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御相伴衆~Escorts 第一章 第三十三話 一緒にお勉強①「暁の気がかり」~数馬と三の姫①
「実はね、暁。昨日の夜にね、とっても、嬉しいことを、お母様から伺ったので、嬉しくて、嬉しくて、仕方ないの」
「存じ上げておりますよ。三の姫様」
「もう、暁も知っているのね?」
「そうです。良かったですね。女美架様」
「うふふふ・・・♡」
可愛らしい方。思えば、この皇宮で、純粋なお心持ちのまま、お過ごしになられているのは、ご病気の一の姫 柳羅様と、こちらの末の姫様の女美架様ぐらいですね。
残念というか、何とも言えませんのが、皆様、複雑に利権とかに、絡み合っているようで、何かを言うのも、為すのも、正直、窮屈で。でも、私は、姫様付きで良かった。欲得なしの、お二人に付かせて頂いておりますからね。ありがたいことに、比較的、皇宮の中では、安心して、お務めに励むことができていると感じます。この点では、月も似たようなことを申しております。明るい数馬様と、優しい慈朗様付きのお世話役になり、毎日が楽しいのだそうです。
「数馬は、秋から、一緒に学校に行くのですって。何か月かは、お教室が別々だけど、その後は、ずっと、一緒なんですって」
「それは、良かったですね。姫様。ではね、宿題をなさらないと。もうすぐ、柚葉様が見に来られますよ」
「桐藤は来ないんだよねえ」
「そのようですね」
「うふふふ♡・・・知ってるんだ♡」
「何をですか?」
「・・・いいの、いつか、桐藤と柳羅お姉様みたいになれたらな・・・と思って♡」
まあ、そうなったら、なったで、色々と、大騒ぎされそうな気も致しますが。
先頃から、お姫様方に置かれましては、一の姫様は『奥許しの儀』が、桐藤様との間でご成立遊ばされ、勝達な二の姫様は、ランサム大学へのスポーツ推薦でのご留学が決まり、そして、この末の三の姫 女美架様には、御側付が、数馬様に決まったことなど、喜ばしいこと続きで、皇帝陛下並びに、第二皇妃様には、お喜びのことと存じます。
特に、一の姫様のご回復は信じられないものでした。普段は、そのような感じをおくびにも出さない、桐藤様ですが、その愛情というものが、何よりもの、お薬だったのでしょうね。まさに、皇統を司るお二人のように感じます。そうですね。先日の御庭遊びの際も、慈朗様がそのように、申し上げておりましたね。私も、密かに、そのように思っておりましたから。
「失礼します・・・姫様、おや、今日はもう、プリントを広げられてますね。珍しい」
「あ、柚葉様が、来られましたよ、姫様。・・・そうなんですよ。柚葉様。明日から、数馬様たちも、学校に行かれるということで、張り切ってらっしゃるご様子で」
「偉いですよ。三の姫様」
「うん」
「そのような姿勢、流石です。数馬も褒めてくれると思いますよ」
「そうですね。頑張ったら、ご報告致しましょうか?」
「それでは、暁の仕事が増えてしまいますよ。でも、良い事です。どこまで、やりましたか?ああ、読解なら、お得意でしょう?国語だけは、学年トップですからね」
「ねえ、柚葉、そろそろ、水色の表紙の『恋物』ダメかな?」
「ああ、それは、僕ではなくて、第二皇妃様、お母様のお決めになることですから」
「皆、読んでるんですって、私、話題についていけなくて、仲間外れになってしまうわ」
「そうですか。じゃあ、こちらに、プリントの読解を、全部やって、あと、宿題は?」
「嫌いなの、まだあるの、調べものと、算術」
「調べものは?」
「近代史のやつ・・・」
「あああ、これは間違えられません。お身内のことですから、これは全部、こちらでお教え致しますので、一語一句、間違えてはなりませんよ。成績だけの問題ではありませんから。お婆様のお名前、きちんとした表記で書けますか?つまりは、お婆様までの代の歴代の皇帝と皇后陛下・・・これ、学校では、まだ、この認識なのですかね?暁」
「でも、一応、今上の陛下のことまで、お訪ねではないようですね。この問いは」
「いえ、この回答部分の教科書の頁です・・・これは、表記が、皇帝批判になると、桐藤が教育庁に直談判に行った部分です。ああ、未だ、直されていないようですね・・・」
「それは、解りかねますが・・・」
「ああ、そうですよね。暁。すみません」
「ねえ、柚葉、水色の御本が、読みたいんだけど・・・」
「ああ、そうでしたね。つまり、宿題を無事終わらせて、ミスのチェックをこちらでして、完璧でしたら、お終いですから。その後、お母様にご相談ください」
「えー・・・」
「数馬様も、今、お勉強中ですよ。三の姫様」
「じゃあ、一緒にやる」
「それは、明日からですからね。水色の御本の件は、私からもお話しておきますから、ご自分で、お母様にご相談お願いします。これでいいですね」
「はーい」
「クスクス・・・また、折れてしまいましたね」
「はあ、こちらも、忙しくて、・・・もう少し、待たなければなりませんね。三の姫様のご指導には、こちらも、辛抱が必要です。でも、数馬なら、上手くやってくれそうなので」
「数馬様は、本当に、芯が強いというか、白黒はっきり、仰るのでね。その上、姫様が、数馬様に嫌われたくないと思っているのが、幸いしていますから」
「数馬は、姫様の良いニンジンなのですね」
「では、私、お茶のご準備を致しますので。何か、リクエストはございますか?」
「そうですね。カモミールのお茶はありますか?たまには、いいかなと」
「姫様には、ホットチョコレートですから、ご一緒にお持ちしますね」
「いつも、ありがとうございます。暁」
「いいえ、柚葉様こそ」
この後、女美架様は、宿題を何とか、終わらせて、柚葉様から、答え合わせをして頂きました。そして、御本の件を、第二皇妃様にお願いに、と、お部屋を出られました。少し、ご様子を伺ってみましょうか・・・。
「あ、姫、お妃様のお部屋は、あちらですよ」
「うーん、数馬に会えないかな、と思って」
「御本の御願いには、上がらないのですか?」
「うん、御本は今度で。それより、数馬は、お部屋にいるのかしら?」
「多分、勉強中だと思いますが・・・では、僕はこれで・・・」
「待って、柚葉、一緒に、数馬の所に行こう、ねえ、いいでしょう?」
「姫様、柚葉様も、他に、お仕事があるのですよ」
「いいですよ。じゃあ、もう一度、お部屋に戻られて、算術と物理の教科書を取ってきてください。僕の次の仕事は、数馬と慈朗の勉強を見ることですから」
「うん、わかった、とってくるー」
「まあ、どうなんでしょうか?」
「さあ・・・でも、よろしいでしょう。明日からは、その形になりますから、予行演習ということで見させて頂こうと思います」
「ありがとうございます」
さて、大丈夫かしらね?皆様のお勉強のお邪魔だけは、されないでほしいものですね。
~次回のお話へつづく
みとぎやのメンバーシップ特典 第三十三話 一緒にお勉強①
「暁の気がかり」 数馬と三の姫① 御相伴衆~Escorts 第一章
今回から、ガラリと変わって、数馬と三の姫のターンになります。二人のことと、学校生活も出てきます。御相伴衆の子たちと三の姫が絡んだお話が、しばらく続くと思います。個人的にも、好きな件です。
今回は、姫付きの女官、暁視点で、三の姫 女美架の様子を伝えています。彼女は、三の姫のことを、小さい頃から、身の回りの世話をしてきていますから、いよいよ、ハイスクールに入学し、更に、正式に数馬が傍付きに決まり、成長を喜んでいる、といった感じです。
次回は、いよいよ、三の姫が、御相伴衆の数馬と慈朗と一緒に勉強をするという話になります。お楽しみにしてください。
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