![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119663548/rectangle_large_type_2_d3dbb0d6e307aebdbf683743424498a4.png?width=1200)
籠の鳥 D:捕獲
「昨日、行ったって、・・・そういうこと?」
「うん」
「何度?」
「一度」
「えー、違うんじゃない?」
「言ったよ」
「あー?」
「えっ?・・・やだ、なんか、また、勘違いしてない?」
「あ、あー、あれって、どう、カウントするの?」
「何?えーっ?何?・・・あれって、あああ・・・」
「思ったんだけど・・・長かったよね?あれ、って、いわゆる、連続・・・」
「なにー?・・・復習は要らないから、もう、そういう人なの?」
「えー、・・・なんか、すごかったから」
「もお、いい」
♂
また、潜った。違う、違う。それも、知りたかったけど、言ったじゃん。
『・・・離さないで』
痺れたな。本心が聴きたいと思っていたのを、一足飛びに飛び越えた言葉だと思った。でも、終わった途端、思った。・・・必ずしも、そうじゃないのかも。目、見てなかった。こっちも必死だったから。嬉しかったんだ。腕の中で、弾けたみたいになって、しがみついてくれて。それと、その言葉が一緒だったから。この上ないと思いきや・・・。
「その時にさ、いいこと、言ってくれたじゃ・・・」
「忘れた」
「あー」
被せ気味に、そう言うか。
「離さない」
「何を?」
「え?」
まただ。
「何の話?」
これだ。何か、すれ違い、勘違い・・・。
「いいよ。解った」
「何が?」
「次は、すぐ、会えないかもしれないけど、・・・時間と理由のやりくり、大変だけど」
「え?・・・あ、じゃあ」
「うん、いいよ、・・・これからも」
「ほんとに?あああ・・・解った」
なんだよ。拍子抜けだけど、・・・よかった。
「おいで」
「うん」
「離さないから」
「・・・はい」
~おしまい~
お読み頂きまして、ありがとうございます。
なーんだ、短くて、これだけ、肩透かしかもしれませんがすみません💦
「捕獲」の瞬間でしたので・・・。
以前「その変わり目」という作品がありました。ラベイユシリーズの第一作目でした。この「籠の鳥」は、その第三作目に位置します。前々作にもありました解説を、今回も、後書きとして、付記させて頂きます。
解説「本気とセキュリティは比例する」
物事は、事後から、始まりました。既に、朝を迎えてしまいました。
「その変わり目」は、どこにあったのでしょうか?
まあ、あったのですね。これは、恐らく、彼は、かなり前から。彼女は、彼からの、相談を受ける形になります。自然に、そうなってしまった。彼は策略しておらず、彼女の勘違い的暴走で、なにやら、たどり着くまでには、ややこしくなってしまったような・・・。
彼女は、彼の視線には、とんと、昨夜まで、気づかなかった、ようですね。・・・のわけないでしょ。・・・これは、やらかしています。ここまで、来るまでのことは、ひとまず、すっ飛ばして、そして、夜を越えて・・・。少しは過ってたのかもしれませんね。でも、確証は持ってなかったんだろうなあ・・・。
「えー、まさかー・・・私?・・・そうなんだ・・・」
実に、テーマの部分なんですが、それを、きちんと、約束することができてから、深くなる、というのが、関係性の継続には大事だと思いますが・・・
まあ、彼女は、良い恋をしてきているので、ついぞ、比較が始まっちゃうんでしょうね。ここでの比較の元は、やはり、彼女の体験、元の彼とのことだったり、その後の人とのことだったりしてるんですね。
過去に躾けられた、その部分が、どれだけ大切かを、知っているんですよね。多分、場合によっては、噂に塗れて、その本分を失うかもしれない、のは、♂の方だったりもしますからね。大袈裟でなく、そのくらいのこと、考えて行かないと。お目こぼしもあるかもしれませんが、それは、武勇伝ではなくて、黒歴史扱いになりますからね。
彼女としては、更に、そう思える程のモチベーションが、何故か、持てない。元の彼との完璧なまでの相愛感、感覚的に互いに繰り出すものが嵌まりすぎていく感覚。また、別の彼の底知れない懐の大きさと温み、全て投げだして甘えられる・・・。そんな良いことを、知ってしまってますから。
水風船の中に、長い時間をかけて、少しずつ水が溜まっていって、いよいよ、弾けてしまった、っていう感じでしょうかね。彼の方は。半分、諦めかけていたのが、あれ、いいのかな?本当に、自分のことを、どう思っているのか、それを、ずっと、聞きたかったんでしょうね。状況は抑えても、既成事実を作った上でも、それでも、怖いんですね。野鳥を捕まえて触った時、想像と違ったのと同じで、同様に、一度捕まえても、逃がしてしまった、その時のイメージと重なって。・・・悦びの後に、すぐ不安が追いかけてくる。一つは、彼女のスペックから来るもの。あと、決定打を言葉で聞けてないこと。彼女のリアクションに、これまでも一喜一憂してきたし、振り回されてきた。変わると思ったのに、こうなっても、それは拭えない・・・、なんでだろう?
「好き」のレベルは、人それぞれ、色々あると思うし、感じ方も違うと思うし、その時々の進捗でも、また変わるだろうし。♀側は、過去の経験として、マックスの体感があるので、少しでも欠けたり、心許ないと、その不足部分に目が行っているという所でしょうか。
彼としては、今後はもっと、ボルテージを高めたい。確実に捕まえておいて、安心したい。これが、普通のスタートの間柄ならば、多分、ハードルはこんなに高くはないのだとも思います。できれば、こっちの籠に匿いたいとでも、思っているのだと思います。
一見、事務的ではありますけど、これって、きちんとしないとダメです。こういう大切な局面では、それが当たり前で、リベンジかますような、馬鹿なお相手をチョイスしないということも、大切なポイントです。お別れした後にまで、その後を濁さず、良いものとして記憶されるかどうかは、その辺りに関わってくると思いますね。なので、ちょっと、はっきりと言わせてみました。これは舞台裏ですね。でも、これが大事なんです。だから、無粋で、イライラするかもしれませんが、これは、セオリーとして・・・ということで、少しやってみました。大事にしたければ、したいほど、しっかりと、互いを守ってください。・・・というのが、肝なのですから。
こういう間柄は、賛否両論ですが、お話なので、ファンタジーとして、捉えていただけると、嬉しく思います。昔、こんな相談事、よく聴きました。色んなケースがありますね。
こんなお話を集めたマガジンが「ラベイユ」です。
よろしかったら、ご覧くださいね❤
いいなと思ったら応援しよう!
![みとぎや(隠)🐉✨](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/91722443/profile_d111aff1c953815552e55cd50a51e6d6.jpg?width=600&crop=1:1,smart)