MoCA認知チャート。年齢ごとの認知機能推移基準
📖 文献情報 と 抄録和訳
認知の軌跡がすべて:正常老化、MCI、認知症における認知チャート-MoCAの正確性
[背景・目的] モントリオール認知機能評価(MoCA)は、高齢者における認知機能スクリーニングツールとして確立されている。しかし、そのスコアを経時的に解釈し、加齢に伴う認知機能低下(AACD)を初期の神経変性と区別する方法は、依然として不明である。我々は、臨床現場におけるAACDの縦断的な評価のために、MoCAを用いた認知チャートを作成することを目的とした。
[方法] 我々は、ベースライン時にMoCAを完了したNational Alzheimer's Coordinating Centerのデータ(60歳以上の9684人の参加者)を分析した。MoCAスコアの年齢と学歴の関数としての線形回帰モデルを作成しました。このモデルに基づいて、MCIおよび認知症の参加者を健常対照者と区別するための精度を最適化するように設計されたMoCA認知チャートを作成した。2つのデータセットを用いて、本モデルを検証した。
[結果] MoCA認知チャートの縦断的評価では、感度(SE)は89%、95%信頼区間(CI):[86%、92%]、特異度(SP)は79%、95%CI:[77%、81%]であり、MoCAの固定カットオフ(SE82%、95%CI:[79%、85%]、SP68%、95%CI:[67%、70%])より良好に評価されている。現在の認知状態またはベースライン測定について、MoCA認知チャートは、健康なコントロールと軽度認知障害または認知症の区別において、SE 81%, 95% CI: [79%, 82%], SP 84%, 95% CI: [83%, 85%]を示した。さらに2つの検証サンプルでの結果は同等であった。
[結論] MoCA認知チャートは、高齢者が連続MoCAで異常なパフォーマンスを示すかどうかを判断するための高い妥当性と診断精度を示した。この革新的なモデルにより、縦断的な認知機能評価が可能となり、適切な場合には迅速に調査や治療を開始することができるようになった。
[臨床意義] アルツハイマー病のような主要な神経認知障害の早期発見と治療は、認知の軌跡が正常な老化、軽度認知障害、認知症のいずれに当てはまるかを迅速に判断するスクリーニングツールから始まるからMoCA認知チャートが重要。MoCA認知チャートは、高い感度(SE)-特異度(SP)比でこれらの要件を満たし、最前線の臨床医がエビデンスに基づく判断を下すのに役立つ。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
子どもがいる家庭なら誰でも、「成長曲線」を目にしたことがあるだろう。
1ポイントのカットオフ値と比較した強みは何だろう?
まず、年齢を束ねていないので、リアルタイムでの評価が可能となる。
78歳なら78歳のところに当てはめることができる。
次に、それに付随して早期の異常値の検出がある。
標準線、標準範囲があるから、異常値が定義される。
ルールがあるから、ルール違反が生まれるように。
MoCA認知チャートによって、「いま、あなたの認知機能は標準と比較していかがなものか?」を常に評価できるようになる。
早期発見、早期心配、早期精査、早期介入。
これがMoCA認知チャートがもたらす、最大の恩恵の1つではなかろうか。
ちなにみ、この論文内で『MMSE認知チャート』も紹介されており、こちらも要チェックだ(📕Bernier, 2017 >>> doi.)
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