夜 の 君
原作:御伽屋艶楽 現代語訳:樋水流布
「畸神譚ご指南書」より
「本日をもって、そなたは、初冠を迎えた。男子十五歳の祝いぞ」
「はい、お爺様」
「しかしながら、辛くも、そなたの両親は、薬師の家にありながら、母はそなたを産み落とすと、その場で亡くなり、我が息子である父も、患者の病が移り、命を落とすことになってしまった。その為、跡取りとなる、そなたには、事実上、早い時期から、薬師の学びと、実際の施しに入ってもらうことなった。しかし、両親の分を補って、余りある程に、学び、この役割を尽くし、果たしてきた。我は、我を継ぐ者として、そなたを、実に、誇りに思う。椎麝」
「はい、お爺様、ありがたきお言葉、身に沁みます。これより、一層の精進をしてまいりますが故、よろしくお導き、お願い申し上げます」
「あい、わかった。まあ、それはよろしい。我もこの初冠の時、今一つ、区切りを頂いた覚えがある。そなたの父も同様にだ」
「・・・十分なお祝いの御膳を、頂いておりますが・・・まだ、何か・・・」
「入りなさい」
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