御相伴衆~Escorts 第一章 第五十九話 更なる御指南②~数馬と三の姫17
普通の、市井の高校生とかだったら、1つ1つ、ゆっくり進んで・・・。俺も、女美架と放課後に、お茶したり、カラオケ行ったり、そんな時期を、もっと、沢山過ごして、こんなこと、ずっと先に知れば、いいことで・・・。でも、女美架の姫という立場が、周りに管理された形で、そのお相手まで指定されて、決められて行く。俺とのことも、その一貫に組み込まれていて。
正直言って、お互いに嵌まる感じは、予感してた。女美架は、最初から、俺にすごい興味持ってくれてた感じだったし。姫付きになってほしい、と言ってたぐらいで。幼くて、まだまだ、そんなこととは結びつかない、と思ってたら、周りから、色々と知らされて、刺激されて。・・・急激に、なんというか、女美架にしてみれば、俺っていう現実で、まさに、それを知ることになって・・・。
俺は俺で、まあ、桐藤にあれだけ釘さされて、結構、皆が心配してくれたりしても・・・、でも、やっぱ、無理じゃん。全然、割り切れないし、いい加減な気持ちで、女美架に対することが、今後の女美架にいいとも思えないから。言い訳に聞こえるだろうか?いや、俺は、大人じゃない。もし、女美架の役目の男が、女美架より10歳とか上で、本当の意味で、大人の男だったら、良かったんだろうか?俺と女美架は、普通に、2つ違いの恋人同士ってなるんだろうから・・・。
湯船の中から、女美架が話し出した。
「お姉様の診察が、先だったの」
「そうなんだ」
「うん、でね、紫の『恋物』が待合室に置いてあって、びっくりしたんだけど、・・・見ちゃったの」
うーんと、紫って、一番・・・な本だったっけか。それも、嵌められた感じだったのかも・・・。
何か、色々と進みそうだな・・・。身体を洗い、湯船に入り、女美架を後ろ抱きにする。
「なんか、わかんないけど、そんなのばっかで、今日、びっくりとかしなかった?」
「うーん、数馬とのことみたいに、色々書いてあったから、見られてたみたいで、そっちが恥ずかしい感じがして、びっくりした」
ああ、つまりは、それこそ、女の子の指南書ってやつなんだな。そりゃ、早晩、通る道は同じだから、誰が見ても解るようなことが、書いてあるんだろうな。
なんていうのかな・・・。テクニックのことではなくて、相手を思いやるということが大事なんだ。さっきの桐藤の話、聞いてると、多分、桐藤は、一の姫様に対した時に、そんな感じなのだろうな、と想像するし。お互いを思いやれれば、自然にしたいことなんて、決まってくるんだ、きっと。
でもな・・・、桐藤たちと違う。俺たちは、ずっと、一緒にいられない。
好い感じになればなる程、離れ難くなるに決まってる。好きになって、交わして、お互いを憶えて、確認すればする程、辛くなるんだ。・・・もう、俺、辛くなり始めてる、これって。ヤバい。先を知ってしまうって、こういうことなんだよな。
でも、姫には、まだ言えない時期で。まだ、惹き上げろって、お達しなのだから・・・、正直、きつい。良くなりたくったって、ギリギリまでやって、離れなくちゃならないんだからな・・・。
「数馬?どうしたの?」
「ああ、ごめん。女美架は、今日、大変だったね。またまた、色々と御殿医の所でしてきて」
「うーん、でも、大丈夫。数馬と何もしてない時だったら、ダメだったかもしれないけど、今は、女美架、大丈夫なの。今日は、お姉様の方が、可哀想で、大変だったから」
「そうだね、一の姫様も、色々と、お気持ちがあるみたいだね・・・」
「お姉さまは、桐藤の赤ちゃんが欲しいんだって。そうすると、桐藤が皇帝になりやすいからみたい・・・」
「・・・うーん、俺もその話、今日、初めて聞いたんだ。でも、こういうのは、授かりものっていうからなあ。頑張って、できるってもんでもないらしいし・・・」
「『授かりもの』?」
「うーん、来た時が、来るべき時っていうかさ・・・」
「あのね、お父様が言ってたことみたい。それって」
「皇帝陛下が?」
「うん」
「・・・そんなお話をなさるんだ、陛下」
「うん、赤ちゃんは、来たい時に来るのだって」
「女美架が、直接、聞いたの?そのお話を」
「うん」
皇帝陛下とは、殆どお話する機会がないのだが、何か、普通のお父様のような感じだ。女美架にとっては、優しいお父様なのだろうな・・・。女美架の優しい感じは、皇帝陛下に似てるのかもしれない。
「だから、来たい時に来るから、女美架は、それでいいと思う」
女美架?・・・それ、ダメなんだよ。俺と女美架の間では、それって、ダメなんだ。わかってるのかな?うーん・・・今日は、やっぱ、そっちかな・・・。俺としては、すごく、複雑だよ。責任が重くて、でも、したくて、でも、進めば進む程、きつくなる・・・。
風呂から上がり、ベッドサイドで、話を続ける。
「・・・何?色々、情報、仕入れてきたわけだ」
「うん、なんか、本読んだし、先生に教えてもらって、赤ちゃんのことも考えた」
「うん、俺も、今、女美架と、こんな話できたの、良かったのかもしれないな。女美架は、すごく前向きで、このことを嫌なことだと思わなくて、俺、正直、ホッとしてるんだ」
「・・・良かったんだね?女美架」
「うん、すごい、って、なんか、変だけど」
「多分、大人同士の恋人は、こういう話をしないのかも」
そうだね。多分、市井の人たちで、お世継ぎとか、周りの人に求められる立場じゃなければ、きっと、しない話だ。確かに、「大人同士」っていうのも、その通り、言えてるかもしれないな。さっきのは、ちょっと、ダメなんだけど・・・、嫌でも、女美架の嫌いな『お邪魔』をしないとダメだし・・・、まあ、なんか、聞いてきたこともあるから、別の方法もあるし・・・なんて。
今の女美架の、このことに対する認識と、印象と・・・その感覚と、今は順調なんだ。うん、それでいい。それが、いずれにしても、女美架を幸せにする方法だから。腹を括るしかない。俺の気持ちよりも、女美架の先々の為の、今の時間を紡いでいく。それまで、俺は、女美架にし尽くす。もう、そういうことなんだろうな。
「ねえ・・・」
あれ、久しぶりにもじもじ・・・?おねだりですか。もう、いいや、可愛いから。悩んでも、仕方ないんだ。どう過ごしても、その瞬間が来る。その時は、その時だから。
「なに?」
「あれ、きいてきたの、する」
「・・・無理しないで、いいから」
「うん、その時は言うから」
~数馬と三の姫 終わり 次のお話へ続く~
みとぎやのメンバーシップ特典 第五十九話 更なる御指南②
数馬と三の姫編17 御相伴衆Escorts 第一章
今回で、数馬と三の姫の件が終了しました。
実は、公開用に編集してしまった部分があるので、解りずらい単語がありました。「お邪魔」というのは、避妊具のことです。
この二人は、素直で直接的で、一つ一つのことを、きちんと話し合って、乗り越えていく二人でした。だから、きっと、これからも色々と話し合って、育んでいけるに違いない二人になるに違いない・・・普通の一般の立場の若い恋人同士なら、それが叶っていくはずなのですが・・・。
次回から、お話が大きく動き出します。
それぞれの御相伴衆のメンバーが、どうなっていくのか?
そして、お話は、国を跨ぐ展開となっていきます。
お楽しみになさってください。
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