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筋トレはROMを増大するⅡ


📖 文献情報 と 抄録和訳

健康な成人における筋力トレーニングが関節の柔軟性に与える影響:系統的レビュー、メタアナリシス、メタ回帰

📕Favro, Francesco, et al. "The Influence of Resistance Training on Joint Flexibility in Healthy Adults: A Systematic Review, Meta-analysis, and Meta-regression." The Journal of Strength & Conditioning Research (2024) https://bit.ly/4aOmNrL
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 関節の柔軟性は、身体能力の重要な要素である。筋肉のストレッチ運動の有効性については多くの証拠があるが、筋力トレーニングの柔軟性への影響についてはほとんど知られていない。

[方法] 9つの学術検索ツールを用いて系統的な検索を行い、以下の条件を満たすものを選んだ:健康な成人被験者(年齢18歳以上)、筋力トレーニング介入(期間4週間以上)、柔軟性の結果が少なくとも1つ。バイアスのリスクはRoB-2とROBINS-Iのツールを用いて評価した。3段階のメタアナリシスが実施され、各研究における複数の結果が包含された。メタ回帰モデルを適合させることにより、調整分析が実施された。有意水準はp < 0.05に設定された。

[結果] 36件の研究(被験者数1,469名)が対象となった。対象とした論文のバイアスのリスクは、いずれも低くはなかった。 筋力トレーニングによる柔軟性向上の効果のプールされた効果量はES 0.63 [95% CI: 0.48 - 0.78] (p < 0.0001) だった。

研究間の異質性はかなり大きかった。運動強度は、129のユニークな効果量と性別(p = 0.0429)に基づいて、有意な調整因子であった(p <0.0225、高 vs 低)。強度別の効果量は、高強度(ES: 0.75 [0.50, 1.00])と低強度(ES 0.28 [-0.08, 0.65])。

[結論] 筋力トレーニングは関節の柔軟性を向上させる戦略として実施でき、高強度のプロトコルはより大きな効果をもたらす。しかし、全体的なバイアスのリスクが高く、また、かなりの異質性があるため、確定的な結論を導くことはできない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

唇歯補車(しんしほしゃ)という言葉があって、僕はこの言葉が好きだ。
たとえば、唇と歯は食べるときに一緒になって働く。
このように、密接な関係にあって、お互いが助け合うことによって成り立つこと、持ちつ持たれつの関係を指す言葉。

筋力トレーニング(筋力の動員)と関節可動域は、まさに唇歯補車の関係だと思った。
例えば、膝を曲げようと思えば、膝の屈曲可動域と、膝の屈伸筋力が双方働く必要がある。
つまり、筋力と関節可動域の関係性は、以下のように捉えられる。

片方を動員することは、もう片方も動員されること。
片方を鍛えることは、もう片方も鍛わる可能性がある、ということ。

そして、今回抄読した研究は、まさにそのことを明らかにした。
筋力トレーニングは、関節可動域を増大し、高強度の筋トレの方がより効果的だった。
ところで、筋力と関節可動域が唇歯補車であることを示す、逆方向のエビデンスもある。

それは、ストレッチが筋力トレーニングになる、ということ。
これまでの文献抄読で、この結論を示すエビデンスを2つ紹介してきた。
筋力、可動域、この両者は別々の2つのものというより、1個の動力機関と言えるのかもしれない。

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