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御相伴衆~Escorts 第一章 第113話番外編③「憧れの人」柚葉編「初恋」より

 彼は、俺にとって、その少年時代、全てだった。

 王宮のあらゆる、社交の場で魅せられた、その存在感には、幼心に、震えを感じていた。多分、そもそも、俺に素質があったのだろう。彼にしてみても、早くに、それに気づいてくれたのかもしれない。多くの一族の中から、目にかけ、拾い上げてもらったような気がする。

 まだ、エレメンタルに上がる以前から、面識があり、会う度に、よく抱き上げられていた。母親の弟に当たる方だ。その頃には、彼は既に30歳を過ぎていた。少しずつ、所作のレクチャーを、各国の王子たちに仕掛け始めていた頃だったと思われる。

 母から引き渡され、彼にいわゆる「抱っこ」をされると、その耳元に、心地好い匂いを憶えた。それは、彼の身体から出るものだと、俺は思っていた。こんなに、カッコいい大人は、いい匂いがするものだと、思い込んでいたのである。エレメンタルの時、その香りが「ティーツリー」であることを知ると、俺は、すぐ、母にねだった。まだ、早いと諭されるが、それを知った彼は、密やかに、「抱っこ」の時に、耳元にアトマイザーで、スプレーしてくれたのを覚えている。くすぐったく、あれが、彼から受けた、行為のスタートだと、印象として感じているのだが・・・貴方は、きっと、覚えていないかもしれない。

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