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御相伴衆~Escorts 第一章 第五十二話 姫のお部屋付き 数馬と三の姫⑩

「・・・柚葉も、嘘ついてるのか?」
「ああ、俺は、慈朗シロウがいてくれるから、補完されてるんだけどね。仕事だと思って、二の姫とのことは、割り切ってる」
「・・・そうかあ、・・・そうなんだ。ごめん、まあ、じゃあ、行くわ」
「好きなんだろ?女美架メミカ姫様のこと」
「・・・ん、じゃ」

 柚葉の奴、余計なこと、言いやがって。

 っていうか、これまで、そんな風に考えちゃいけない事だと思ってたし、そういう仲になるのだって、もっと、何年か先で、俺は学校に行って、一緒に宿題をして、たまに市井でカラオケして・・・って、そういうお相手だと思っていたから。

 桐藤キリトや柚葉の年長の姫様たちみたいのとは、まだまだ、関係性が違う、先は読めないけど、今すぐにどう、ということもない、と思っていたから。あ、そうだ。部屋に行って、私物を取ってこないとな。

 あああ、三の姫様の部屋の前に、着いちゃったよ。もう、20分ぐらい、過ぎちゃったからな。怒ってるかな?いいんだ、目の前のやり取りなら、今は、いくらでもしてやれる。でも、それ以上のことは、・・・どうなんだろうか?

コンコン

「姫様、数馬です。遅くなりました」
「お帰りなさい。あ、お荷物、持ってる、お引越しみたい」
「まあ、あまり、私室に入ってはいけない、って、この一週間は、そうらしいから」
「御着替えと、学校の教科書と、芸事の道具と・・・数馬がいっぱい」
「え?」

 マジ、キンダーガーデンみたいな言い方だな。本当に、三の姫様って・・・いや、まあ、それは、いいや・・・、細かいことは考えられないし、今は、目の前のやり取りに専念だな。

「ごめん、こんな荷物、ここに置いといていいかな?」
「あ、お洋服は、ハンガーに掛ける。さっき、アカツキが、カメリア用のハンガーラック、数馬用に持ってきてくれたんだ」
「へえ、」
「やらせて、お手伝い、やりたい、やりたい」
「じゃあ、悪いけど、任せた」

 なんか、嬉しそうに、俺の服、ハンガーにかけてるなあ。
 お姫様というか、普通の女の子なんだよなあ、こういう所って。

「数馬って、赤が似合うよね。赤と黒とか、はっきりした色の服が似合うね。あー、これ見たことがあるー」
「昨日、着てたやつだよ、流石に、見たことあるだろ、さっき、洗濯上がってきたから」
「うふふ、いいなあ、ご夫婦みたいだね。お世話してる感じして」

 ・・・うーん、どうなのかなあ。
 発言は、おままごと的な感じなんだけど、事実を伝えながら、先に進めること自体、可能なのかな?

「まあ、こんなとこかな?・・・はあー」
「数馬、疲れてる」
「うん、なんか、儀式とか、ダメなんだよね、肩が凝るよ、ああいうの」
「結局、あーんして、だったね」
「そうだな・・・ああ、もう、痛いとか、大丈夫なの?」
「・・・うん、でも、やだった。恥ずかしかった」
「・・・そっか、ああ、ごめん、いいよ、話さないで」

 ああ、心配のつもりで言ったんだけど、会話としては、ヤバいかな💦

「あんな恰好、初めてした。御殿医の先生、男の人は出ていってから、女の先生が診てくれたから、まだ、よかったけど。冷たい道具入れられて、ちょっと、中、拡げられたのわかったし、最後の消毒も、奥に入れられて、すごい、沁みて、嫌だった」
「・・・大変なんだな、お姫様って」

 うわあ、やっぱり、顔見られないな、こんな話。
 よく話してくれてる、と思うが・・・。

「なんか、ごめん・・・」
「数馬が謝ることじゃないよ、もういいや。病気にならなければ、赤ちゃんができるまで、あんなことは、二度とないって」
「・・・」
「心配してくれたんだよね?数馬は」
「まあ、そうだね。本当に、ご苦労様です」
「ありがと。・・・うん、それより、数馬、なんで、お勉強道具、持ってきてるの?」
「まあ、一応、やっといた方がいいかなあと思ってさ。あと、柚葉が、この休み期間中の授業を纏めたプリント、作ってくれるみたいだから」
「じゃあ、お勉強しなくていいじゃん」
「あああ、そうかもしれないけど・・・」
「お母様に、特別なお休みと思って、数馬とゆっくり仲良くしなさい、って言われた。だから、お勉強はしないの」
「うん、まあ、いいんじゃないかな」

 問題集とかやったり、後は、トレーニングやらせてもられば、少し、時間が持つかな、とか思ってたんだけど、多分、桐藤キリトとかが見たら、そんなの、もっての他なんだろうなあ。姫様に、全開に合わせていそうだよね。『恋物』の読み聞かせとかやってる、とか、聞いたから。

 桐藤、すごい、一の姫様を、大事にしてるのが、最後に言ってた言葉で、解ったんだよね。ただ、好きとかいう問題じゃない感じがした。出会った頃の、あの桐藤がって、ギャップかなと思ったら、実は、すごい、今の桐藤らしいって思ったんだよね。

 反対に、柚葉は、誰にでも好かれる雰囲気と実力があるのに、自分のプライベートが普通と違うから、もう、諦めてるというのか、達観してるというのか・・・ドライで、適当にできていて、でも、それで、自分を護ってる気がするし。他とは比べられないけど。慈朗が大好きで、本当に、慈朗の前では、だらしなくなる。でも、それでいい感じもする。

 好きな人がいる、っていうのは、頑張れるモチベーションだと思う。

 うーん、・・・俺は、どうなんだろうか?

「桐藤と、どんな話をしてたの?」
「うん、ちょっと、先の話かな、仕事上の」
「そうなんだ。桐藤、優しくなったから、話しやすいでしょ?」
「姫様も、そう感じるんだ」
「うん、桐藤、こないだのお庭遊びの時も、トライフルの味、褒めてくれたし。前は、意地悪で、怖い所がいっぱいだったけど、一のお姉様のせいだと思う」
「そうだね。一の姫様のお蔭だね」

 あれ?姫様、少し、何か、考えてる、かな?

「数馬は、どうなるのかな?」
「え?」
「でも、数馬は、元々、優しいし、正義の味方だし、もう、いいとこいっぱいだから、変わんないかな?」
「うーん、わかんないな、そういうのは・・・え?どういうこと?」

「この後、数馬、変わるのかな?」

 なんか、鋭いというかさ、先々のこと考えるとか、そんな会話になるね。

 そりゃ、そうかもしれないね。姫様なりに、今後のこと、予測してるのかもしれないけど・・・

 手放しで、どうのこうのって、没頭できればいいんだけど・・・正直、お許しが出た、ってそういうことかな、と。

 そういう行為をするという意味で、覚悟はしてたんだけど・・・。どうやら、それだけでは、済まなそうだな。

 ただでさえ、この姫様がどうなっちゃうか、予想もつかないから、大変かも、と思っていたのは、事実で。姫様の言う通り、俺自身だって、どうなっちゃうんだろうか・・・?

 例のランサムの踊り子さんは、お姉さんだったし、他のお客も、ちょっと、そんな感じになった女性は、皆、年上で、俺の方が可愛がってもらった感じだった。だから、俺の方が上で、色んなこと、教えたり、リードしたりとか、普通に過ごしているだけでも、初めてのことばかりで・・・。こんな風に、役目とかじゃなくて、多分、姫様の幸せを考えて、応援する、っていうことなら、いくらでも考えられる。でもな、将来は、ランサムに嫁ぐことを、いずれ、姫様自身が知ることになるんだ・・・、俺とのこともありながら。

 本当は、姫様が選べればいいんだけど、でも、姫様なんだから、そんなの無理で。俺が何か、期待しているっていうわけではないけど、・・・って、今は言える。この感じで、俺自身、実際にそうなった時に、割り切れるんだろうか?・・・桐藤のようになってしまったら、どうしようか?理屈では、柚葉のようになれればいいんだ、とも思うけど。

「もう、疲れちゃったね。お夕食、簡単なもの、少しでいいかな。数馬は食べたかったら、沢山、貰ってね。暁に連絡するね」
「姫様と同じ物でいいよ」
「果物食べたいな」
「イチゴだね。じゃあ、俺はバナナだ」
「うん、フルーツサラダにして貰おうかな。もう少し、色々入れてもらって」
「美味しそうだね」

🏹🍓

 暁が、可愛い揃いの色違いの器や、カトラリーをいくつか、運んできた。その殆どを、設えの棚にしまって、必要分だけ出す。グラスも、マグカップもペアだ。いかにも、三の姫様の好きそうな設えものだ。

「素国のデザイナーの食器シリーズだね。これ」
「そうですよ。お妃様が、プチ・ウエディングのシリーズを用意してくださいましたよ」
「ああ、こないだ、食器のカタログ見てて、可愛いって言ってたの。お姉様用だと思っていたの」
「一の姫様の所は、また、違うロイヤルというシリーズだったと思います」
「うん、見たよ。それも。今度、お姉様のお部屋に行けた時に、見せて頂こうかな」
「今は、双方のお部屋は、行き来できない時期ですよ。あまり行くと、桐藤様が、あからさまに、困ったお顔をされると思いますよ」

 三の姫様、暁の言葉を聞いて、俺の顔をじっと見てきた。

「数馬は?困ったお顔しないの?」
「は?・・・え?・・・あ、いや、用事があって、世話してくれてるから、暁が来てるのは、そんなのは、困らないよ」

 暁は、食事のしつらえをしながら、クスクス、笑っている。

「はいはい、長居は無用ということですね。承知致しました。失礼致します。ワゴンは、廊下に出しておいてくださると有り難いので」
「ああ、なんか、ごめん。暁」

 すると、暁は、俺の傍によって、耳打ちした。

「いいえ、もう、今夜はきませんから、ご安心なさってくださいね」
「あ、いや・・・えっと・・・」

 暁は、頭を下げて、ニッコリとしてから、ドアを出て行った。

「暁、なにか、コソコソしたね、また」
「あー、いやあ、俺も聞こえなかったな。独り言じゃね?」
「・・・ふーん、まあ、いいや。これ、フルーツサンドだ。クリーム二層だよ。嬉しい」
「可愛いな、一口サイズだ」
「あーんして、のサイズだ」

 え、あ、そういうこと?

 フルーツも、綺麗にカットされてるけど、一つずつ、ラップしてある。サンドイッチも、飴包みしてある。ジュースが何か2種類、アイスティーにもフルーツが、ピッチャーに沈んでいて。お揃いの取り皿。キラキラのカトラリー。花の蕾が少し開いたようなグラス。三の姫様大好きな演出だらけと、食べやすい設えだな。厨房の人達、すごい仕事だ、これ。あと、バナナがひと房ね。これは、俺への配慮かな?・・・乾かないように、素手で食べられるように、いつでも、食べられるように・・・。

 うーん。俺の深読みだろうか?

「これなら、ベッドの上でも、食べられるね。こぼさないようになってるし」

 俺の深読みも、外れてもないってこと?

 姫様、貴女は、いつものモードで、色んなこと言うけど、柚葉が聞いたら、クスクスされそうなことを言っているんだよ。考えてること同じみたいにさ。でも、これは、そうなんだ。桐藤たちも、この設えの食事を、経験してるんだろうな。

 いちいち、なんだかなあ。っていうか、恐らく、この一週間で、結果出せ、って、お妃様が言ってるようなものなんだな…。

                    ~数馬と三の姫⑪につづく~


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              数馬と三の姫編⓾ 御相伴衆Escorts 第一章

 色々と、考えるものだろうなあと、思うんですよ。
 他でも、男性サイドで、ああでもない、こうでもない、って・・・。

 作者としても、可愛いカップルの二人と思っているので、良い感じに進んで頂けたらと思っている所なのですが・・・。

 お読み頂きまして、ありがとうございます💛✨
 次回、どうなるのでしたっけ?・・・お楽しみに💗✨

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