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御相伴衆~Escorts 第一章 第十五話 桐藤編②「恋物読み聞かせ」
貴女のお母様から教わった手練手管、結局、使う先が、柳羅様、貴女なのですよね。俺は、生粋のスメラギの人間です。出自については、色々な所から、推測が齎されるが、俺としては、そんなことは、どうでもいい。父親がスメラギ人だ、ということが解っている。そのことが解ってさえいれば・・・。そして、貴女が、国の外に嫁ぐことができない、その状態が(貴女には残念なことかもしれませんが)俺には、幸いなんですよ。
「大丈夫ですか?今日も、優しくしますから、お辛い時には、伝えてくださいね」
軽い身体の貴女を横抱きにして、もう一度、ベッドに戻してやる。これからすることは、貴女の普段の活動量から考えると、ものすごい、消耗することになりますね。事後にお食事をとって頂ければ、というのも、狙いですから。いえいえ、決して、口実ではありませんよ。
「恋物、今日は、どちらのお話に致しましょうか?お部屋にある御本は・・・?」
「もう、皆、読み終わってしまいました」
「・・・そうですか。そんなことだろうと思いました。持ってきましたよ。ああ、これは、国造りの女神のお話シリーズです。その抜粋なのですが、氷の国の王から、国造りの種を頂く為に赴きます」
「そのシリーズの、焔の国でのお話を読んだことがあります。沢山の登場人物が出てきて、冒険物の要素が強く、どうなるのか、ハラハラして読みました」
「ああ、勧善懲悪っぽいやつですね。でも、僕は、西風の神、案外好きですよ」
「ああ、可哀想な方ですね」
「そう思って頂けると、僕の考えに近いです。嬉しいですよ。悪役と決めつけたら、いけません。皆、それぞれ、立場があって、動いているものですから・・・、えーと、どちらから、行きましょうか?ああ、ここは、今日の貴女と、僕みたいな件です・・・」
「伽産物語 11の章 密なる融解」より
その見つめる漆黒の2つの瞳で、私を見つめてくれまいか、
「私の肌、熱いですか?場合によっては、私が冷たいことよりも、貴方が火傷をしてしまうかもしれないかと、そのことが心配です。・・・手とかは、貴方より、少し温かいぐらいですが、この辺りぐらいだと、どうでしょう?」
国母は、髪で隠れた、自らのうなじに、クランツァの手のひらを当てがってみる。
「ああ、少し、熱く感じる。火傷という程ではないが、こんなに熱いとは・・・」「だとすると、私の衣服で隠れている部分は、より温度が高いですから、きっと、厳しいのではないかしらね・・・」「・・・すると、ご所望の件は難しいとか・・・」
クランツァの顔に、諦観が浮かぶ。
「大丈夫です。貴方の体温が上がればいいのですよね?良い物があります。これは、蜂宮でも使っている『蜜飴』というものです。これを舐めると、身体が熱くなって、暖を取ることができます」「どうすれば、よいのでしょうか?」「少しずつ、薄めて、服用すればいいのです・・・多分、こうやって・・・」
紅い唇は、その艶を保って、常に我に触れてはくれまいか、
国母は、蜜飴を口に含んだ。ラムネ状になっている為、すぐ口の中で溶ける。そのまま、国母は、クランツァに口づける。
「含ませますから、吸い取って・・・んっ・・・」
「・・・そういうこと、・・・」
「そういうことです・・・熱くはないですか?」
「やはり、少しきつい気がしますが・・・」
「お嫌ですか?」
「いえ・・・でも、貴女が大変ではないかな?」
「・・・その実、これで、同時に2つのことが為されるわけですから・・・」
クランツァは、複雑な表情をしている。
「説明、必要ですか?」
「あ、いや、・・・そう、なのだろうから」
「そうなんです。しばらく、甘いですが、大丈夫ですか?」
しばし、クランツァは、国母を見つめる。
「まさに、甘い」
思わず、抱き締める。
「申し訳ないが、もう少し、与えてはくれまいか・・・」
「はい・・・んっ・・・」
蜜飴を口移すという、濃厚な口づけを繰り返す。その行為だけでも、惹き上がる所を、蜜の甘さと、その薬効が、クランツァの心と身体をほぐし、融かし、・・・国母自身が、更に、蕩かす。
「ああっ、熱いっ・・・身体の奥から、火がついたようだ・・・」
「効果が出てきましたね。直接、このタブレットを口にお入れするとしたら、その瞬間に、口の中を火傷されるような気がしたので。結果、身体が温まるのは、私達と一緒です。良かったです。あの・・・ちょっと、私の熱い所、触ってみてください。大丈夫ならば、もう、火傷しない状態だと思いますから」
「どこを・・・?」
「探ってみてください」
「ふ・・・なるほど、・・・そういうこと」
クランツァは、国母の背後に周り、後ろから、抱き竦めた。
「いかがですか?なかなか、色っぽい件ですね」
両手で口を抑えておられる。耳が赤くなっている。
「これ、置いていきますから、続きはどうぞ、お読みくださいね」
「あ・・・待って」
「え?帰ると思ったんですか?帰りませんよ、それとも、帰った方がいいですか?」
また、嫌々をしておられる。
「桐藤は、いつも、意地悪を言うのね」
「そんなこと、してませんよ。ああ、もう一度、ゼリー召し上がりますか?国母がクランツァにしたように、また、僕が貴女に施しますよ」
「・・・」
身じろぎしている。
「いい子ですから、もう一口、そしたら、お話のようにしましょうか?その続きは、どうなってますか?」
恥ずかしさで、堪らなくなっている様子が、少し嗜虐性をそそるが・・・。もう一度、ゼリーを口移す。嚥下を確認すると、途端に、慎ましやかな筈の唇が、能動的に動き出した。
清楚な花のようなイメージが、掻き消される程の動きが付与される。もう、目が逝ってるんじゃないのか・・・?
「そんなに、僕に会いたかったんですか?」
「・・・はい♡」
「だったら、絵描きの子のことなんて、言ったら、ダメじゃないですか」
「あ・・・それは、違います。絵を見たかっただけで・・・」
「違わないんですよ。ここでは。貴女が男を傍に呼ぶだけで、そういう意味になりますから」
「そんなつもりでは・・・」
「まだ、そんな言い訳をなさるのですか?僕が怒ったら、どれだけ怖いか、周囲から、聞いてはいないのですか?」
「あああ、桐藤、ごめんなさい」
「いいえ、貴女を苛むつもりはありませんよ。でも、僕だって、貴女が他の男のことを求められてると思ったら、堪りませんから、・・・僕の気持ちが、貴女には伝わってないのですか?」
「そんな、そんなこと・・・」
首が千切れてしまいますよ、柳羅姫。そんなに振ったら。
「じゃあ、続きをしましょうね。・・・愛していますよ」
~桐藤編③に続く~
みとぎやのメンバーシップ特典 第十五話 桐藤編②「恋物読み聞かせ」
御相伴衆~Escorts 第一章
お読み頂きまして、ありがとうございます。
桐藤の本領発揮という感じですね。
お姫様と御相伴衆たち、必ずしも、その気持ちが皆、上手く行ってるとは限りません。この前の柚葉編では、柚葉と二の姫は一見上手く行ってるように見えて、柚葉が大嘘をついている、という状態でした。
それに対して、この二人は、ロイヤル感満載で、相思相愛振りが否めません。実に、ロイヤルな目的もある二人の今後もあり、それに向かって、まっしぐら、なのかもしれませんが・・・。
次回も・・・お楽しみになさってください。
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