御相伴衆~Escorts 第一章 第115話番外編⑤「俺は『柚葉』になった」柚葉編「初恋」より
スメラギ皇国への訪問の日がやってきた。
紫統様の側で立場を隠し、随行者として、伴うこととなった。見聞を拡げる目的と、王族としての学びの為という事で、親には、伝えられた。
専用機に乗り込み、素国の国内の領土上空を、初めて、見下ろした。
「まだまだ、この領土は続きます。素国の広大さが、実感できるに違いありません」
紫統様は誇らしげに、俺に話してくれた。今、まさに、飛んでいる地方の特徴など伝えられた。その内に、空気が、黄色い靄がかかってきたように、変化してきた。
靄の奥に、尖った塔のような建物が見えてきた。
「一目で国の全容が見てとれる。箱庭のようだな、相変わらず・・・」
それが、スメラギ皇国だった。大陸の西南臨海部に位置している。
「僅かな広さの崖っぷちでしがみついている、小さな国です。ネコのような声の妃が君臨するには、丁度良い広さでしょうね」
それまでは、聞いたことがなかった。紫統様が、他を悪く言う、その感じを、初めて聞いたのだ。
小さな国と言ったが、迎えられた空港も、普通のものであったし、少し、人々が小柄だなと思ったが・・・それも、民族の違いと聞いていた。
出迎えに、恭しく、頭を下げてくる者がいた。ジャガイモのような頭の中年の男性、彼は、亥虞流と言った。もう一人は、それよりは若く、身体を鍛えている感じの、胸板の厚い男性、志芸乃という名前だった。二人とも、スメラギ軍部のツートップだと、紫統様から、耳打ちをされた。
見る所、普通の軍人の偉い人という感じだったが、断然、紫統様の方が偉く見えたし、当然、美しい姿、その立ち居振る舞い、全てが「excellent」だった。やはり、紫統様は、我が素国の代表だ。
皇宮という、こちらの王宮に当たる、どちらかといえば、コンパクトに纏まった、小奇麗な宮殿の謁見室に通された。(これが、後に、機能的なことは解ってくるが・・・)
少し待つと、強い花と果実の混ざった香りがした。いい匂いだが、多少、きつい感じ・・・、これは女性だろう、と感じた。すると、比較的大柄な女性が、大胆な服装で部屋に入ってきた。瞬間、紫統様が、眉を顰め、少し、鼻で笑ったのを覚えている。
皇帝陛下ではないのだな。聞けば、美蘭様という、第二皇妃というお立場の方で、要は、皇帝陛下の側室に当たる方なのだと言う。今日は、ご体調が悪い、皇帝陛下の名代で、お会いして下さるという。
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