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腎不全 × 身体活動量。50万人超の対象者を横断, 縦断調査

📖 文献情報 と 抄録和訳

身体活動、慢性腎臓病、心血管リスク:50万人の成人を対象とした研究

📕Castillo‐García, Adrián, et al. "Physical activity, chronic kidney disease, and cardiovascular risk: A study in half a million adults." Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 34.1 (2024): e14557. https://doi.org/10.1111/sms.14557
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[背景・目的] 心血管疾患(cardiovascular disease, CVD)リスクの高い慢性腎臓病(chronic kidney disease , CKD)の有病率は増加傾向にある。我々は,自己報告による身体活動(physical activity, PA)とCKDとの関連を評価し,PAがCKDに関連するCVDリスクを減弱させるかどうかについても検討した。

[方法] スペイン人成人(18~64歳)のコホートがこの全国規模の研究に参加した。参加者はベースライン時に不活発(PAを全く行っていない)、定期的、不十分(それぞれ国際的なPA推奨値を満たしている、満たしていない)のいずれかに分類され、最長5年間追跡された。CKD(推算糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2)および主要なCVD危険因子(糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、肥満)の有無はベースライン時および追跡時に判定された。

✅ 身体活動量の3分類
■ 非活動的(inactive、PAを実施しない)
■ 運動不足(Insufficiently active、PAあり:国際的なPA推奨値を満たさない)
■ 活動的(Active、PAあり:国際的なPA推奨値を満たす)

[結果] 517, 917人(44±9歳,男性67%,CKD有病率=7%)がベースライン時に調査され,264 581人のサブコホートでは前向き解析(追跡期間中央値=2年,範囲=2~5)が行われた。

■ 身体活動状況と腎不全発症リスクの関連
・運動不足と比較して、ベースライン時の横断的解析では、定期的な運動(オッズ比=0.80;95%信頼区間=0.79-0.81)はCKD有病率の低下と関連していたが、運動不足(1.02;0.99-1.04)は関連していなかった。
・しかし、前向き解析ではこの関連を確認できなかった(p>0.1)。

■ 腎不全者の身体活動×各種健康リスク
・CKDはベースライン時の高血圧(+3%)および糖尿病(+5%)の有病率の高さ、および追跡調査時の高血圧の発生率の高さ(+37%)と関連していた。
・CKD患者では、定期的な運動はすべてのCVD危険因子の有病率(-45%~-7%)および発症率(-38%~-4%)の低下と関連していた。

[結論] PAは中期的(~2年)にはCKDの発症を減少させないかもしれないが、CKDに関連するCVDリスクを減少させることができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

糖尿病→腎不全→透析治療。
僕が所属している病院は、腎不全者の透析治療に最も重点を置いている病院だ。
だからこそ、肌に感じるのだが、透析治療は本当に大変なものなのだろうだと感じる。
週に3回、1回3-4時間、ベッドに寝た状態でじっとしていなければならない。
しかしながら、多くの場合、透析に至るまでには経過がある。

その経過の中で、予防を図れるならば、図りたい。
そのための手段の大きな1つが『身体活動』である。
だが、身体活動というものが、何の予防に役立ち、何には役立ちにくいか、という細部はまだ不明な部分もある。
今回の研究は、特に腎不全という疾患にフォーカスして、身体活動の利点を調査した研究だった。

その結果としては、腎不全リスクに対しては直接的な効果は少ないかもしれないが、腎不全者の心血管疾患リスクと関連する健康リスクは軽減できそう、というものだった。
少なくとも、糖尿病というものを抑制することで、2次的な腎不全を防ぐことには貢献できそうか。
身体活動は、理学療法士の主戦場の1つだろうと思う。
この領域で、どのような指導ができるか、どう併走できるか、どんなデバイスを用いて?
明らかにして、実践していきたい。

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