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御相伴衆~Escorts 第二章 第116話 青天の霹靂1~「耀皇子」 

 耀アカルが、16歳になった年の、ある夜半、急に、志芸乃シギノ派の尉官たちが、北の古宮ふるみやに訪れる。寝ていた耀は、急ぎ起こされ、皇子としての正装を設えさせられる。

「何があったのですか?」

 同様に、着飾った母親の素白ソハク皇后と、応接室に、うやうやしく引き出される。

 目の前には、志芸乃派の軍族である尉官たちが、ひざまずき、正式のスメラギ皇帝一族への挨拶である、叩頭こうとうする姿があった。

「お迎えに上がりました。ついに、皇宮すめらみやにお戻りになられる日となったのです。夜半に申し訳ございませんが、一刻も早く、お戻り頂きたく存じます。先刻、第六代スメラギ皇帝 不羅仁フラジン様が、御崩御なさりました」

 素白は、驚きのあまり、倒れそうになった。耀は、母を支えた。

「どういうことだ?」
「・・・不羅仁皇帝が、長い間のご病気が元で、亡くなられたのです」
「耀・・・」

 母素白は、耀皇子の手を握り締めた。

「皇子、お父上でおられる、皇帝陛下をお援けすることができず、申し訳ございません」
「申し訳ございません」

 一同が、恭しく、足元に跪いている。

 これまで、母と自分に対して、そのような態度をとってきた者は、一人としていなかった。気楽に接し、気楽に過ごすよう、ここで言われてきただけだった。なのに、急に、そんなに持ち上げられる感覚が、耀には、理解できなかった。

「お急ぎ下さい。戦機がランサムから到着致します。それにお乗りになられて、皇宮へお戻り願います」

 応接室とは名ばかりの、質素な作りの部屋と設えに、母と自分は、皇帝一族としての正装をまとい、既に、不似合いな状態となっていた。

「・・・ああ、そうでした。これをお付けください」
「・・・?・・・コンタクトレンズ?」
「そうです。その左の瞳は、生涯、御隠しになって、お出まし頂きますので、それだけはお守りくださいませ」

 そのようにして、また、志芸乃以下の尉官たちは、跪く。

・・・そうか・・・、わかった。・・・そういうことなんだ・・・。

 この瞬間、耀はこの先に訪れる、皇宮という場所での生活が、母皇后と、皇太子である自分にとって、そう穏やかではないであろうということが、不安とともに、予測することができた。気楽に過ごしていた、ここでの生活は、ただ、自分の役割に蓋をし、目を瞑った状態だったのだ。

・・・母上、そうだったのですね・・・。

 大きな音がした。飛行機の到着の音だった。すると、尉官たちの半分が、頭を下げ、慌ただしく、外へ走り出て行った。

「荷造りが完了致しました。戦機でお戻りとなります。お忘れ物はございませんか?」

 耀は頷いた。

 自分の意志が、関係ないのは、ここでも、その皇宮でも同じことを、耀は、この瞬間に悟っていた。

 しかし、より不安なのは、母上に違いない。俺が、母上を支えるしかないのだ―――そう、心に決めていた。

🏰

 これにて、皇宮の主は、第二皇妃から、皇后に代わった。
 クーデターの半年後には、何もなかったかのように、皇宮は復興し、穏やかな時を迎え始めた。
 皇后は、国が良くなるならと、素国の『支援』を受け入れた。
 クーデター以来、シギノ派と素国の蜜月状態は継続しているようだ。

 この頃の皇宮の印象は、やはり、派手好きの第二皇妃が去り、姫たちが北の古宮に幽閉されたことで、穏やかにはなったが、その華やかさが為りをひそめた感じだった。数馬と慈朗にとっては、少し、寂しい印象となっていた。

 そして、数馬と慈朗シロウは、皇后素白に請われ、第一皇子の耀の側付きとなった。

 耀皇子は、慈朗と同じ年の16歳で、スメラギゴールドの金髪と、金の瞳をしていた。聞きしに勝る、スメラギ皇統を携えた、まさに、皇子という印象で、桐藤とも、柚葉とも違う、生まれながらの皇子といった雰囲気を持っていた。アーギュ王太子の印象に近いものがあった。

 そして、数馬、慈朗の二人の立場も、皇子付きということもあり、「御相伴衆」としても、その立場を復活することとなった。

 再び、数馬と慈朗にも、部屋が与えられた。
 慈朗の希望で、元、柚葉のいた、階段傍の二階の部屋を、二人で使わせて貰う事となった。

 意味合いと、位置づけが少し違うが、桐藤や柚葉がいたとしたら、この耀皇子の側で、間違えなく、卒なく振る舞っていたのだろうと、数馬は思った。そして、それは恐らく、自分たちより、適任の側近になっただろうとも。

 皇子は、こちらでのことを、全く知らされることなく、北の古宮で育ったという。
 第二皇妃や、三人の姫、桐藤や、柚葉のことは、全く知らないのだ。

 数馬と慈朗は、それが不思議に感じられたが、自分たちも、当の第一皇子の耀の存在すら、この時まで、知らなかったのだから、そうなのだろう。

 亡くなった人もいる、この一件の情報については、皇子には伝えないようにとのお達しがあり、数馬と慈朗も、指示通りに努めていた。

 皇后は、第二皇妃とは違う、むしろ、正反対といったタイプで、優しく穏やかで、品のある、やはり、皇后陛下に相応しい感じの女性だった。

 数馬と慈朗の二人としては、連れてこられた経緯からすると、酷い話ともなるが、今となっては、第二皇妃の時代も、そんなに悪いものではなかったと感じていた。

 特に、慈朗は、皇后と耀皇子という、本物の母と息子の姿を見ると、皇妃のことを、母親のように感じていた部分もあり、懐かしく思い出すこともあり、少し、羨ましい気もしていた。

💎💫🏹🎨

 皇后に呼ばれ、数馬と慈朗は、その日、初めて、耀皇子に会った。

 耀皇子は、その実、北の古宮では、年の近い子どもと接することなく育ってきたが、専門の家庭教師がつき、学問や、運動など、同じ年の子どもが受ける教育は受けてきたという。

 数馬から見たら、皇子は、自分や慈朗よりも、物を良く知っていると感じた。勉強のサポートは必要ないと思った。

 背丈と、雰囲気は、スメラギ人独特の人種のせいだろうか、小柄で、線が細く、慈朗に似ている。そして、身の熟しは穏やかで、それは、アーギュや柚葉を思い出させる所があった。やはり、皇子ということで、そのようなスペックを備えているのだろうか。

「数馬、慈朗、新しいお部屋には、慣れましたか?」

 穏やかな皇后の声掛けに、数馬が答えた。

「はい、ありがとうございます。皇后陛下におかれましては、こちらで、ご不自由はありませんか?」
「沢山の人の中で生活するのが、幾久しくなので、少し、疲れますが、なんとか、慣れてきた所です。お気遣いありがとう。耀、いらっしゃい」

 耀皇子は、物おじすることもなく、普通に会釈をし、皇后陛下の隣に座った。数馬と、慈朗は、それに応じるように、敬いを示す、簡略の挨拶をした。

「耀、数馬と慈朗です。慈朗とは、同い年ね。今後、お前の側近として、ついて貰います。数馬は、確か、役者をしていたことがあると聞きましたが」
「はい、元々が、東国の旅芸人の出身です。得意は、身体を動かすことや、そのような芸事です。よろしくお願いします」
「慈朗は、絵が上手いと聞いていますが」
「はい、好きで描いているという感じです。耀皇子、よろしくお願いします」
「二人とも、優しく、心栄えの良い子たちですね。評判もそのように聞いていますよ。耀は、今まで、同い年の子と接する機会もなくて、大人の中で育ちました。これからは、機会を頂いたことですし、是非、お友達になってやってくださいね。よろしくお願い致します」
「わかりました。皇后陛下」
「僕たちは、以前から、こちらでお仕えさせて頂いておりましたから、こちらこそ、仲良くしてください。耀皇子」

 耀皇子は、少し、とまどった表情をしたが、穏やかに、微笑んだ。

🎨🏹

「とか言って、お部屋に戻られちゃったね。皇后陛下とご一緒に」

 慈朗が、少し寂しそうに言った。

「慣れないのかもな。なんか、お母様を労わってる感じがするよね」
「そうだね。皇后陛下って、なんとなく、一の姫みたいだね」
「ああ、似てるかも。でも、血の繋がりはないよね?」
「皇子、大人しい方なのかな?お話されなかったね」

 自室に戻ろうと、二人は回廊を歩いている。
 数馬は、話を続けた。

「でも、間違えなく、皇子って感じがするなあ。皇帝陛下と同じ、目と髪の色だからね」
「・・・なんかなあ、柚葉がいてくれたら、お相手、ぴったしの気がするんだけどなあ・・・」
「うーん、俺としては、皇子ご自身が、桐藤キリトや柚葉みたいに感じるんだけど」
「そうかあ・・・そんな感じもするね。うーん、何、話したらいいのかな?」
「そのうちに、お好きなものとか、判るかもしれないから、そしたら、お話ししやすくなるかもしれないな」
「そうだね」


🏹💫

 ある日、数馬が、中庭で、大道芸の練習をしていると、そこへ、耀皇子が現れた。

 初めは、数馬も気づかず、ジャグリングや、木を登って、飛び降りながら、木を蹴っての宙返りなどを、熱心に行っていた。

 耀皇子が、珍しそうに、木の陰から、その様子を覗いているのに、数馬は、少し経ってから、気づいた。

「耀皇子、いらしてたのですね」
「すごいもんだな。テレビでは見たことがあったが、本当に、宙返りなんて、できる者がいるんだ」
「初めてですか?間近で、ご覧になるのは」
「ああ、僕は、こういう運動が苦手なので、君みたいに動ける人が羨ましい」
「少しずつ、鍛えるといいですよ」
「君は、東国生まれだそうだな。何故、ここにいるんだ?」
「えーと、たまたま、船が座礁して、流れ着き、前の皇妃様に雇って頂いたんです」

 本当の事を知らないから、聞ける質問なのだな、と、数馬は思った。

「そうか。東国の者を、皇妃様は目の敵にされていたと伺っているんだが」
「芸を買って頂いたんです。ありがたいことです」
「そうなのか・・・」

 数馬は、笑って、頷いて見せ、訪ねた。

「皇子は、こちらには、慣れましたか?」
「うーん、あんまり、向こうも、こちらも変わらないな。周りの人間が多くなっただけかな」
「向こうは、寒い所だそうですね」
「冬が長い感じだな。一年の半分以上、雪に見舞われるから、スキーやスケートは、よくやっていた」

 何気に、北の古宮の様子が知りたかった。姫たちが、今、居る地でもあるからだ。

 スキーができるなら、二の姫は、ランサムのクランツァにいる時と、変わらずにスキーをしているんだろうなと、数馬は想像した。

「あちらでは、食べ物とか、施設とか、ご不自由はありませんでしたか?」
「特にはなかった。あそこで育ったから、あれが当たり前だと思っているので。こちらは、御膳が豪華で、母上は、勿体ない、と仰ってる。全体的に、もう少し、節約をした方が、国の為に良いと。僕もそう思う」

 やはり、皇子の発言なのだな、そのように、数馬は感じた。そして、桐藤のことを思い出した。桐藤も、常に、そのようなことを、口にしていた気がする。

「成程、俺もそう思います。俺たち二人にも、豪華なお膳が出ますから、こんなに要らないな、と思うこともあります」
「・・・」
「何か、お見せしましょうか?どんな感じのものが、いいでしょうかね」

 数馬は、芸を見せようと、耀皇子を誘った。

 皇子は、庭に設えてあるカウチに腰掛けた。
 お庭遊びの頃、桐藤と一の姫が掛けていた席だ。
 数馬は、華やかだった頃の皇宮を想い出す。
 耀皇子は、表情が薄い、という感じだ。

 第二皇妃の時代の皇宮は、個性的な人物が多かった事に気づく。

 真面目だがきつい桐藤、優雅で華やかな柚葉、可愛くて賑やかな三の姫・・・、第二皇妃自身が、そうだったように。

「数馬、やっぱり、ここにいたんだね。・・・あ、耀皇子も。失礼します」

 慈朗がイーゼルを抱えて、やってきて、皇子に一礼した。それに、数馬が声をかけた。

「あ、画伯、復活?」
「うん、先程、皇后様が、下さったんだ。絵が好きなら、描きなさいって」
「・・・あ、それ、僕が頂いたのだけど、使わないから、・・・君が使うなら、無駄にならないね」
「え?皇子のなんですか?じゃあ、ダメです。皇子が描いてください」
「僕は、絵は下手だから、・・・君に何か、描いて貰った方がいいよ」

 慈朗は、ちょっと考えてから、答えた。

「あ、じゃあ、えっと、・・・そうだな。わかりました」

 慈朗は、イーゼルに下書き用の画用紙を挟むと、何か思いついたように、さっと、スケッチを始めた。

 ああ、成程な・・・。

 数馬は、慈朗が人物を描き始めたのを見て、誰を描いているのかが、すぐ解った。

 すると、耀皇子が、慈朗に近づき、話しかけた。

「・・・早いんだな。もう、かなり、描いてるんだ。消しゴムとか、使わないの?」
「うーん、あまり、使わないかな・・・これは下書きだし、気楽に、描いてるんです」
「勇気があるんだ」
「え?」
「うまく描けないかもしれないから、って考えてしまって、何も描けない、ってなってしまうんだよね」
「皇子・・・、これは慣れれば、誰でも描けます」

 えっ、という顔付きで、数馬も近寄って、声をかける。

「いいや、違うねえ。誰でも、お前みたいに上手くなんか、描けないよ、慈朗」
「えー、慣れだって、こんなの」
「嫌味だな、それって、上手い奴だから、そんなこと言って」
「そういう、数馬はさ、ついついーって、木に登っちゃってさ、宙返りで降りるなんて、神業じゃんか。僕、絶対、あんな怖いこと、できないもんね」
「それこそ、鍛錬の賜物なんだぜ。俺だって、初めから、あんなの、できたわけじゃないんだ」
「自慢気で、ちょっと、ヤな感じじゃない?これって」
「なんだよ、お前、結局、頭も良くて、絵も上手いじゃないか」
「数馬は、芝居に歌に、やれって言われたら、何でも、すぐ、できるじゃないか」
「はあ?俺が鳥を描いたら、脚が四本になったって、馬鹿にするじゃないか」
「したっけ?それ、他の誰かに、言われたんじゃない?」

 クスクスと、笑い声がした。二人が振り向くと、耀皇子が笑っている。

「君たち二人、どうでもいいことで、言い合って、兄弟みたいだな」
「・・・あ、いやあ、まあ、そうだな、兄弟みたい、かもな」
「あ、うん、そうだね、ずっと、ここ数年、一緒にいるからね」
「面白い奴らだ」

 初めて、耀皇子が、打ち解けた感じを示した。ニッコリと笑い顔を見せたのも、初めてだった。

 数馬も慈朗も、耀皇子が何を考えているか、解らない感じがしていたので、この表情に、二人とも、嬉しくなった。数馬が、耀皇子に尋ねた。

「あ、ああ、そうそう、慈朗が、誰を描いてるか、解りますか?」
「さすがだねえ、数馬は、もう解ったんだね」
「上手いから。特に、女性描くの、上手いよね」
「どういう意味?」
「特に、意味ないよ」
「綺麗な方は、失礼だけど、描いてみたくなりますよ。皇子、似てますか?」

 耀皇子は、顎に手を当てて、少し考えながら、ハッとした様子で答えた。

「あ・・・母上・・・?」
「そうです。僭越ながら、皇后陛下です。きちん描いて、水彩にしますよ。リクエストがあれば、できる範囲でお応えしますよ」
「上手いもんだな。本人が、目の前にいなくても、描けるのだな」
「あ・・・そうだ、慈朗・・・」

 数馬は、その後、慈朗に耳打ちをした。

「・・・うーん、いいけど、ちょっと、待って・・・うーん、それは、その内がいいよ」
「そうか・・・」
「?」

 二人の話の意味が解らずに、耀皇子は、小首をかしげた。
 すると、慈朗が、皇子に声をかけ、描いた絵を手渡した。

「似顔絵、っていうジャンルになるのかな、この感じの絵は。はい。どうぞ、皇子に差し上げますよ」
「そっくりだ。それに、とても笑顔の、どうして、解るんだ?」
「解るって?」
「母上は、君の前で、こんな笑顔になったことがあるのかい?」
「あ・・・えっと、・・・すみません。笑ったら、こんな感じかなと、描かせて頂きました」
「すごいな、見た事ないのに?」

 耀皇子は、驚いている。
 これは、慈朗の、小さい時から培った再現の絵の力だ。
 食べてしまったリンゴを見て、丸いリンゴを描いた。
 怒ってばかりの、継母を笑顔に描いた。
 そんな慈朗の絵には、良い願いがこもっているのかもしれない。

「うーん、想像で書いたのですけど、似てらしたら、嬉しいです」
「すげえじゃん、やっぱり、慈朗。上手いんですよ。こいつ、やっぱり」
「ああ、そう思う。母上にもお見せするから、早速、持っていこう、ありがとう」

 そういうと、耀皇子は走って、回廊の方へ行ってしまった。
 皇子の姿が見えなくなると、慈朗は言った。

「さっきの、」
「うん、どうかな、と思ったんだけど」
「ご家族の絵にしてあげてって?」
「まずかったかな?」
「解らないんだけどさ、皇帝陛下と、耀皇子って、殆ど、面識ないんだって」
「あ・・・そうか」
「ちょっと、わかんないなと思って。はたして、親子三人の絵を送って、本当に喜んでくださるか・・・」

 数馬は、ニコニコとして、慈朗を見た。

「流石、柚葉がついてる、慈朗の気遣いと、判断力だ」
「・・・えっ、何それ?」
「今、お前の背後に、柚葉が見えたよ」
「そ、そお?」
「何、振り返ってるんだよ。馬鹿だなあ。そういう意味じゃねえよ」
「うん、わかるけどさ・・・」
「あ、ごめん、寂しくなっちゃったか・・・」
「・・・えへへ」

 慈朗は、少し、このやりとりで目を潤ませたようだ。

「え・・・?よせよ、涙目になるなって」
「だってさ、皇妃様もいらっしゃらないしさ、どっちかっていうと、そっちが寂しいかな」
「そうか・・・最近では、皇后様と耀皇子、見てるしな」
「うーん、でも、いい。数馬がいるし」
「・・・俺、柚葉じゃないからな」
「解ってるよ、さっき、耀皇子に言われたみたいにさ、兄弟って、しっくりくるな、と思って」
「そうそう、その言葉聞いて、図々しいけど、耀皇子ともさ、兄弟みたいになれたら、いいのかなって、さっき、思ったんだよね」
「うん、僕もそれ、感じた」
「毎日、色々話して、皇子も、それから、皇后様にも笑顔が増えるといいなと思った。お前の絵に、皇子も、あれだけ、喜んでくれたんだからね。俺たちの得意で、皇后様や、耀皇子が、喜んでくれるならいいなと思う」
「うん、そうだね」

 二人は、お互いに頷いた。


晴天の霹靂2~「ヒエラルキー逆転」へ続く


御相伴衆~Escorts 第二章 第116話 青天の霹靂1~「耀皇子」

 お読み頂きまして、ありがとうございます。
 『御相伴衆~Escorts』も、第二章がスタートとなりました。

 クーデター以来、ようやく、穏やかになってきた皇宮です。
 数馬は、得意の大道芸、慈朗は、絵を描いて、過ごせる所まで落ち着いてきたようですね。

 本当の、スメラギ皇国の皇太子だった、第一皇子の耀が、北の古宮から、母の素白皇后と共に戻ってきました。

 数馬と慈朗は、時折、元居た先達の二人、桐藤、柚葉を思い出しつつも、新しい環境に慣れつつあります。

 何か、存在感の薄い耀皇子ですが、この章では、その立場から見ても、お話の中では、重要な位置を占めてきます。

 次回をお楽しみになさってくださいね。今後の展開をご期待ください。
 

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