよな、案外。
これってさ、罪深いスペックを、第二皇妃が、つけさせたらしいんだよな。数馬自身、この事実、知らないんだろうな。三の姫も知らない。髪色と香り、数馬とアーギュ王子、同じなんだよ。三の姫、どっぷり、嵌まってる感じがするね。堪んないんだろうな。男が変わろうが、共寝する相手のアイコンなんだからね。知ったら、ブチ切れるかもしれないな、数馬・・・。
「三の姫さ、随分、頑張ってるみたいでさ。我儘も言わなくなったよ。学校の勉強も、俺や慈朗に、質問しに来ててさ。自分のやることも、きちんとやって、人前での振る舞いも、姫らしくなってきたというか。求められる自分に相応しいものが解ってきたみたい。それに、短い間だけどさ、可愛い感じから、女っぽくなってきた」
「・・・」
「頑張ってるんだな、と思うよ。それなりに、王子とも、会ってるみたいだし」
「良かったじゃん。それなら。・・・解った、おやすみ」
「お前の功績だよ。きっと、三の姫、お前に、感謝してると思う」
「うーん、しつこいな。もう、慰めてないぞ、そんなの。何がしたいの?柚葉?」
あ、向き直った。すかさず、行かして貰います。
「・・・もうさ、そういう感じで、俺、煽ってるんだろ?」
「・・・好い男だな、って思って」
「触んなって」
「何もしてないよ。隣に、寝てるだけ」
「・・・」
「っていうか、時に、数馬、お前、充実してるんだろ?意外に」
「はあ、何が?」
「解っちゃったよ。女、できたな。補完されてるなら、良かった」
「なんだよ、それ」
赤くなった。当たり―。
・・・っていうか、知ってるけど。
「いるわけないだろ、もう俺、そういうのからは、外されてるみたいだし」
「皇妃様の御渡りもないの?」
「慈朗の担当だろ、それは」
「そうだとは思うけど・・・それじゃあ、寂しいよね?」
「どうしても、持ってくか?じゃあ、俺、帰るよ。そして、また、明日、こっち来るから」
「あああ、ごめん、しないって何も。・・・お前、いつもカッコいいな。一本筋が通ってて」
「おだてても、ダメだから」
「いや、これは、マジにそう思うから。流されて行くの、楽だから。俺なんか、最近、ゲームみたいだなって、思っててさ」
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考えてみれば、俺も柚葉も、スメラギの人間じゃないんだよな。その辺りのことを言ってるのかな?
「何?二の姫のこととか?」
「お、仕返し」
「ごめん、嫌なら、言わないよ」
「まあねえ」
「好きでもないのに一緒にいる、って言うのは、違うよな」
「好きなのに、離れなくちゃならなくて、立場に合った結婚選ぶのも、どうかと思うけど」
「・・・はあ、お互い、因果なことだね」
「うん。でも、俺はさ、このスペックだから、割り切れるかな」
うーん・・・俺は無理だな。柚葉にはなれないよ。
「でも、柚葉は、それでも、大変だと思う。皇妃様に脅されてるみたいなもんじゃないか、そんなの」
「そうかもな」
「どっかで、軌道修正しないと、二の姫様だって、可哀想だよ」
「お前、変わってよ、運動神経いいし」
「馬鹿、二の姫様が好きなのは、お前だよ、柚葉」
「話、戻っちゃうよね。・・・好いと思ったことなんか、一度もないな。あの子の所為で、女という生き物が嫌いになったぐらいで」
「・・・そうなのか、うーん、そんなに?」
「相当なタマだよ、あの子は」
「いや、多分、自分の気持ちとか、欲望に忠実で、素直なんだと思う」
「なんか、余裕の数馬君の新恋人は?」
「何?・・・だから、いないって」
「上手いよなあ、身体に跡もつけないで、お互いにしてるんだろ?」
「馬鹿」
「今日の舞のお前、凄い、良かった。綺麗で、色っぽかった」
「帰るぞ」
「ああ、嫌、だから、そうなんだろう、って思ったって話。溢れ出すものを感じたね」
「何、それ?」
「いやあ、あそこの観客たちは、皆、お前のこと、そういう目で見てるからね」
「はあ、それは結構。舞台で魅せられたら、一人前の役者だそうだから」
「成程ねえ。だから、あんなに色っぽいんだ。普段の数馬から見たら、ヤバかった。ゾクゾクしたから。・・・今だって」
「馬鹿、やっぱ、お前」
「維羅だろ?お前の新しい彼女」
「・・・え?・・・誰だって?」
へえ、即答に近かったな。流石、役者だな。まじ、知らない表情してんじゃん。
「聞いたことないなぁ・・・」
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そうだった。柚葉が、維羅を知っていても、おかしくない筈だからな。でも、これは、誰にも言わない約束だから。いくら、柚葉でも、これは、言えない。仕事だから。
「そっかあ、じゃあ、なんでさっき、赤くなったんだろう?女はいるだろう?今更、皇妃様でもないだろうしなあ・・・ああ、まさか、月?」
「ち、違うよ、月の筈ないだろう?本殿の人間とは、もう殆ど、会っていないんだ」
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馬鹿だなあ。数馬、奥殿に務めている女、出入りしている女♀は、維羅だけなんだよ。皇妃様以外。皇帝陛下のまわりは、SPに近いものや、侍従たちしかいないんだ。最近は、女官も排してるみたいでね。第二皇妃様のご指示なんだよね。多分、数馬は、そのことも知らないんだろう。
「維羅のこと、聞きたくない?」
「いやあ、なんで?・・・訳わかんないんだけど、」
「・・・ふーん。西のお城のベッドの寝心地はどうだった?」
「・・・?!」
天井を見たままか。
・・・だけど、今のは、来たんじゃないかなぁ・・・?
「維羅ってさ、あれ、上手いんだよな」
「・・・」
「安心して。数馬。俺も維羅と関わったことがあるから。黙ってるように、言われてんだろ?はっきり言って、今回の件も、お前の受け渡ししたものの性質も知ってる。つまりは、味方だよ。俺は、お前の従ってる側の人間だからさ」
・・・まあ、俺のこと、信じてくれるかは、解らないけど。
~高官接待③につづく
御相伴衆~Escorts 第一章 第九十話 暗躍の行方3「高官接待②」
お読み頂きまして、ありがとうございます。
数馬と柚葉の二人きりの件は、今までありませんでしたね。
物理的にも、そんな感じだったんでしょうね。
心情的に、とても優しい数馬、彼は、本当に全人類皆兄弟的な、誰にでも優しい、本当に平和主義で、弱い者を護るタイプなのですが・・・。
柚葉は多分、桐藤のようではないけれども、出身国の素国という大国独特の慣習のように、国を護る気風が、心の奥底に根付いていて・・・話の流れで、かなり、その感じは、皆様にも伝わってきている所だとは思います。
次回で、高官接待の件は終わります。
この後の二人のやりとりは、ある秘密に近づいていきます。
物語が大きく動き出す端緒が・・・。
次回をお楽しみになさってくださいね。
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